パストール・マルドナド 現代F1に物申す「ドライバーが主役ではない」

特にエネルギー管理やチーム指示に依存する現在のレーススタイルについて、「ドライバーが自由に戦う余地が減っている」と指摘し、F1本来の魅力が損なわれていると語った。
2012年スペインGPの勝利がもたらした転機
マルドナドにとって最大のキャリアのハイライトは、2012年スペインGPでの優勝だった。ウィリアムズにとっても予想外の勝利であり、彼の人生を大きく変える出来事となった。
「今の時代に勝つのは難しい。でも、当時は勝てるマシンではない中で勝つのはもっと難しかった」とマルドナドは振り返る。
「戦略と完璧な走りがあれば勝てると分かっていた。チャンスは毎日来るわけじゃない。だからこれは人生で最も特別な機会のひとつになると思った。1レースにすべてを懸けた」
「自分は落ち着いていた。トップで戦うこと、勝つことには慣れていたからね。むしろ10位や12位を争う方が慣れていなかった。それが人生を変えた。アスリートとしても、人としても」
現代F1への不満「ドライバーが主役ではない」
現在のF1についてマルドナドは、特にパワーユニットとエネルギー管理の複雑さに懸念を示す。
「気をつけなければならない。F1で最も重要なのはドライバーだが、誰も満足していない。僕たちは自分の力を発揮して、誰が一番速いかを示せるマシンでレースをしたい」
「90年代ならミナルディのドライバーでもポイントを取ることができた。でも今はそれが難しい」
さらに2014年のハイブリッド導入時を振り返り、その影響の大きさを強調する。
「2014年を思い出すと、シーズンの半分はまともにレースができなかった。バッテリーが何をしているのか完全には分かっていなかったし、チームの管理も完璧ではなかった。それは普通のことだったが、F1とドライバーは大きな影響を受けた」
ハイブリッド否定と“F1らしさ”の喪失
マルドナドは現在のハイブリッド路線そのものにも否定的な見解を示している。
「ハイブリッドはタクシーや輸送には合っている。でもこのスポーツでは歴史を守る必要がある。今はそれが失われている」
「フェラーリやマクラーレンといった名前は残っているが、レギュレーションの方向性が最善とは思えない」
「ドライバーにレースをさせろ」現行ルールへの違和感
タイヤ戦略やチームオーダーの在り方についても、現在のF1は制約が多すぎると指摘する。
「僕の時代はタイヤが終わったからピットに入った。好きなだけプッシュできたし、マネジメントはドライバー次第だった」
「今はマニュアルに従い、チームの指示に従う。クルマの比重が大きくなり、ドライバーの影響はどんどん小さくなっている」
またトラックリミットやペナルティの運用にも疑問を投げかけた。
「トラックリミットはフェアではない。なぜランオフをアスファルトにする?芝生にすれば誰も出ない」
「人工芝も見たが、はみ出した瞬間にグリップを失う。そしてペナルティを受ける。理解しがたい」
「もうドライバーに自由にレースをさせていない」
現在のF1はテクノロジー主導の方向へと進んでいるが、マルドナドの指摘はその裏で失われつつある“ドライバー主体の競技性”を浮き彫りにしている。ドライバーが限界まで攻め合う純粋なレースという原点をどう取り戻すのか――その問いは、2026年のレギュレーション議論とも重なり、今後のF1の方向性を左右する重要な論点となっている。
Source: GPblog
カテゴリー: F1 / パストール・マルドナド
