ハースF1 小松礼雄「2026年はF1で最も大きな変革の年になる」

パワーユニットと空力の両面で一新される規則は、長年F1に携わってきた小松礼雄にとっても前例のない規模であり、エキサイティングである一方、極めて神経を使う挑戦になるという。
TGRハースF1チームにとっても、2026年は単なる新シーズンではなく、チームの基盤や成長力が問われる重要な一年となる。シーズン序盤、とりわけ開幕前後の準備と学習スピードがその後の戦いを左右するとし、オリー・ベアマンとエステバン・オコンの準備状況、エネルギーマネジメントや空力開発への取り組みを含め、チーム全体として変革の時代にどう向き合うかを語っている。
2026年シーズンに向けて、昨年末のオフ期間は有効に使えましたか?
オフは良かったです。クリスマスのシャットダウンがありましたし、これは本当にありがたいです。特に今回のようなプレシーズンでは、もしシャットダウンがなければ、誰もがずっと働き続けてしまうと思います。
私自身は、10歳と12歳の2人の息子と一緒に日本へ行きました。彼らが日本の正月を本格的に体験したのは初めてで、大晦日には伝統的なお寺に行って年越しをしました。文化の一面を実際に体験させることができましたし、東京で過ごした時間は本当に良いものでした。
TGRハースF1チームにとって、2026年のどんな点にワクワクしていますか?サーキット内外の両面で教えてください。
サーキット上では、パワーユニットと空力の両面で非常に大きなレギュレーション変更があります。私がF1に関わって22年か23年になりますが、これほど大きな変更は記憶にありません。それだけに非常にエキサイティングですが、同時に本当に、本当に神経を使う状況でもあります。
サーキット外に目を向けると、ここ数年で我々が成し遂げてきたことがあります。人数が増えたというだけではなく、メンタリティや考え方、レースへの取り組み方そのものが成長しました。我々の歩みはとても良い方向に進んでいると感じています。すでに確立されたものを持ちながら、新しいレギュレーションに合わせて調整していくのとは状況が違います。
我々はかなりアグレッシブな形でチームとして成長しつつ、同時にまったく新しいレギュレーションに取り組んでいます。非常に大きなチャレンジですが、昨年のメルボルンで起きたことから、我々がどのように立て直したかはすでに示していますし、それ以降も改善を止めていません。
2026年シーズンへの準備は数カ月前から始まっていますが、チーム史上、最もマネジメントが難しいプレシーズンだと感じますか?
そう言えると思います。特に我々の規模を考えるとそうです。新レギュレーションは財政面でも厳しいですし、リソースの面でも課題があります。我々がいまだに最小規模のチームであることは、誰もが知っています。非常に大きな挑戦ですし、チーム代表としての責任もより大きくなっています。この大きなレギュレーション変更に立ち向かえるだけの体制を整える必要があります。
どのチームであっても、たとえ最大規模のチームであっても、『完全に準備が整っている』と言えるところはないと思います。ただ、我々の場合はそのチャレンジがより大きいということです。
自分たちが持っているもの、自分たちが得意なことに集中し、弱点を認識しながらも強みを活かすことが重要です。そして学び続けなければなりません。この新レギュレーションでは、かなり早いスピードで学ぶ必要があります。全員が走り出したときには、必ずサプライズが出てくるでしょう。だからこそ、団結し、素早く反応し、適応していくことが重要になります。
バルセロナでのシェイクダウンのタイミングを考えると、ローンチ仕様のマシンは通常のシェイクダウンより完成度が低いのでしょうか。また、現時点での進捗については満足していますか?
バルセロナで皆さんが目にするマシンは、オーストラリアでレースを戦うマシンではありません。それは全チーム共通だと思います。単純に時期が早すぎるからです。
開幕戦の2週間前に1回だけテストがある状況とは違い、今回は開幕戦まで1カ月以上あります。チームはその間も風洞開発を止めません。そのため、バルセロナでテストするマシン、そしてバーレーンテストの最初の週に走るマシンも、開幕戦で投入されるものと比べると完成度は低いものになります。
テスト期間中からオーストラリアまでに、どれくらいの開発を想定していますか?実質的にテストが1回多く、学習スピードも速い分、例年以上になるでしょうか?
バルセロナのシェイクダウン週から、最終的なバーレーンテストまでの間で、空力パッケージを中心に、グリッド全体で非常に違うマシンを見ることになると思います。パワーユニットについては、ハードウェア自体はほぼ固まっています。
一番大きなポイントは、そのパワーユニットをどう使うかです。バルセロナでは、誰もがエネルギー使用をどう最適化するかに集中することになりますし、これは全チームにとって非常に速いスピードで進化させなければならない部分です。
これまでシミュレーターでの走行を通じて、オリー・ベアマンとエステバン・オコンからどのようなフィードバックがありましたか?
まだ初期段階ですが、クリスマス前にシミュレーターセッションを行い、今週はさらに踏み込んだ内容のセッションを実施しています。
全チーム共通の問いになるのは、ドライバーが単発のアタックラップで何ができるのか、そして複数周にわたるレースシナリオの中で、さまざまな要素をどれだけ正確にコントロールできるのか、という点です。バルセロナでは、まさにその部分に多くの時間を費やすことになります。
現在は、あらゆるシナリオを想定した宿題に取り組んでいる段階です。その組み合わせは非常に多く、それらはシミュレーターセッションにも反映されています。
TGRハースF1チームにとって、序盤戦での“進歩”とはどのようなものになりますか?
まず、レースをする前、テストの前段階として、エネルギーマネジメントをしっかりと把握することが最優先です。これは本当に大きな課題です。正直なところ、我々自身もこのチャレンジの全容をまだ完全には理解していないと思います。分かっていないことが、まだ分かっていない、という状況です。
空力開発については、これまでやってきたことには比較的満足していますが、新レギュレーションでは常に『設定した目標は十分なのか』という問いがつきまといます。テストが始まれば、さまざまなコンセプトが見えてくるはずですし、もし何かを見落としていた場合には、非常に素早く対応しなければなりません。
最初の数戦については、結果としての目標というより、我々自身に対する目標になります。まずはパワーユニットのマネジメントを確立し、その後に空力開発です。方向転換や別のコンセプトを検討する必要が出てきた場合でも、迅速に動く必要があります。
それを可能にするには、チームとしてしっかり機能し、コミュニケーションが明確であることが重要です。これらは過去数年で取り組んできたことですし、今季はそれがさらに試されることになりますが、我々は準備ができていると感じています。
今季は22台がグリッドに並びますが、どの程度の期待値を持てるでしょうか。また、勢力図が見えてくるのはシーズンのどのあたりだと考えていますか?
2つの要素によって、チーム間の差は非常に大きくなると思います。1つ目はパワーユニットです。同じサプライヤーを使うチーム同士は、ある程度まとまるはずです。メルセデスが4チーム、フェラーリが3チーム、レッドブルが2チーム、そしてアウディとホンダがそれぞれ1チームです。
もう1つは空力で、こちらは完全に自由度が高く、開発は非常に速いペースで進みます。最初の4戦ほどで勢力図がある程度見えてくる可能性はありますが、とてもダイナミックなシーズンになると思います。
開幕戦や第2戦で見えるものと、シーズン終盤で見えるものは、まったく違うものになると予想しています。
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