F1出身ロバート・クビサがル・マン24時間レース制覇「とても特別な日だ」
2021年に最終ラップで勝利を逃した経験を持つ元F1ドライバーのロバート・クビサが、ついに悲願のル・マン24時間レース制覇を果たした。レース後の記者会見で、クビサはこの勝利が「とても特別な日だ」と語った。

AFコルセのフェラーリ83号車で参戦したクビサは、フィル・ハンソン、イエ・イフェイとともにトップチェッカーを受けた。表彰台直後、サルト・サーキットのメインピットビルで行われた記者会見に臨んだクビサは、興奮と安堵の表情を浮かべながら次のように語った。

「間違いなく今日は感情的な1日になると思う。今はまだ疲れとアドレナリンが混じっていて、少し休んで、この瞬間を味わいたい。とても特別な日だし、正直言って、勝てるとは思っていなかった」

クビサにとってル・マン初挑戦は2021年だった。当時、LMP2クラスをリードして最終ラップに突入したが、まさかのマシントラブルによりフィニッシュ目前でストップ。優勝目前で勝利を逃すという衝撃的な結末に見舞われた。

「2021年に初めてル・マンを走ったときから、このレースを本当に楽しんでいた。最終ラップでLMP2の勝利を逃すという劇的な結末にはなったけど、それでも楽しかったし、まるでカートで走っていた子どもの頃に戻ったようだった。ただ違ったのは、僕はもう36歳だったってことだけだ」

「でもこの週末が与えてくれた感情は、特別なものだった」

当時のチームメイトだったイエ・イフェイと、今回も共にAFコルセの83号車で勝利を分かち合ったことも、感慨深さをさらに深めた。

同じく勝利を収めたチームメイトのフィル・ハンソンも、レース終盤まで気を緩めることができなかったと語る。

「ロバートの言葉に共感するよ。今はまだ感情が湧いてくるというより、ただただ安堵している」

「レース最後の数分間は本当に緊張の連続だった。実は、2021年に彼らが最終ラップで止まったとき、僕はそのすぐ後ろを走っていたからね。だから、ル・マンがどれほど非情になり得るかを僕は知っている」

「だから今回は、車が物理的にフィニッシュラインを越えるまで、一切喜ばなかったし、気を抜かなかった。本当にホッとしているよ。正直、彼ら2人はちょっとジンクスがあるんじゃないかと思っていたくらいだ」

ロバート・クビサ F1 ル・マン24時間レース

今回のレースで、ハンソンとイエはそれぞれ9スティント、約6時間半〜40分を走行。一方のクビサは15スティント、計13時間以上にわたってステアリングを握り、1人でレースの半分以上を走り抜いた。なお、ル・マンで1人のドライバーが走行できる最大時間は14時間のため、クビサはその上限に迫る献身的なドライビングで勝利に貢献した。

この勝利により、ロバート・クビサはル・マン24時間レース総合優勝を果たした初のポーランド人ドライバーとなった。かつてF1で大事故から復活を果たし、今度はル・マンでもドラマティックな勝利を飾ったその姿は、まさに執念と情熱の結晶だった。

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カテゴリー: F1 / ロバート・クビサ / ル・マン24時間レース