ケビン・マグヌッセン F1デビュー年に課された“ハミルトン基準”を吐露

マグヌッセンは2014年にジェンソン・バトンのチームメイトとしてマクラーレンでF1デビューを果たしたが、翌2015年シーズンにはフェルナンド・アロンソが起用され、自身はレースシートを失うこととなった。
当初マクラーレンは、表彰台を一度獲得した実績を持つマグヌッセンをアロンソのパートナーとして翌年も起用するつもりだったが、若い彼に非常に大きなプレッシャーを課していた。
端的に言えば、チームはマグヌッセンに対し、2010年から2012年の3年間にわたってルイス・ハミルトンが予選でバトンに対して示していたアドバンテージ――平均0.15秒――を再現するよう求めていた。
現在32歳となったマグヌッセンは、当時のその要求が「不公平」であったと認めており、2009年のF1ワールドチャンピオンであるバトンに対しても侮辱的だったと振り返っている。
「ジョナサン(・ニール/マネージングディレクター)とエリック(・ブーリエ/レーシングディレクター)に言われたのを覚えているんだ。『ルイスはジェンソンと3年間組んだ中で、平均して予選で0.15秒速かった。だから君が来年もレースシートを維持したいなら、同じだけジェンソンを上回るべきだ』ってね」とマグヌッセンは『Motor Sport Magazine』に語った。
「当時はその言葉を受け入れていたけど、今になって考えると不公平だったと思う。
「ルイスもジェンソンもF1ワールドチャンピオンで、僕よりずっと経験が豊富だったのに、ジョナサンとエリックは、僕がF1ルーキーイヤーで、ルイスの3年目、4年目、5年目と同じレベルでなければアウトだって言っていたんだ」
「それって狂ってるし、ジェンソンに対しても失礼だよ」
マグヌッセンが「本当に必要としていたもの」の逆だった
今となっては、「もしやり直せるなら、もっと違う対応をしていただろう」とマグヌッセンは話すが、当時の立場の不安定さを理解している。
「今思えば、あの時もっと自分の立場を主張すべきだった」と、かつてルノーやハースに所属していたマグヌッセンは語る。「僕はナイーブだった。でも、自分を弁護するなら、僕はF1の新人だったんだ」
そして、あのプレッシャーが自身にどう影響したかも認識している。結果として、彼はミスを犯しやすい悪循環に陥ったという。
「避けようのないことだったけど、あの不公平な期待は僕に余計なプレッシャーを与え、それによって僕はミスをし始めたんだ」と振り返る。
「21歳のルーキーにあんな馬鹿げた期待を押し付けるなんて間違ってた。才能もスピードもあったけど、僕に必要だったのはメンタル面と感情面でのサポートだった。それなのに、マクラーレンのレーシング部門の上層部が与えたのは、まったく逆のものだったんだ」
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