WTCC
世界ツーリングカー選手権(WTCC)第5戦は、ポルトガルのヴィラ・レアルにある市街地コースで決勝レースが行われた。

今回のレースでは、新ルールの“ジョーカーラップ”が初めて実施された。ジョーカーラップとは、レース中に1回だけ通常のコースとは異なるルートを通ることが義務付けられ、これにより2秒以上のタイムロスとなる。スタート後、2周を周回するまではこのルートを通ることは許されず、どのタイミングでジョーカーラップを消化するかが、順位に大きく影響する。

予選順位のリバースグリッドで行われるオープニングレースでは、道上龍(Honda Racing Team J.A.S.)がポールポジションから、ティアゴ・モンテイロ(Castrol Honda World Touring Car Team)が7番手、ノルベルト・ミケリス(Castrol Honda World Touring Car Team)が10番手からスタートを切った。

好スタートを切った道上龍だったが、直後に加速が鈍り、トップの座を奪われてしまう。そのあとは2番手で走行するも、6周目にジョーカーラップを消化した際にポジションを5番手まで下げ、そのあとに他車との接触でスローダウン。そのままピットへ戻り、リタイアとなった。

ティアゴ・モンテイロは好スタートで4番手までポジションを上げると、道上龍らのジョーカーラップで2番手に浮上。そのままポジションを守りきって表彰台を獲得した。メインレースに重点を置くノルベルト・ミケリスは、スタートでやや出遅れたものの、危なげない走りで7位フィニッシュした。

メインレースでは、ポールポジションからスタートしたノルベルト・ミケリスが好スタートを切ると、そのあともハイペースでレースをリード。スタートでポジションを3番手に上げたティアゴ・モンテイロはさらに上位を目指しペースを上げたが、前との距離をなかなか詰めることができず、ともにポジションを変えることなく無難にジョーカーラップを消化し、レースをフィニッシュした。

ノルベルト・ミケリスは今季初優勝を飾り、ティアゴ・モンテイロは2レースでの表彰台獲得により、シリーズランキングトップの座を奪還した。マシンの修復が間に合わず、ピットスタートとなった道上龍は、前車を追い抜く好走を見せ、13位で完走を果たした。

ノルベルト・ミケリス (7位/優勝)

「予選でポールポジションを獲得したとき、Civic WTCCのペースがほかに優っていることは分かっていました。チャンピオンシップを考えると、この結果は本当に重要なので、とてもうれしく思います。メインレースではスタートもうまく決まり、ペースをコントロールすることができました。後続を脅威に感じることもなく、勝利を飾れたことはすばらしい結果だと思います」

ティアゴ・モンテイロ (2位/3位)

「2つのレースで表彰台に上がり、チャンピオンシップのトップに戻れたことを本当にうれしく思います。ヴィラ・レアルのようなコースでは、追い抜きは非常に難しいので、優勝するにはフロントロ―からのスタートが必要ですから、私にとってこの結果はとてもいいものです。多くのファンの声援や、フラッグを見て、とても感激しています。そして、この結果を実現できるマシンを用意してくれたチームに感謝しています」

道上龍 (リタイア/13位)

「ポールポジションからのスタートは緊張しましたが、比較的うまくいってポジションを守ることができました。しかし、そのあとすぐにエンジンが加速しなくなり、トップの座を奪われてしまいました。加速しない状態はそのあとも続き、苦しいレースで、ポジションを落としてから他車と接触してタイヤがパンクしてしまいました。スロットル系のトラブルということでしたが、修復が完全には間に合わず、メインレースはピットスタートとなってしまいました。結果はとても残念で悔しいものでしたが、マシンの調子のよさやセッティングが決まってきた感じはこれまでにないもので、今後のレースにとても期待できそうです。最後尾からの追い上げでしたが、メインレースではそれを実感することができました。後半戦は速さも順位も上げていけると思うので、応援よろしくお願いします」

古川隆一|Honda Civic WTCC 開発プロジェクトリーダー

「2レース制覇が目標でしたので、満足な結果とは言えませんが、完ぺきなレース運びでメインレースを勝利したミケリス選手、2レースとも表彰台までポジションを上げたモンテイロ選手はすばらしい結果を残してくれました。道上選手はスタート早々にスロットル系のトラブルが発生し、せっかくのポールポジションからのスタートがリタイアとなり、とても申し訳なく思っています。再発防止を徹底して、技術トラブルでのリタイアをなくします。今回、Civic WTCCが見せたパフォーマンスの高さは、エンジンの性能アップと車体のセットアップの検討結果が効果を示したものと、その点では満足しています。今後もさらにエンジンのパワーアップを図り、車体の運動性能を向上させて圧倒的な速さを追求していくつもりです。シリーズは後半戦に入りますが、開発の手を緩めることなく、10月の日本ラウンドでは表彰台を独占することを目標にがんばりますので、応援をよろしくお願いします」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1