マクラーレンF1代表 チームオーダー不発を擁護「勝利よりも調和を選んだ」

このレースでは、マックス・フェルスタッペンの予想を上回るペースとタイヤマネジメントにマクラーレン勢が後れを取り、終盤にはランド・ノリスが新しいタイヤでチームメイトのオスカー・ピアストリを追いかける展開となった。
選手権争いでピアストリに遅れを取っているノリスだったが、両者ともフェルスタッペンの前に位置していた。この状況でノリスは無線を通じて、穏やかな口調ながらもチームオーダーの適用を示唆した。
「確かに、それは考えた」とステラは認める。
「ランドがマックスをオーバーテイクできたなら、古いタイヤを履いたオスカーを抜くのは容易だと想定していた。だが、結果的に満足している」
「両ドライバーとも納得しており、公平な判断だったと受け止めている。これが我々のレースのやり方だ」
しかしこの決断に対して、1997年のF1ワールドチャンピオンであるジャック・ヴィルヌーヴは痛烈な批判を展開した。
「彼らは弱さを見せている」とヴィルヌーヴ。「まるでドライバーズタイトルを積極的に狙うことに消極的で、ピアストリに強く出るのを恐れているかのようだ。本当に奇妙だよ」
ノリス自身も、外交的な言い回しではあるが、マクラーレンの判断が勝利のチャンスを失う一因になったと示唆している。ノリスはピアストリを抜くまでに3周を要し、2台は一時接触寸前の状況に陥った。
「その間に僕がタイムをロスして、次に彼もタイムをロスする。でも、チャンピオン争いをするにはそういった判断が必要なんだ」とノリス。
「誰かを満足させようとすれば、もう一方が不満を抱く。それが現実なんだ」

この件について、レッドブルF1のアドバイザーであるヘルムート・マルコも、1周目のターン1でフェルスタッペンがピアストリをアウト側からオーバーテイクした場面を引き合いに出し、「マクラーレン的な慎重さ」が影響していたと見ている。
「マックスは攻めた。それだけのことだ」とマルコ。「ピアストリは、もし抵抗すれば接触は避けられないと分かっていた」
一方で元F1ドライバーのアレクサンダー・ヴルツは、ピアストリの判断を擁護する立場を取る。ドライバーズ選手権でノリスとフェルスタッペンをリードしているピアストリは、「あと10メートル遅くブレーキすべきだった」と語っていたが、ヴルツはこう述べた。
「ピアストリはラインを締めてマックスを押し出すこともルール上は可能だったが、リスクを取らずにポイントを守る判断をした」
「タイトル争いを考慮すれば、非常に賢明な判断だったと言えるだろう」
ステラはシーズン後半に向けて、今後はチームオーダーを発動する可能性があるとも示唆している。
「チーム内では“もし”ではなく、“いつ”そうするかを議論している」とステラ。
「我々はその必要性を理解しているし、ランドもオスカーもそれを認識している」
カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / F1エミリア・ロマーニャGP