F1 マクラーレン
マクラーレンのザク・ブラウンは、過去数年チームのパフォーマンスは期待値に届いていなかったとし、ホンダ時代にシャシーを定期的に高く評価していたことは誤った判断だったかもしれないと認める。

マクラーレンは、昨年末でホンダとのパートナーシップを3年間で解消し、今年からルノーのF1パワーユニットに変更したが、引き続きパフォーマンス不足に苦しんでおり、コンストラクターズ選手権6位と期待外れな結果となっている。

特にホンダとの末期、マクラーレンはシャシーは優れているものの、ホンダのF1パワーユニットのパフォーマンス不足によってそれが覆い隠されてると繰り返し発言してきた。

「(2018年に)我々はベストシャシーは持っていない。去年のシャシーは良かったと思う。だが、我々が出した声明には間違いがあったかもしれない。人生ではそれは常に危険なことだ」とザク・ブラウンはコメント。

「1~2年前にもう少し違ったことができたかもしれないと思うことはいくつかある。だが、我々はそこから学んでいく。組織として本当に重要なのはそこから学び、同じミスを繰り返さないことだ」

そして、マクラーレンは、ホームグランプリであるF1イギリスGPの週末のスタートを2日後に控えた4日(火)にレーシングディレクターを務めたエリック・ブーリエの辞任を発表した。マクラーレンは、過去数年間でマーティン・ウィットマーシュ、ロン・デニス、ヨースト・カピート、そして、エリック・ブーリエとチームのマネジメント体制が変わっている。

「今年の我々のリザルトは、我々が大きなパフォーマンス問題を抱えていることを示しているのは明らかだ。チームの歴史、人材、リソース、利用可能なテクノロジーを考えれば、我々は能力以下の仕事しかできていない」とザク・ブラウンはコメント。

「これは我々のチーム内の長年にわたる実際の不安定さから来ている。過去7~8年を見れば、異なるCEO、異なる株主だったし、株主とCEOの出入りがあった。我々はこの素晴らしいチームを再建できるような安定した基盤を築くことに失敗している。それが我々が現在進めていることだ」

「我々は舞台裏でも多くの手を打っており、マクラーレン再建に向けて動き始めた。レースで勝てる組織になるためだ。我々はチームに対する義務を負い、パートナー、ドライバー、メディア、そして最も重要なファンに対する義務を負っている。成功できるとわかっているはずのマクラーレンの姿を見られないことには我々も同じ痛みを共有している。今の状況は受け入れがたいものであり、ここにいるマクラーレンの全員にとって非常につらいことだが、我々は決して諦めない。今は十分なポジションにいないが、ここから大きく改善することを期待している」

「今回の大再編を発表したのはチームに正常さを取り戻すためだ。反射的な対応ではない。強い基礎を築くためには安定化の期間が必要だ。この状況は一晩で作られたものではなく、それ故、一晩で直るものでもない。今日は我々が勝利の道へ返り咲くための最初の一歩だ。これはプロセスの始まりであり、全員が見直されている。だが、レースに勝つためにどのようにチームを再構築していくかの詳しい説明は控えさせてもらいたい」

「我々はより速く、コミュニケーションに優れた敏捷な組織である必要がある。ここには素晴らしい才能があり、固めなければならないものが固まっていないだけだ。クルマがコース上でパフォーマンスを発揮できていない理由は、我々がチームとしてうまくいっていないからだと思っている。反応があまりに遅すぎるし、組織内の物事を単純化する必要があると思う」

「レースチームとして我々はもっと素早い組織として運営する必要がある。我々は遅すぎるし、不格好だ。それは一人の個人のせいではない。ここには素晴らしい人材が揃っていると思うし、それはわかっている。変更する必要があるのはその仕事のやり方だ。700~800名全員を出来るだけ早く、良好なコミュニケーションで同じ方向に舵をとることが私の仕事だ。その人材がクルマを生産しているからだ。レースカーには問題があるかもしれないが、実際の問題はどのようにレースカーを構築したかだ」

エリック・ブーリエの辞任に伴い、アンドレア・ステラがパフォーマンスディレクターに昇格し、ジル・ド・フェランが新設されたスポーティングディレクターに任命された。

アンドレア・ステラは、フェラーリ時代にフェルナンド・アロンソのレースエンジニアを務めており、2015年にアロンソとともにマクラーレンに移籍している。今回の組織変更により、アンドレア・ステラは競技面の責任も負うエンジニアリング的な役割となる。ザク・ブラウンによると“レース週末にパフォーマンスを最大限に高めるレーストラックのリーダー”という立場になるという。

「彼はエンジニアたちと一緒に仕事をするが、最終判断を下すために必要な情報を得るために仕事をする必要があると感じてるジル・ド・フェラン、ポール・ジェームス(チームマネージャー)と情報を交換し、協力していく。アンドレアは週末を最大化するためにそこにいる。ジルはチームとドライバーのパフォーマンスを最大限に引き出すための競技的な立場だ」

アンドレア・ステアはマクラーレン内からの昇進だが、ジル・ド・フェランの新しい役割は意外なものだ。ジル・ド・フェランは、最近マクラーレンに加わり、コンサルタントとして働いてきた。マクラーレンは、インディ500のウィナーであり、2度のチャンプカー王者であるジル・ド・フェランの米国での経験を活かし、2019年からのインディカーへのフル参戦を評価している。

アメリカでの経験が有名ではあるが、ジル・ド・フェランは以前にF1でスポーティングディレクターの役割を務めている。2005年序盤から2007年中盤までBAR、そして、ホンダでその役割を務めている。ザク・ブラウンによるとジル・ド・フェランは“ガレージ内に新鮮な視点”を与えてきたとし、若いドライバーとのチームの作業を手助けしてきたという。

「我々は数カ月前にジルを連れてきた。ジルのような競技面の経験をもった者がドライバーやエンジニアを最大限に生かすことができるとわかったからだ。当時、彼をこのような役割につかせる計画はなかった。我々が識別していたのは、彼が貢献できると考えていたエリアであったが、彼と一緒に仕事を進めていくうちに状況は進化していった。彼が優れたスポーティングディレクターになると考えたのは自然な成り行きだった。だが、彼が最初に仕事を開始したときから決まった形で進めていたわけではない」

マクラーレンは、エリック・ブーリエが務めていたレーシングディレクターの役割を置き換えるか、そのポジションを完全に廃止するかはまだ決定していない。ザク・ブラウンの直下だったエリック・ブーリエの仕事は、チームの技術オペレーションの責任を担うチームオペレーティングオフィサーのサイモン・ロバーツに引き継がれる。

「我々の構造と働き方は、今日現在のものだ。これが我々の旅の出発点であると確信している」

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