ランド・ノリス レッドブルF1の“テープゲート”を一笑「僕は使ってもいなかった」
ランド・ノリス F1アメリカGPの“テープ騒動”を笑い飛ばす「僕は使ってもいなかった」

F1アメリカGPの決勝前、グリッド上でマクラーレンがノリスのために設置した“駐車位置補助用のダクトテープ”を、レッドブルのスタッフが剥がそうとしてペナルティを受けた一件が、メキシコGP前の話題をさらった。

チームはこの行為で5万ユーロの罰金(うち半額が執行猶予)を科されることとなったが、当のノリスはこの“テープ事件”を笑い飛ばしている。

「よくやったねって感じ」とノリスは英Motorsport Weekなどの取材に冗談交じりで語った。「でも実際には使ってなかったから余計におかしかったんだ。念のために貼っておいただけで、結局何の意味もなかった」

「だからもっと面白いよね。彼らがそれで罰金を受けたのに、僕はそのテープを必要ともしなかった。しかも、彼らは剥がそうとして失敗したんだ。特別な加工をしてあって、簡単には取れないようになってたからね」

「チーム同士のちょっとした“サイドクエスト”みたいなものさ。僕らはただ笑ってたよ」と、終始楽しげな様子だった。

フェルスタッペン「どこに止めるかなんて気にしない」
同じく取材を受けたマックス・フェルスタッペンも、軽妙なユーモアでコメントした。

「グリッドボックスには黄色い線があるだろ? それを見て止めればいいんだよ」と笑いながら答えた。「どこに止めようが大した違いじゃない。人によってやり方が違うだけで、オースティンではたまたま“ゲート”が閉まるのが少し遅かったんじゃないかな」

一方で、彼はこの件を真面目に受け止めてもいる。

「チームメンバーが正しい指示を受けていなかったとしても、スチュワードが説明した通りの判断なら理解できる。ペナルティは妥当だと思う。それに、あれはテープの問題じゃなくて、“ゲートを閉じる手順を妨げた”ことが問題なんだ」と語った。

ランド・ノリス レッドブル F1 テープゲート

ラッセル「僕でも多分剥がしてた」
ジョージ・ラッセルも笑いながらこの話題に言及した。

「この話の真相はよく知らないけど、僕は几帳面だからね。もしきれいに塗装された床にダクトテープが貼ってあったら、僕も多分剥がしてたと思う」と語った。

「そのメカニックが悪気なくやったのかもしれないし、そうでないのかもしれない。でも彼らは経験豊富だから、わざわざ小細工なんてしなくても勝てるはずだ。僕がナイーブすぎるだけかもしれないけどね」

グリッド視認性の難しさを語るドライバーたち
そのほか午後の記者会見では、複数のドライバーが「グリッド位置の見え方」について語った。

ニコ・ヒュルケンベルグは「クルマによって見え方は違う。サイドインパクト構造の高さや位置で視界が変わる」と説明し、「この世代のマシンでは誰にとっても難しい。僕はテープは使わないけど、感覚で止めるようにしている」と話した。

カルロス・サインツは、自身のウィリアムズFW47では「ちょうどマウント部分が黄色いラインと重なるので、それを目印にしている」と説明。「それでぴったり合わせられるから助かっている」と語った。

アンドレア・キミ・アントネッリも「僕は視覚的に合わせる派。プラクティスで基準を作っておいて、グリッドではその感覚で止める」と述べている。

分析:F1グリッドの“視認性問題”が生んだ珍騒動
今回の“テープ事件”は単なる笑い話のように見えるが、その背景には現代F1マシン特有の視界の悪さがある。
高く複雑なサイドポッド構造と長いノーズによって、ドライバーからはグリッドの黄色線がほとんど見えないことも多い。

各チームはレーザー測定や地面のマーキングなどで停止位置を補助しており、マクラーレンのテープもその一環だった。だが、ルール上「フォーメーションラップ開始後の外部介入」は厳禁。レッドブルの行為は結果として手順妨害と見なされた。

F1が新しい安全・整列手順を導入したことで、今後も“停止精度”が議論になる可能性がある。今回のような一件が笑い話で済むうちはまだいいが、視認性改善の技術的議論は、2026年の新車設計にも少なからず影響しそうだ。

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カテゴリー: F1 / ランド・ノリス / レッドブル・レーシング / マクラーレンF1チーム