アレックス・パロウ、ピアストリ加入に怒り「F1昇格の希望を奪われた」

ロンドンの高等法院では現在、インディカー王者パロウがマクラーレンとの契約を破棄してチップ・ガナッシ・レーシング残留を決めたことに関する、2,070万ドル(約31億円)規模の損害賠償訴訟が進行中だ。マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンも証言台に立った。
パロウは宣誓供述書の中でこう述べた。
「唯一魅力的な選択肢はF1への道だった。僕の野望は世界最高峰のシングルシーターシリーズに参戦することだった」
そして2022年後半、マクラーレンがピアストリのF1昇格を発表した瞬間の心境を明かした。
「その知らせを聞いたとき、僕はひどく動揺し、心配で、怒りを感じた。マクラーレンが別の新人を契約したからだ」
報道によると、パロウはその後、ブラウンから「F1への希望はまだある」と説得されたという。さらにブラウンは「ピアストリの成績は君のものと比較される」と語り、ピアストリ起用は「アンドレアス・ザイドルの決定で、自分の判断ではない」とも述べたとされる。
「その時点で、すべてが変わったと悟った」とパロウは語り、マクラーレンとの関係を断ちガナッシ残留を選んだ理由を説明した。
さらに法廷では、マクラーレンのスタッフが「訴訟を避けるため内部メッセージを削除した」とされるWhatsAppのスクリーンショットも提示されたが、ブラウンはその指摘を「完全に否定」したという。
高等法院での審理は引き続き行われている。
マクラーレンの内部事情と影響分析
今回の証言で注目されるのは、パロウがF1昇格を目指してマクラーレンとの契約に踏み切ったにもかかわらず、同チームがピアストリを起用したことで心理的な決定打となった点だ。ブラウンが「比較対象になる」と述べたことで、パロウは自身がF1計画から外れたと感じたとみられる。
また、ザイドル(当時チーム代表)の決定とされた人事判断は、マクラーレン内での権限構造の一端を示唆しており、後にザイドルがザウバーCEOへ移籍した経緯とも関連があるとみられる。
マクラーレンは2025年シーズンに向けて再びF1での栄光を取り戻しているが、その陰には複雑な契約関係と内部調整が続いていたことを、今回の訴訟は浮き彫りにしている。
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