F1 ピエール・ガスリー トロロッソ オーストラリアグランプリ 2018年のF1世界選手権
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、トロロッソ・ホンダのF1オーストラリアGPの決勝についてコメント。ピエール・ガスリーのリタイアの原因はMGU-Hの問題だったことを明らかにした。

ピエール・ガスリーは、16番手を走行していた15周目に白煙を上げて突然スローダウン。ピットまで戻ったものの、トロロッソ・ホンダはリタイアを選択した。

ホンダは、ピエール・ガスリーのリタイアの原因がMGU-Hの問題であったことを明らかにし、次戦にむけて対策を施していくと述べた。

「ガスリー選手がMGU-Hの問題により、15周でリタイアする形になったことは非常に残念です」と田辺豊治はコメント。

「これからさくらのファクトリーにて詳細を分析し、第2戦に向けて再発防止のための対策を打ちたいと考えています」

ブレンドン・ハートレーは、1周目にタイヤを痛めてピットインを余儀なくされ、最終的に1種遅れの最下位15位でレースをフィニッシュした。

「ハートレー選手についてはスタート直後にいタイヤにフラットスポットを作ったため、ピットインせざるを得ませんでした。粘り強い走りを続けてくれましたが、前を走るマシンを捕えるには至りませんでした」

「非常に厳しいシーズンの幕開けになってしまいましたが、前を向いて戦うしかありません。休むことなく、チームと一緒に次戦に向けた準備を進めます」

MGU-Hとは
MGU-Hは、エンジンから出る排気の熱をエネルギーに変換する。通常、エンジンの燃焼室を出た高温の排気は、排気管を通じて大気に放出される。この熱エネルギーを再利用するために、専用のモーター/ジェネレーターユニットを作動させて電気を作っているのが熱エネルギー回生システム。このユニットは、MGU-Hと呼ばれている。MGU-Hの「H」は、Heatの略で「熱」(排熱エネルギー)を意味している。

ターボ車の場合、減速を終えて次に加速しようとアクセルを踏んでも、排ガスの流量が増えてタービンが本来の性能を発揮するのに一定の時間を要してしまう(ターボラグ)。そこで、MGU-Hを利用してコンプレッサーを回転させ、タービンが排気の到達を待たずに機能させることで、ターボラグの解消を行っている。

全開加速時は、タービンに供給される排気エネルギーが増えるため、エンジンが必要な空気を圧縮するためのコンプレッサーの仕事を上回る場合がある。その際、使いきれなかった排気エネルギーによってMGU-Hで発電し、その電力を、直接MGU-Kに送る。MGU-Hでの発電量は制限されておらず、バッテリーの充放電エネルギー制限に縛られることなく、エンジンにMGU-Kの出力を上乗せして走ることができる。言い換えれば、余った排気エネルギーを、効率良く加速に使うことができる。コーナー出口の全開加速では、MGU-Hからだけでなく、バッテリーからもMGU-Kに電力を供給する場合がある。こうすることで、MGU-Kをレギュレーションで決められた最大出力(120kW)で駆動し、フル加速することができる。

関連:F1オーストラリアGP 結果:セバスチャン・ベッテルが優勝!

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / ホンダF1