ランス・ストロールをニューウェイが擁護「評判よりずっと良いF1ドライバー」
アストンマーティンで新たな一歩を踏み出したエイドリアン・ニューウェイが、チームのドライバーであるランス・ストロールについて公の場で擁護の姿勢を見せた。

ランス・ストロールは、父ローレンスがチームオーナーという立場から批判の声も少なくないが、F1界屈指の名デザイナーであるニューウェイは、実力を正当に評価するよう訴えている。

「ランスを過小評価するのは間違っている」とニューウェイは語る。

「彼がこれまでに戦ってきたチームメイトを見てほしい。チェコ(ペレス)、ニコ(ヒュルケンベルグ)、セバスチャン(ベッテル)、そして今はフェルナンド(アロンソ)。どのドライバーも非常に優れているが、その中でランスは常に“そこにいる”存在だった。彼は人々が思っているよりずっと良いドライバーだ」と述べた。

ニューウェイは今年3月にアストンマーティンへ加入し、以後ファクトリーでの作業に没頭。モナコGPで初めて現地に帯同した際、「2週間前に1回だけ週末を休んだが、それ以外はずっとファクトリーにいる」と語った。

「妻は、私がデザインに没頭すると“トランス状態になる”と言うが、それは分かる。集中力が極限まで高まっていて、頭の中のすべての処理能力が設計に注がれている」と話し、その情熱は今も変わらない。

特にニューウェイが多くの時間を費やしているのが、2026年から導入される新レギュレーション対応マシンの開発だ。現時点で「99%」のリソースをそこに集中していると明かしつつ、2025年マシンの開発チームとの意見交換も行っているという。

「彼らとマシンの長所や弱点について話すことで、互いに学び合える部分もある」

一方で、アストンマーティンの設備には課題も残ると指摘する。

「一部のツールはまだ不十分だ。特にシミュレーターは相関性が取れておらず、開発において大きな制限になっている。理想の状態に持っていくには2年ほどかかるだろう」

また、チームの急成長に対する組織体制の整備も必要だと強調した。

「人材は非常に優秀だが、より良い組織体制の中で機能させていく必要がある。このチームは元々ジョーダン、フォース・インディア、レーシング・ポイントと姿を変えてきた経緯があり、限られたリソースの中で想像を超えるパフォーマンスを発揮してきた。でも、今は急激に成長しており、それに見合う体制を整える段階にある」

新ファクトリーと風洞については「間違いなくF1で最高」と評価しながらも、「それらは非常に複雑なツールであり、まだ開発段階にある。最終的に差を生むのは人間の力だ」と付け加えた。

エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

そしてもう一人のドライバー、フェルナンド・アロンソについても高く評価している。

「フェルナンドは非常に重要な存在だ。彼とルイス(ハミルトン)は長年のライバルだったが、私が今のF1で一緒に働きたいと思っていたのはこの2人だった。2人ともとは叶わなかったが、少なくとも今はフェルナンドと仕事ができている」

ただし、来年のマシンがアロンソに3度目のタイトルをもたらすことができるかと問われると、ニューウェイは慎重な姿勢を崩さなかった。

「それは全く分からない」

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カテゴリー: F1 / ランス・ストロール / アストンマーティンF1チーム