フォード マスタング コブラジェット2200発表 2200馬力EVが6.86秒で新記録

ノースカロライナ州シャーロットのzMAXドラッグウェイで開催されたNHRA 4ワイド・ナショナルズで初公開されたこのモデルは、約2200ホイール馬力を発揮する完全電動ドラッグカーであり、早くも6.86〜6.87秒、最高速度221〜222mphという驚異的なパフォーマンスを記録している。
これにより、従来のEVドラッグカーの記録(202.85mph)を大きく上回り、加速性能・最高速ともに新たな基準を打ち立てた。単なるコンセプトカーではなく、実戦データを伴った“記録更新マシン”として、その存在感を強く印象づけている。
2200馬力EVドラッグカーが到達した新領域
コブラジェット2200は、フォードの電動ドラッグプログラムの最新進化形にあたるモデルだ。2020年の1400馬力仕様「コブラジェット1400」、続く1800馬力仕様「スーパーコブラジェット1800」を経て、今回ついに2200馬力へと到達した。
シャシーはプロモッド(Pro Modified)スタイルを採用し、ダブルフレームレール構造によって剛性を強化。車重は約3325ポンド(約1508kg)で、前モデルより約1100ポンドの軽量化も実現している。
パワートレインは900ボルトの電動システムを採用し、2基のモーターをサミングギアボックスで統合。4つのバッテリーパック(合計32kWh)を車体各所に分散配置することで、加速時の重量移動を最適化している。
RACCクラッチと5速ミッションがもたらす制御性能
最大の特徴のひとつが、フォードが特許を取得したRACC(リバース・アクティング遠心クラッチ)だ。このシステムにより、ゼロ回転からの発進が可能となり、極端なトルクを持つEVでもトラクションを維持しながら加速できる。
さらに、5速トランスミッションを組み合わせることで、単純なダイレクトドライブでは難しいトルク制御を実現。シフト時にはクラッチスリップを活用し、ホイールスピンを抑えながら効率的にパワーを路面へ伝える構造となっている。
このアプローチは、従来のEVドラッグカーとは一線を画すものであり、内燃機関系ドラッグマシンのノウハウを高度に融合した設計と言える。

IMSAとNHRAの知見が融合した開発体制
コブラジェット2200は、単独プロジェクトではなく、フォードのモータースポーツ全体の技術的蓄積を背景に開発された。IMSAやNHRAなど複数カテゴリーで得られたデータや知見が共有され、開発に反映されている。
実際に車両はフォード・レーシング主導で設計され、MLeレースカーズとの共同で製作。ラスベガスやシャーロットでテストを重ねた後、今回の公開走行へと至った。
イベント期間中は、エンジニアチームも現地に常駐し、観客や関係者との技術的対話も行われるなど、単なるデモにとどまらない“開かれた開発プロジェクト”としての側面も強い。
EVドラッグは“実験”から“競技”へ
コブラジェット1400が「EVでも速い」ことを証明し、1800が「競争力」を示したのに対し、2200はその先の問いを提示している。それは、「専用設計されたEVレーシングカーはどこまで到達できるのか」という点だ。
すでに6秒台・220mph超という領域に突入したことで、EVドラッグは単なる技術デモの段階を完全に脱した。トラクション制御、重量配分、エネルギーマネジメントといった要素が高度に融合したこのマシンは、内燃機関の常識すら塗り替えつつある。
zMAXドラッグウェイでの走行は、その進化の“途中経過”に過ぎない。フォードはさらなる記録更新を視野に入れており、このプロジェクトが今後どこまで加速するのか、注目は尽きない。
It's official: The Ford Racing Mustang Cobra Jet 2200 has clocked a new record time of 6.87 at 221 mph - now the quickest EV on the planet.#FordRacing pic.twitter.com/cKpGVrk7xU
— Ford Racing (@FordRacing) April 25, 2026
カテゴリー: F1 / フォード F1 / 自動車ニュース
