ホンダF1:2021年 第4戦 F1スペインGP 決勝レポート
F1スペインGPの決勝は、マックス・フェルスタッペンが好スタートを決め、レースの大部分をリード。最後に逆転を許したものの、2位表彰台に登壇した。ホンダF1パワーユニット勢は、フェルスタッペンを含む3台が入賞を果たしている。
レッドブル・レーシング・ホンダ、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとも、全車がソフトタイヤでのスタートを選択。
2番グリッドのフェルスタッペンは、ターン1でルイス・ハミルトン(メルセデス)のイン側に飛び込み、リードを奪う見事なスタートを決める。セルジオ・ペレスも好スタートを決めて、8番グリッドからオープニングラップで6番手まで順位を上げた。
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダは、ピエール・ガスリーがスタート時にグリッドを越えた位置にストップしたことで5秒加算のタイムペナルティーを科され、角田裕毅は燃料圧力の問題により7周目のターン10でマシンをストップさせるなど、苦しい展開となった。
角田のストップによってセーフティカー出動となったが、このリスタートでもフェルスタッペンは首位を堅持する。2番手のハミルトンとの差をキープしながら、トラフィックを避けるためにも、第1スティントをなるべく長く持たせ、ピットストップを引き延ばしていく。
ガスリーは、ホンダF1パワーユニット勢の中で一番早い、18周目にピットイン。ペナルティー消化後、ミディアムタイヤに交換する。フェルスタッペンは24周目にピットに入り、右リアタイヤの交換に手間取ってタイムをロスしたものの、ハミルトンが4周後にピットインした際にはリードを回復する。ペレスもこのタイミングでピットストップを行った。
ここから状況はしばらく変わらず、フェルスタッペンがハミルトンを抑え、ペレスはダニエル・リカルド(マクラーレン)の後ろの6番手に留まるという展開が続く。上位2台が接近戦を繰り広げる中、メルセデスはハミルトンに2ストップ戦略を採らせるべく、ピットインさせてミディアムタイヤに交換。フェルスタッペンに対して23秒差でコースへと復帰する。
ペレスは46周目のターン1でアウト側からリカルドを攻略。5番手に順位を上げるが、その先のシャルル・ルクレール(フェラーリ)に対しては、大きな差がついていた。ガスリーは48周目に2度目のピットストップを行い、ソフトタイヤに交換。ポイント圏外へと順位を落としたが、ここから好調なペースで追い上げる。
残り7周時点で、フェルスタッペンは新しいタイヤを履いて迫るハミルトンにオーバーテイクを許す。2番手に後退したことでファステストラップを獲得する戦略に切り替えてピットインを決断。ソフトタイヤに交換し、2位表彰台に加えてファステストラップによる1ポイントを獲得した。
ペレスは5番手でフィニッシュして10ポイントを獲得。ガスリーは終盤に多くの見せ場を作り、60周目にはキミ・ライコネン(アルファロメオ)をパスすると、その次の周ではフェルナンド・アロンソをオーバーテイク。さらには、ランス・ストロールを捉えて10位入賞を果たした。
次戦は2週間後の5月23日(日)に決勝レースを迎える、伝統のモナコGP。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「今日のスペインGP決勝は、レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が2位表彰台を獲得しました。先週のポルトガルでのレースに続き、今回も2位という結果には非常に悔しい思いです。予選2番手でフロンローからスタートしたフェルスタッペン選手は、よいスタートを決め1コーナーでポールポジションのハミルトン選手をパスしてトップに立ちました。しかし、異なるタイヤ戦略を採ったハミルトン選手に終盤にかけて激しく追い上げられ、逆転を許して2位。彼らは速さとチームの総合力で我々を上回っていたと感じています。チームメートのペレス選手は、昨日の予選で肩の痛みなどもありうまくラップをまとめられず、8番グリッドからのスタートとなりましたが、トラフィックの中で難しいレースながらも、5位までポジションを上げてフィニッシュしました。いいレースを見せてくれたと思います。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリー選手はスタート時の違反により5秒ペナルティーを受けたことが影響し、大きくポジションを落としましたが、力強い走りで終盤にいくつものオーバーテイクを見せ、チームにとって貴重な1ポイントを獲得してくれました。16位スタートの角田選手は燃料圧力の低下が発生したために序盤にリタイア、今週末は彼にとって厳しい週末になりました。問題の原因については、早急にチームと一緒に解析を進めていきます。2週間後には、モナコGPを迎えます。低速コーナーが多い特殊な市街地コースですので、ここまでのレースとは異なるチャレンジになりますが、いい準備をしていければと思っています」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「今日はできることをすべてトライしました。スタートのターン1でリードを奪いましたが、メルセデスに対して少しペースが及びませんでした。もちろん勝ちたかったわけですが、できることはすべてやった上でチャンスを最大限に活かせたので、それほど落胆してはいません。他の戦略も検討しましたし、2ストップ戦略で彼らよりも早くピットに入っていたとしても、彼らのほうが今日は速かったので、前ではフィニッシュできなかったと思います。自分の速さやマシンの限界は分かっていますし、彼らの方は順位を失わずにピットインできる“フリーストップ”の状態だったので、異なる戦略を採りやすい状況でした。彼(ハミルトン選手)が2度目のピットインをしたときに、2019年のハンガリーのように新しいタイヤで僕に追いついてくるだろうと思いました。できることはすべてやりましたが、なす術なしの状態でしたね。タイヤによるペースの違いから、ルイスは楽にパスしていきましたが、僕は2位を確保してファステストラップもマークすることができました。今日は少し僕らにペースが足りなかったので、2位は最大の結果です。彼らがなぜレースペースをここまで上げてくることができたのかを分析する必要があります」
セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「ここはオーバーテイクが簡単ではないので、タフなレースになりました。1周目はいいラップで、いくつかポジションを上げましたが、その後はダニエル(リカルド)をパスするのにかなり時間を要してしまいました。マクラーレンはストレートでかなり速く、オーバーテイクは大変でしたが、ターン1のアウト側から抜くことができました。自分がすべきことは分かっていたので、プッシュして戦略を機能させようとしましたが、タイヤのライフがあまり残っていなかったので、難しい状況でした。マシンに対する自信は増していますし、レースウイークを終えるごとに慣れていて、いつも“今からまたすぐにレースウイークが始まれば”と思うほどです。それぞれサーキットは異なるので、ここで学んだことがモナコで必要になものとは異なるかもしれませんが、僕はまだ適応中で、もうすぐ100%の状態にできればと思っています。モナコが楽しみです。特に僕らのマシンがこれまでもかなり強かった場所なので、勝利のチャンスがあると思います」
ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「今日は複雑な気分です。レースでは追い上げを見せられましたが、最初の2戦と比べてペースは不足している点はフラストレーションがたまります。また、グリッド位置をミスしてしまった自分にも腹が立っています。本当に余計なペナルティーで、自分のレースを厳しくしてしまいました。それでも、いいバトルが展開できて、何台かをパスして10位に入れました。マシンポテンシャルがあるのは明らかなので、僕らはそれをラップ中の全コーナーで発揮させることができていません。モナコに向けて懸命に取り組んでいきますし、ここから先の数戦でチームが前進を果たせると信じています」
角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「僕にとっては、フラストレーションのたまるレースウイークでした。スタート時点でペースはかなりよかったので、完走できなかったのはとても残念ですが、自分にコントロールできることではない部分でした。今の段階ではマシンに何が起きたのか分かっていないので、マシンが戻ってきたら調査を進め、エンジニアとともにすべてを見直したいと思います。次のモナコでレースをするのは初めてなので、楽しみにしています。こうした象徴的なサーキットで走るのは、ワクワクします」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1スペインGP / スクーデリア・アルファタウリ
レッドブル・レーシング・ホンダ、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとも、全車がソフトタイヤでのスタートを選択。
2番グリッドのフェルスタッペンは、ターン1でルイス・ハミルトン(メルセデス)のイン側に飛び込み、リードを奪う見事なスタートを決める。セルジオ・ペレスも好スタートを決めて、8番グリッドからオープニングラップで6番手まで順位を上げた。
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダは、ピエール・ガスリーがスタート時にグリッドを越えた位置にストップしたことで5秒加算のタイムペナルティーを科され、角田裕毅は燃料圧力の問題により7周目のターン10でマシンをストップさせるなど、苦しい展開となった。
角田のストップによってセーフティカー出動となったが、このリスタートでもフェルスタッペンは首位を堅持する。2番手のハミルトンとの差をキープしながら、トラフィックを避けるためにも、第1スティントをなるべく長く持たせ、ピットストップを引き延ばしていく。
ガスリーは、ホンダF1パワーユニット勢の中で一番早い、18周目にピットイン。ペナルティー消化後、ミディアムタイヤに交換する。フェルスタッペンは24周目にピットに入り、右リアタイヤの交換に手間取ってタイムをロスしたものの、ハミルトンが4周後にピットインした際にはリードを回復する。ペレスもこのタイミングでピットストップを行った。
ここから状況はしばらく変わらず、フェルスタッペンがハミルトンを抑え、ペレスはダニエル・リカルド(マクラーレン)の後ろの6番手に留まるという展開が続く。上位2台が接近戦を繰り広げる中、メルセデスはハミルトンに2ストップ戦略を採らせるべく、ピットインさせてミディアムタイヤに交換。フェルスタッペンに対して23秒差でコースへと復帰する。
ペレスは46周目のターン1でアウト側からリカルドを攻略。5番手に順位を上げるが、その先のシャルル・ルクレール(フェラーリ)に対しては、大きな差がついていた。ガスリーは48周目に2度目のピットストップを行い、ソフトタイヤに交換。ポイント圏外へと順位を落としたが、ここから好調なペースで追い上げる。
残り7周時点で、フェルスタッペンは新しいタイヤを履いて迫るハミルトンにオーバーテイクを許す。2番手に後退したことでファステストラップを獲得する戦略に切り替えてピットインを決断。ソフトタイヤに交換し、2位表彰台に加えてファステストラップによる1ポイントを獲得した。
ペレスは5番手でフィニッシュして10ポイントを獲得。ガスリーは終盤に多くの見せ場を作り、60周目にはキミ・ライコネン(アルファロメオ)をパスすると、その次の周ではフェルナンド・アロンソをオーバーテイク。さらには、ランス・ストロールを捉えて10位入賞を果たした。
次戦は2週間後の5月23日(日)に決勝レースを迎える、伝統のモナコGP。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「今日のスペインGP決勝は、レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が2位表彰台を獲得しました。先週のポルトガルでのレースに続き、今回も2位という結果には非常に悔しい思いです。予選2番手でフロンローからスタートしたフェルスタッペン選手は、よいスタートを決め1コーナーでポールポジションのハミルトン選手をパスしてトップに立ちました。しかし、異なるタイヤ戦略を採ったハミルトン選手に終盤にかけて激しく追い上げられ、逆転を許して2位。彼らは速さとチームの総合力で我々を上回っていたと感じています。チームメートのペレス選手は、昨日の予選で肩の痛みなどもありうまくラップをまとめられず、8番グリッドからのスタートとなりましたが、トラフィックの中で難しいレースながらも、5位までポジションを上げてフィニッシュしました。いいレースを見せてくれたと思います。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリー選手はスタート時の違反により5秒ペナルティーを受けたことが影響し、大きくポジションを落としましたが、力強い走りで終盤にいくつものオーバーテイクを見せ、チームにとって貴重な1ポイントを獲得してくれました。16位スタートの角田選手は燃料圧力の低下が発生したために序盤にリタイア、今週末は彼にとって厳しい週末になりました。問題の原因については、早急にチームと一緒に解析を進めていきます。2週間後には、モナコGPを迎えます。低速コーナーが多い特殊な市街地コースですので、ここまでのレースとは異なるチャレンジになりますが、いい準備をしていければと思っています」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「今日はできることをすべてトライしました。スタートのターン1でリードを奪いましたが、メルセデスに対して少しペースが及びませんでした。もちろん勝ちたかったわけですが、できることはすべてやった上でチャンスを最大限に活かせたので、それほど落胆してはいません。他の戦略も検討しましたし、2ストップ戦略で彼らよりも早くピットに入っていたとしても、彼らのほうが今日は速かったので、前ではフィニッシュできなかったと思います。自分の速さやマシンの限界は分かっていますし、彼らの方は順位を失わずにピットインできる“フリーストップ”の状態だったので、異なる戦略を採りやすい状況でした。彼(ハミルトン選手)が2度目のピットインをしたときに、2019年のハンガリーのように新しいタイヤで僕に追いついてくるだろうと思いました。できることはすべてやりましたが、なす術なしの状態でしたね。タイヤによるペースの違いから、ルイスは楽にパスしていきましたが、僕は2位を確保してファステストラップもマークすることができました。今日は少し僕らにペースが足りなかったので、2位は最大の結果です。彼らがなぜレースペースをここまで上げてくることができたのかを分析する必要があります」
セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「ここはオーバーテイクが簡単ではないので、タフなレースになりました。1周目はいいラップで、いくつかポジションを上げましたが、その後はダニエル(リカルド)をパスするのにかなり時間を要してしまいました。マクラーレンはストレートでかなり速く、オーバーテイクは大変でしたが、ターン1のアウト側から抜くことができました。自分がすべきことは分かっていたので、プッシュして戦略を機能させようとしましたが、タイヤのライフがあまり残っていなかったので、難しい状況でした。マシンに対する自信は増していますし、レースウイークを終えるごとに慣れていて、いつも“今からまたすぐにレースウイークが始まれば”と思うほどです。それぞれサーキットは異なるので、ここで学んだことがモナコで必要になものとは異なるかもしれませんが、僕はまだ適応中で、もうすぐ100%の状態にできればと思っています。モナコが楽しみです。特に僕らのマシンがこれまでもかなり強かった場所なので、勝利のチャンスがあると思います」
ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「今日は複雑な気分です。レースでは追い上げを見せられましたが、最初の2戦と比べてペースは不足している点はフラストレーションがたまります。また、グリッド位置をミスしてしまった自分にも腹が立っています。本当に余計なペナルティーで、自分のレースを厳しくしてしまいました。それでも、いいバトルが展開できて、何台かをパスして10位に入れました。マシンポテンシャルがあるのは明らかなので、僕らはそれをラップ中の全コーナーで発揮させることができていません。モナコに向けて懸命に取り組んでいきますし、ここから先の数戦でチームが前進を果たせると信じています」
角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「僕にとっては、フラストレーションのたまるレースウイークでした。スタート時点でペースはかなりよかったので、完走できなかったのはとても残念ですが、自分にコントロールできることではない部分でした。今の段階ではマシンに何が起きたのか分かっていないので、マシンが戻ってきたら調査を進め、エンジニアとともにすべてを見直したいと思います。次のモナコでレースをするのは初めてなので、楽しみにしています。こうした象徴的なサーキットで走るのは、ワクワクします」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1スペインGP / スクーデリア・アルファタウリ