佐藤公哉
佐藤公哉が、GP2シリーズ第4戦オーストリアのレース週末を振り返った。

黒い雲からときおり雨粒が落ちて来た6月20日、午後0時からの練習走行(45分間)で佐藤公哉はミディアムタイヤを履いてコースイン。しかし、チームの持ち込んだクルマはコーナー各所で滑ってしまい、コースに留まるのが精一杯という状態で1分17秒605の25番手に留った。

同日午後3時55分からの予選(30分間)ではソフトタイヤを履いてコースイン。グリップが高いタイヤだったこともあり滑りは多少収まったものの、クルマの戦闘力不足は明らかで1分16秒274の20番手に終わった。

「持ち込んだクルマの状態がよくなくて、金曜日は最初から出遅れて最後まで取り戻せない一日でした。練習走行ではクルマが滑りまくりで、何度もコーナーを飛び出し、あわやクラッシュという場面も1回ではありませんでした。予選に向けては、とにかくグリップする方向性へクルマを調整しました。ただ、予選では練習走行のときとは違ってソフトタイヤを履いたので、とうぜんグリップは上がりました。ですから、クルマの調整で実際にグリップ力が向上したのかどうかは不明でした。さらに、予選ではグリップが上がったのにタイムは想像よりもかなり遅く、非常に頭が痛い状況でした」

なお、予選後には上位ドライバーにペナルティが科されて、佐藤公哉は決勝レース1で19番グリッドとなった。

21日午後3時40分過ぎに始まった決勝レース1(40周・最大60分間)、佐藤公哉はライバルとの接触を避けるため、第1コーナーでコース外へ逃げた際に順位を僅かに落としながらも、順調にレース序盤を戦い始めた。しかし、第2コーナーで追突に遭っただけでなく、2度も横から体当たりを食い、クルマに深刻なダメージを負った。そして第3コーナーでも横から当てられ、レース続行は不可能と判断してリタイアした。

「決勝レース1のスタートは普通で、順位を維持していたと思います。第1コーナーでは内側のクルマが僕のほうへ寄って来たので、接触を避けるためコースの外へ逃げました。また、そこで順位を上げるとペナルティの対象となるので抑え目の走りに努めましたが、路面が滑りやすかったので順位を下げてしまったかもしれません。そのあと第2コーナーまでは順調に加速していきました。第2コーナーでは前方がかなり混雑していて混乱も見えたので慎重にアプローチしました。しかし、いきなり後ろから当てられました。さらに、第2コーナーの立ち上がりでスピンしたクルマがあったので避けたら、今度は右の後輪に横から当てられました。このときに僕のクルマは脚周りを傷めたようで、第3コーナーまでの直線もステアリングを切ってようやく真っ直ぐ走れる状態でした。そして第3コーナーの内側を走っていたところ、同じドライバーが左の前輪に横から当てて来ました。僕のクルマはまともに走れる状態でなくなり、これ以上の走行は危険と判断してリタイアしました」

22日午前10時35分過ぎに始まった決勝レース2(28周・最大45分間)、決勝レース1の結果に基づき26番グリッドからスタートした佐藤公哉は、前方のライバルのスキを第1コーナーで突いて早くも22番手へ浮上。さらには戦況がまだ落ち着かないレース序盤の混乱に乗じて、一時は18番まで順位を上げた。ところが、後方から無謀な追い越しを仕掛けてきたドライバーに起因する接触事故のあおりを受けて、ひとつ順位を落とした。その後は前方数台との接近戦を力強く戦うが、クルマの調整が不十分だったこともあり19位でチェッカードフラッグを受けるに留った。

「決勝レース2のスタートは可もなく不可もなく、ただ前のクルマについていっただけです。でも、第1コーナーまでのストレートで数台のクルマが競り合っていたので後ろから様子を見ていたら、いつの間にか第1コーナーで3台を抜いていました。その後、2周くらいは渋滞を避けながら走って順位を上げた、チャンスが訪れたときに順位を上げたという感じでした。クルマのバランスは悪くありませんでしたが、ギアレシオを外したような気がします。僕自身は昨日のデータがありませんが、チームメイトは昨日からギアレシオに不満があったようです。実際に今日の僕も、前のクルマがミスしてコーナー立ち上がりで食らいついても、2速、3速、4速くらいまでは置いて行かれてしまう。ようやく追いつけてもストレートエンドで、抜くまでには至らない状況でした。今日のレースは終始、その繰り返しで終わってしまいました」

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カテゴリー: F1 / 佐藤公哉 / GP2