インディカー:ホンダ 2022年 第10戦 トロント 決勝レポート 佐藤琢磨はリタイア
2022年インディカー・シリーズ第10戦トロントが7月17日(日)に行われ、スコット・ディクソンが今季初優勝、コルトン・ハータが2位でHONDAが1−2フィニッシュを達成した。

カナダ最大の都市であるオンタリオ州のトロントではインディカーのレースが1986年から開催されている。2020、2021年はCOVID-19のパンデミックのためにインディカーシリーズの遠征がキャンセルされたが、今年はHondaインディトロントを盛大に開催することができた。

Hondaインディトロントの舞台となるのはオンタリオ湖畔のエキジビジョンプレイスという名の大型催事場と周辺道路にレイアウトされる全長1.786マイルのストリートコース。2本の長いストレートを持つ上に路面はバンピーで、舗装も場所によって異なる素材が使われているため、マシンコントロールが難しく、多くのオーバーテイクと激しい順位変動の起こるレースが毎年のように繰り広げられている。今年もその例に漏れず、スタート直後から激しいバトルが85周のレースを通して行われた。

気温は摂氏26度。心地よい風が吹き寄せる快適なコンディションの下、予選2番手でフロントロー外側のグリッドからスタートしたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は、そのポジョションを保って序盤戦を戦い、1回目のピットストップを17周を終えたところで行った。

ポールポジションからレースをリードしていたコルトン・ハータ(Andretti Autosport with Curb-Agananian)は次のラップにピットイン。彼はディクソンのすぐ前へとピットアウトしたが、すでにタイヤが温まっていることをアドバンテージとしてディクソンがターン1でハータのパスに成功した。

この後にハータはトップを奪還するべく猛チャージを仕掛けたが、ディクソン攻略には至らず、燃費セーブとスピード維持を両立したディクソンが逆にリードを広げ、悠々とゴールまでトップの座を守り抜った。

この勝利はディクソンにとって今シーズン初めてのものだが、トロントでは4回目、そしてインディカーでの通算勝利数はついに52勝となった。インディカーの最多勝記録はAJ・フォイトによる67勝だが、今日ディクソンは歴代2位のマリオ・アンドレッティに並んだ。

ハータが2位でゴールし、Hondaは今シーズン2回目の1−2フィニッシュを達成した。そして、Hondaインディトロントでは6人のHondaドライバーたちがトップ10でゴールした。グレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)は14番手スタートから4位まで大きく順位を上げてフィニッシュし、今年のインディ500ウイナーでポイントリーダーのマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)は9番グリッドから4つポジションアップしての5位フィニッシュを達成し、チャンピオンシップをリードし続けている。

また、昨年度チャンピオンのアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)は22番手スタートから6位まで順位を上げる走りを見せ、シモン・パジェノー(Meyer Shank Racing)も18番手スタートから7位でフィニッシュしている。さらに、ルーキーのクリスチャン・ルンドガールド(Rahal Letterman Lanigan Racing)が8位でレースを戦い抜いた。これはデンマーク出身ドライバーにとってキャリア2回目となるトップ10フィニッシュとなる。

佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)は、予選19番手からローリングスタートを切った。出場25台のうち、ハードコンパウンドのタイヤを装着していたのは6台だけで、佐藤琢磨もそのうちの一人でした。ターン1へと続くメインストレート上でポジションを上げていた佐藤琢磨だったが、ターン1でパジェノーのマシンと接触してコース外側のコンクリートウォールにヒットし、リタイアを余儀なくされた。

インディカーシリーズは休む間もなくアイオワ州へと移動し、1週間後にデモイン郊外のショートオーバルでダブルヘッダーが開催される。

スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)
「優勝できました。チームのために本当に喜ばしいことです。今シーズンの私たちは難しい戦いを強いられてきていたところがありましたが、こうして再びビクトリーレーンに戻ってくることができ、とても良い気分を味わっています。マリオ・アンドレッティと優勝回数で並んだことに関しては、自分がどれだけ恵まれた環境でレースを戦えているかということを強く感じています。今日の優勝で私たちはチャンピオン争いに食い込むことができたと思います。この勝利をきっかけとして、これから波に乗っていきたいです。私たち、カーナンバー9のチームにはチャンピオンになるだけの力がありますから。今日はHondaインディトロントでの勝利でした。私はHondaがイベントスポンサーのレースで勝てたことをとても大きな誇りに感じています。今日はインディカーレースを情熱的にサポートしてくれているカナダのファンたちが見守る中で優勝を飾ることができました。そのことにも私は大きな喜びを感じています」

佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)
「私たちのトロントでのレースはとても短いものになってしまいました。カーナンバー51の担当メカニックたちは本当にがんばってくれ、すばらしいマシンを決勝日の朝のウォームアップセッションのために作り上げてくれました。そこでの私たちは競争力の高さを発揮できていました。そのセッションの結果表には現れていませんでしたが、プライマリータイヤでトップ10入りするラップタイムをマークしており、レースに向けて自信を持つことができました。スタートには期待を抱いて臨み、実際にスタートからターン1までで2台をパスすることができました。そしてライバルたちとサイドバイサイドのままコーナリングすることとなったのですが、私はリスクを避けるためにポジションを一つ譲り、ターン2へと進んで行きました。私はMeyer Shank Racingの2台のうちの1台に十分なスペースを与えていたと思いますが、彼がコーナーの中でグリップを失ったのか、私のマシンにすごい勢いでぶつかって来ました。それで私は壁にぶつかりました。あんなアクシデントが起こる必要性は全くありませんでした。本当に残念です。私のレースはターン2で終わり、リタイアするしかありませんでした。マシンには競争力とスピードが備わっていました。トロントで再びレースを行えたことは私にとって大きな喜びでした。大勢のファンがサーキットに集まってくれるのを見て、ファンタスティックと感じました。来週はアイオワでレースが行われます。私たちは前進を続け、アイオワでもスピードを見せたいと思います」

佐藤琢磨 インディカー

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カテゴリー: F1 / インディカー