マクラーレンF1 代表ステラ「レッドブルに対抗するアップグレードは行わない」

フェルスタッペンはF1アメリカGPで圧巻の走りを見せ、スプリントと決勝の両方を制覇。チャンピオンシップリーダーのオスカー・ピアストリとの差を40ポイントにまで縮め、間にはランド・ノリスが入っている。
週末を通してポールポジションを独占したフェルスタッペンの速さに、ステラは「レッドブルが再び最速パッケージを手にした」と認めた。
しかし決勝レースでは、ステラはノリスにも勝機があったと語る。
「まず今日のトレンドとしては、比較的安心できる内容だったと思う。シャルル(・ルクレール)とのバトルがなければ、ランドには勝てるだけのペースがあった。マックスを抜くのは簡単ではないが、パフォーマンス面では勝負できる速さを確認できた」
「ワンストップ戦略では戦略的な機会は限られていたが、クルマの速さそのものは十分だったと思う」
ステラは、スプリントレースを走らなかったことでセットアップ面で若干の遅れを取ったことも認めた。
「ローラン・メキースの指揮のもとでの再構築も進んでいるが、スプリントを走らなかったことでセットアップ面では少し後れを取った。振り返ると、まだ引き出せるパフォーマンスが残っていたと感じている」
アップグレード投入は今季打ち切り
レッドブルは新しいフロントウイングやフロアなどの改良でRB21の弱点を克服し、再び優位に立っている。しかしマクラーレンは、今季残りで新パーツを投入して対応するつもりはない。
「新しいアップグレードやパーツを導入する予定は、今シーズン残りではない」とステラは明言した。
2026年からはF1の大幅なレギュレーション変更が控えており、マクラーレンは長期的な開発リソースをそちらに集中させる構えだ。

マクラーレンの“静かな自信”と長期戦略
マクラーレンがアップグレードを停止する決断は、一見すると守りに入ったようにも見えるが、実際には来季以降を見据えた戦略的判断だ。
2026年の新レギュレーションでは、空力コンセプトやパワーユニット構造が大きく変わるため、短期的な改良よりも設計基盤の強化を優先するのは理にかなっている。
また、ステラが指摘したように、現行マシンのパフォーマンス自体はまだフェルスタッペンと戦える水準にある。つまり、マクラーレンは「アップデートで追いつく」のではなく、「既存パッケージを最適化して勝負する」段階に移ったと言える。
レッドブルの猛攻に対して焦らず冷静に構えるマクラーレン――その姿勢は、短期的なポイントよりもチャンピオン争いの持久戦を見据えたものだ。
カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム