カッレ・ロバンペラ F1挑戦へ“破格の減俸” 「来季の基本給は形式的なもの」
カッレ・ロバンペラは、ラリーからシングルシーターへ大転換するにあたり「劇的な減俸」を受け入れた。マネージャーのティモ・ヨウヒは、2026年シーズンの基本給について「世界ラリー選手権時代と比べれば、単なる形式的な水準」と述べている。

フィンランド紙 Ilta-Sanomat によれば、25歳のロバンペラは今季トヨタから年間約600万ユーロの給与を得ており、ラリー界でも屈指の高給取りだったとされる。

ヨウヒは正確な額の言及を避けつつも「WRCトップドライバーの年俸が数百万ユーロ規模であることは事実だ」と認めた。

ロバンペラは2026年に日本のスーパーフォーミュラへ参戦し、2027年のF2ステップアップを視野に入れている。トヨタはこのルートを通じ、二度の世界王者がF1へ到達できる資質を持つかどうかを見極める構えだ。

ヨウヒは今回の転向が「大幅な金銭的ハードル」を伴うことを認める。

「カッレの実際の給与は大きく下がる。それは間違いない。来季トヨタから受け取るのは、ごく小さな形式的な報酬にすぎない。本当の収入源はスポンサーだ」

レッドブルを筆頭に主要スポンサーは引き続きロバンペラを支援する見通しで、ヨウヒも「スポンサー契約からかなりの収入を得ることになる。さらにトヨタが走行に関する費用をすべて負担する」と説明した。

一方で期待値の設定には慎重だ。ヨウヒは、ロバンペラのサーキット経験が「非常に限られている」と強調する。

「原則として、来季からすでに良い走りができる可能性はある。しかし、話は単にドライビングスキルだけではない。コーナー進入時のGフォースは桁違いに厳しい。F2ともなれば腕への負荷も相当なものだ」

ロバンペラはすでに6カ月間、専門トレーニングやF1トレーナーによる指導を受け、限られたテストやシミュレーター作業にも取り組んできた。12月上旬にはさらなるF2走行にも予定されている。

ヨウヒは、トヨタがロバンペラのポテンシャル評価に本気であることを改めて語った。

「トヨタは、スーパーフォーミュラ、そしてF2を通じて、カッレのトラック上での潜在能力をしっかり測りたいという強い意志を持っている」

ロバンペラの“F1ルート挑戦”が示すトヨタの意図
今回の大幅減俸は、ロバンペラ本人が「資金より挑戦」を優先した決断であり、トヨタとしても長期的な投資と位置付ける姿勢が見える。スーパーフォーミュラからF2へ、そしてF1候補として評価するという流れは、トヨタが真剣にF1復帰の可能性を探っているかのような示唆も感じさせる。

また、レッドブルを含むスポンサーが全て残留する点は、ロバンペラのスター性と市場価値が依然として高いことを示す。ラリー界の二度の世界王者が、未経験に近いフォーミュラでどこまで順応できるかは、モータースポーツ界全体の注目テーマとなるだろう。

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カテゴリー: F1 / カッレ・ロバンペラ / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権) / スーパーフォーミュラ