ホンダF1 田辺豊治「今年はタイトル争いができればと思っている」 / F1オーストリアGP プレビュー
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2020年のF1世界選手権のシーズン開幕にむけてファンからの質問に答えた。

ホンダF1は今週末、レッドブル・レーシングとの2年目のシーズンを開始する。最初のシーズンは大成功だったと言える。ホンダF1は13年ぶりに勝利を収め、マックス・フェルスタッペンはチャンピオンシップで初めて3位でフィニッシュした。

2019年シーズンをホンダF1としてどう振り返りるかとの質問に田辺豊治は「2019年は当初の予想を上回ったと言えます。優勝も果たしましたし、表彰台も複数獲得。両チームが同時に表彰台というレースもあり、素晴らしいシーズンでした」とコメント。

オーストリアGPでマックス・フェルスタッペンとともに表彰台に立って田辺豊治は「今までで一番の思い出の一つです。ドライバー、エンジニア、メカニック、チームスタッフ、そしてファンと勝利の喜びを分かち合えた、素晴らしいレースでしたね」と語る。

第2期ホンダF1時代にエンジニアとして働いていた田辺豊治はアイルトン・セナとの思い出について次のように語る。

「私はゲルハルト・ベルガーのエンジニアでしたが、 チームとして動いていたので、ゲルハルトだけでなくアイルトンとも接点がありました」と田辺豊治はコメント。

「彼らは、ホンダに対して『もっとパワーを』といつも求めてきましたね。アイルトンはとても繊細ですが、ゲルハルトもとても繊細だったんです。アイルトンは、レースで勝つためには、 ホンダにどんなことでも厳しく要求してくれました」

その後、田辺豊治はHPDでインディカーを担当。マネジメントの手法においてインディカーのプログラムからF1に役立つものはあると語る。

「インディカープロジェクトでは、多くのことを学びました。それ以前のF1では、エンジンエンジニアでしたが、インディカーではチーフエンジニアとしてプロジェクト全体を見る立場でした。そこでは、1チームに専念するのではなく、ホンダユーザーのチームやドライバーと仕事をすることになるわけです。この経験が、いまF1での仕事にも大変役に立っています」

「HRCとは、頻繁にではありませんが、開発にまつわる知見を提供してくれるように依頼することがありますし、その逆もあります。HPDとは緊密に連携していて、開発プログラムだけでなく、技術面でも協調して動いています」

近年、ホンダのF1パワーユニットは、HondaJetのエンジン部門との連携によって大きな飛躍を遂げた。

「ホンダは、研究開発部門に多くのエンジニアがいて、F1関連もその部門の一員です。F1のPU開発に用いる技術は、最先端のものばかりですが、ホンダのエンジニアは、全員が各自の担当領域においてハイレベルな知見を持っています。そこで、我々F1部門はPUに活用できそうな技術がないか社内で情報収集をしています。その中で、PUのパフォーマンスを向上できそうなものが見つかれば、積極的に取り入れるようにしています」

2019年のこの成功の最も重要な部分の1つは、マックス・フェルスタッペンだった。すべての勝利と表彰台フィニッシュは、フェルスタッペンが達成した。田辺豊治、トップドライバーであるマックス・フェルスタッペンについて次のように語る。

「彼は特別な存在です。必ず期待以上の成果を挙げてくれます。とても正確なドライビングで、基本的にはいつも冷静、でもときには非常に情熱的になります。とてもナイスガイで唯一無二のドライバーですね」と田辺豊治は語る。

「ドライバーは、最も優れたセンサーとも言えます。ドライバーのフィードバックには、データログで取れる情報だけでは見えない部分が含まれています彼らはPUの細部を感じ取ることができます。また、我々はレーシングマシンを、予選や決勝でドライブした経験がありませんが彼らは必要な情報をしっかりと伝えてくれる、重要な存在です。パフォーマンス向上に彼らの声は欠かせません」

昨年、ホンダのF1エンジンはいくつかのサーキットでメルセデスに匹敵できるパワーを発揮するまで改善を果たした。2020年型F1パワーユニット『RA620H』にはさらに期待がかかっている。

ロックダウン中のF1パワーユニット開発について田辺豊治は「ご存知の通り、シャットダウン期間があって、開発をストップせざるを得ませんでしたし、シーズン前から大きな進化というのはできていません。デザインやコンセプトは引き継ぎつつ、信頼性やパフォーマンスの領域で少し改良を加えています」とコメント。

「私は常々、両方が重要だと思っています。シーズンが短くなったとしても、その考えは変わらず、バランスがとても大切だと考えています。ただ、まだ何レースになるか決まっていませんから、シーズンが短くなることで、パフォーマンス、信頼性の両面で少しトライができるかもしれませんね」

「今年はタイトル争いができればと思っています。できるだけ多く勝ちたいですね」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1オーストリアGP