ハースF1チーム 予選で苦戦する理由 エネルギー展開の問題が足かせ

今季のF1では、使用できる電気エネルギーが限られていることが週末全体に大きな影響を及ぼしている。
決勝ではオーバーテイクが容易になりすぎ、「抜いては抜き返される」ような展開が議論を呼んでいる一方で、予選ではわずかなミスが以前よりもはるかに大きな代償につながっている。
そうした状況のなかで、ハースF1チームもまた予選での最適化に苦しんでいる。オコンは日本GPで自身のガレージ側としては昨年アブダビ以来初めて予選を最大限にまとめられたと振り返ったが、それでもなお改善の余地があったと認めた。ベアマンもまた、原因をすぐには説明できないストレートでのタイムロスに見舞われ、予選の難しさを口にしている。
オコンが指摘した“まとめきれなかった”部分
エステバン・オコンは、エネルギーマネジメントが依然として最大のパフォーマンス要因かと問われ、予選でのロスを認めた。
「残念ながら、はい。あの部分では少しパフォーマンス不足が見えていた」とオコンは語った。
「ストレートでのデプロイメントを含めてすべてをまとめ切ることができていれば、差はコンマ05秒ほどだったと思う。だから、あの面で僕たちにできたことはそこまで多くなかった。でも、それを判断するのは僕の役目ではない。チームが、何を違う形でできたのかをもっと深く見ていくことになる」
オコンの言葉が示しているのは、純粋なドライビングだけでは埋めきれない領域が予選結果に直結しているという現状だ。ラップ全体のなかでどこで電力を使い、どこで回収するのかという制御が、わずかな差を生み、それがそのまま順位差になって表れている。
小さな挙動変化が大きなタイムロスに変わる現行F1
今季のオーバーホールされたパワーユニットは、複数のドライバーに予選で問題をもたらしてきた。シャルル・ルクレールがオーストラリアと中国で、そしてオコンが中国で経験したように、オーバーステアが突然出てスロットルを戻して姿勢を立て直すと、ブーストシステムがリセットされ、結果として大きなラップタイム損失につながるケースが起きている。
従来であれば修正で済んだ場面が、2026年F1ではそのままエネルギー展開の崩れを招く。つまり、単純なドライビングミスではなく、マシン側のエネルギー制御まで連鎖的に狂わせてしまう点が、現在の予選をよりシビアなものにしている。
ハースF1チームにとっても、この問題は単なるセットアップ不足ではなく、今のレギュレーション下でどれだけ正確にエネルギーを使えるかという構造的な難しさと結びついている。
ベアマンを悩ませた“説明のつかない遅さ”
一方、オリー・ベアマンは日本GP予選でQ1敗退を喫した。決勝では大きなクラッシュもあったが、その前段階となる予選でも、不可解な問題に直面していたという。
「最初のランでは、はっきりした説明もないまま単純に遅かった。それからチームに、何か問題があったと伝えられた」とベアマンは説明した。
「正確には何だったのか分からないけど、基本的にはストレートでタイムを失っていた。僕たちはクルマを再プログラムすることができた。最終ランでは大丈夫だったと思うけど、まだ確認できていない」
「でも最初のランでは、正直あまり多くを学べなかった。かなり遅い状態で走っていたと思う。結局、最後のラップでもそこまで大きく改善できなかったので、なぜそうなったのかを正確に理解する必要がある」
ベアマンのケースでは、オコンが触れたような挙動変化によるロスとは少し異なり、よりシステム的な問題が疑われている。ただ、結果として起きているのは同じで、ストレートでの電力の使われ方が想定通りでなければ、ラップ全体が成立しなくなる。
“クルマに学習させる周回”が必要な難しさ
ベアマンは、現在のF1マシンが抱える別の難しさについても言及している。単に1周を走れば終わりではなく、どこでエネルギーを展開するかをクルマ側が把握するための周回が必要だという点だ。
「こういうことでは、クルマがどこでデプロイするべきかを理解するためにラップが必要になる。そして当然ながら、ラップタイムは他のセッションよりかなり速かった」とベアマンは語った。
「こうした問題のどれでもそうだけど、失うものは積み重なっていく。1周逃して、次に戻れば大丈夫という話ではない」
この発言は、今の予選が単なるアタック一発ではなく、システムとドライバーの両方がかみ合って初めて成立することを物語っている。わずかな不具合や想定外の挙動が、そのまま次のラップ、次の判断、次のエネルギー配分にまで影響を及ぼしていく。
ハースF1チームの予選での苦戦は、単に速さが足りないという話ではない。オコンが語ったようなデプロイメントの最適化不足と、ベアマンが経験したような説明し切れないストレートでのロスが重なり、1周のなかで本来あるべきパフォーマンスを引き出し切れていない。2026年F1の新しいレギュレーションがもたらした複雑さは、ハースF1チームのような中団チームにとって、予選でのわずかな差をより厳しいものにしている。
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