ランス・ストロールの奇妙なステアリング操作はアンダーステアへの不満の表れ?

高速コーナーのコプスからマゴッツ、ベケッツにかけてフルロックに近い舵角を与えるオンボード映像はSNSで拡散され、多くのファンや関係者を驚かせた。この行動について、元インディカー勝者のコナー・デイリーが「すべてのドライバーが一度は経験することだ」と説明している。
ストロールの異例のステアリング操作とは
シルバーストンの高速区間でストロールは、通常では考えにくいほど大きなステアリング入力を繰り返していた。
この映像はSNSで急速に拡散され、「マシントラブルではないか」「ドライバーのミスでは」とさまざまな憶測を呼んだ。
しかし、The Race F1 Podcastに出演した元インディカードライバーのコナー・デイリーは、これはドライバーなら誰もが経験する"フラストレーションの表れ"だと語る。
「レースカーで見た映像の中でも、最も面白いクリップの一つだった」
「特にあれが最速コーナーの一つだったというのが面白い。僕も走ったことがある素晴らしいコーナーだけど、あれほどリアが安定していて、それでもあんなふうにステアリングを切れるというのは……」
「全ドライバーが一度はやる」その理由
デイリーによれば、この動きは極端なアンダーステアに対するドライバーの本能的な反応だという。
「どんなドライバーでも、人生で一度はあの瞬間を経験していると思う。アンダーステアやバランスの悪さに嫌気が差して、『もう全部切ってみよう』となる瞬間がある」
さらに、自身のインディカー時代の経験も明かした。
「僕もエンジニアに『コーナー中盤でステアリングを全部切っても何も起きない』と言ったことが何度もある」
「すべてのドライバーに聞いてみればいい。『そうだ、一度試したことがある』と答えるはずだ。とにかくマシンを曲げたいのに曲がらない。だから『ほら、これが今のクルマだ』と示すためにやる」
つまり、実際にマシンを曲げようとしているというよりも、エンジニアへ問題を伝えるための意思表示でもあるというわけだ。
アストンマーティンF1の苦戦も背景に
デイリーは、ストロールの行動はチーム全体が苦戦している現状とも無関係ではないと指摘した。
「これは積み重なったフラストレーションだと思う。今のチームは苦戦しているし、正直もっと期待していた。フェルナンド(アロンソ)の経験もあるチームだからね」
また、F1ではすべてのマシンにオンボードカメラが搭載されているため、このような行動が世界中に広まっただけだとも語った。
「F1だからこそ映像が残る。オンボードは常に撮影されていて、誰かが必ず見ている」
「ランスも『だから言っただろ、もっとフロントグリップが必要なんだ』という気持ちだったんじゃないかな。タイヤには良くないし、速くもならない。でもあれだけ苦しんでいる姿を見るのはつらい」

アロンソにも同情「見るのがつらい」
デイリーは、チームメイトであるフェルナンド・アロンソについても言及した。
「彼はいまでも本当に速い。でも年齢を重ねていることも事実だ。それでも自分にはまだ勝てる力があると信じているし、実際そうだと思う」
さらに、自身がインディ500でアロンソと戦った経験を振り返りながら、その実力を高く評価した。
「彼とレースができたのは幸運だった。本当に素晴らしいレーサーだ。マックス(フェルスタッペン)のように、とにかく最高を目指し、勝ちたいという気持ちを持ち続けている」
「だからこそ、今の状況を見るのは本当につらい。僕はフェルナンドのファンだからね」
今回のストロールの不可解なステアリング操作は、一見すると奇妙な動きに映るものの、実際にはドライバーなら誰もが経験するマシンへの不満の表れだった。デイリーの証言は、アストンマーティンF1が抱える深刻なバランス問題と、ドライバーたちのフラストレーションの大きさを改めて浮き彫りにしている。
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