桜井孝太郎
桜井孝太郎が、6月17〜19日にイギリス、ブランズハッチ・サーキットで開催されたイギリスF3権(第10〜12戦)に参戦し、第10戦と第11戦においてルーキークラス2連勝を達成。自身にとって、16歳最後のレースでイギリスF3通算3勝目を飾った。

第8戦スネッタートン・サーキットで、イギリスF3ルーキークラス史上最年少(16歳321日)での初優勝を達成した桜井孝太郎は、超高速コースで知られるブランズハッチ戦を前に、ロッキンガム・サーキットで2日間に渡るテストを実施。しかし高速コーナーでの唐突なオーバーステアが最後まで消えず、不安を抱えたままレースウィークを迎えることとなった。

ブランズハッチ・サーキットは、1986年までシルバーストン・サーキットと1年交代でF1イギリスGPを開催してきた伝統のサーキット。高低差が非常に激しく、6速全開のコーナーがいくつもある超高速テクニカルサーキットで、大きなクラッシュも多数発生している危険なサーキットでもある。

木曜日にサーキット入りした桜井孝太郎は、他のドライバーがしびれを切らしてホテルに帰ってしまうなか、一般走行時間が終わる夜の8時まで待って、雨の中、エンジニアと歩いてコースを確認。その想像以上の高低差に驚かされ、これまで走ってきた世界中のどのサーキットよりも危険な雰囲気を感じ取りました。

金曜日のフリー走行は、コース習熟に徹して周回を重ね、マシンのセットアップに集中。チームの努力が功を奏し、極端なオーバーステア症状を解消することができたことが、大きな収穫となった1日だった。雨のセッションでは、チャンピオンクラスのマシンと互角以上のタイムをマークし、決勝に大きな期待が寄せられた。

土曜日、予選開始直後にコースインした桜井孝太郎だったが、1周目にリヤカウルが吹き飛ぶアクシデントに遭遇。ピットに戻り、予選通過のためにそのまま応急処置をしてコースインしたが、リヤのダウンフォースが激減したマシンで高速コースのブランズハッチを攻めるのは不可能に近く、6速全開でスピンアウト。幸い、マシンにダメージを与えることなくストップしましたが、グリッドは最後尾となった。

土曜日の第10戦は、雨。ロケットスタートでうまく4台のマシンをパス。激しい高速バトルの中で、クラストップに躍り出ると同時に、チャンピオンクラスのマシンを従えて走る力走を見せ、場内の注目を集めた。

途中、雨が乾き始め、多くのマシンがレインタイヤから晴天用スリックタイヤに交換する慌ただしいレースとなった。桜井孝太郎もレース中における初めてのタイヤ交換を無難にクリア。レース中盤には、ライバルのバート・ヘレキマが何度も桜井孝太郎のリヤに接触せんばかりに追いすがったが、激しいバトルの末にヘレキマが第1ヘヤピンコーナーでコースアウト。桜井孝太郎がそのまま逃げきり、ルーキークラス優勝。ファステストラップも獲得し、自身にとって嬉しい通算2勝目を挙げた。

日曜日の第11戦は快晴のコンディション。抜群のスタートを見せた桜井孝太郎は、自己ベストを更新しながら順調にラップを重ねていく。しかしその後方からライバルのバート・ヘレキマが着々とその差を縮め、テール・ツー・ノーズのまま最終ラップに突入。ターン4でインに強引に入ったヘレキマと早めにインを閉めた桜井孝太郎が接触し、2台ともにコースアウト。舗装の待避路に飛んだヘレキマのほうが、芝生に飛び出た桜井孝太郎より先にコースに戻り、森に囲まれた高速セクションへと消えていった。

その差5秒で桜井もコースに復帰し、ヘレキマを追る。残り4つの高速コーナー勝負。森林セクションから最終コーナーに向けて先に飛び出してきたのは、白いマシン、桜井孝太郎。まさかの大逆転チェッカー、2連勝に場内は拍手と歓声の渦に包まれた。

桜井孝太郎
「連勝は狙っていたのでその結果をチームの皆と共に勝ち取れて本当に嬉しいです。初めてのピットストップ、単独でも何も見えないスコールコンディション、そんな沢山の経験を、イギリスF3で16歳のうちに経験出来たことはすごく大きいと思うし、まだまだシーズンは半分残っていますが今シーズンを戦う上で改めて自分が今何をしなければならないかを再確認出来た、非常にポジティブでエキサイティングなレースでした。ブランズハッチは凄くチャレンジングなコースだしヘレキマ選手との超接近戦は凄く面白かったです。ずっとヘルメットの中で叫びながら40分走ってました(笑)。今僕の中でブランズハッチは1番好きなコースになりましたが、次のニュルブルクリンクが僕の1番大好きなサーキットになるよう頑張ります」

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カテゴリー: F1 / 桜井孝太郎