FIA大統領選、ローラ・ヴィラールがFIAを提訴へ「民主主義は脅威ではなく力」

ヴィラールは9月に立候補を表明していたが、今回の法的措置は「統治と代表性」に関する「建設的な対話が不調に終わった」ことを受けたものだと説明している。
声明では、今回の決定を「FIA内部の透明性、倫理、そして民主的多様性を守るための重要な第一歩」と位置付けた。
「FIAを守るための行動」
ヴィラールは声明で次のように述べている。
「私はこれまでに2度、FIAと建設的な対話を試みました。内部民主主義や選挙ルールの透明性といった重要な問題についてです。しかし、得られた回答は課題に見合うものではありませんでした。私はFIAに反対しているのではありません。FIAを守るために行動しているのです。民主主義はFIAにとって脅威ではなく、その力です」
裁判所は両者に和解会議への出席も要請しており、ヴィラールは「冷静さ、開放性、そして決意をもって臨む」と述べている。
「この調停の場が、FIAをより現代的で公正で、加盟クラブに寄り添った組織へと導く真摯な対話の場になることを願っています」
ティム・メイヤー率いる「FIA Forward」も支持
この法的措置には、すでに大統領選から撤退したティム・メイヤーが率いる「FIA Forward」キャンペーンも支持を表明している。
「ローラの行動を支持します。これはFIAにおける民主主義と透明性のために必要な改革を実現するための重要な一歩です。我々の知見と経験を活かし、FIA加盟クラブのための“開かれた選挙”実現に向けて彼女の努力を支援します」
FIA大統領選は2025年12月12日に実施される予定であり、ヴィラール対ビン・スライエムという構図が正式に形成される見通しだ。
FIA内部に再燃する「統治と民主性」を巡る火種
今回の法的措置は、単なる候補者間の争いを超え、FIAの統治構造そのものに対する異議申し立ての性格を帯びている。
ヴィラールは元レーシングドライバーとしてFIA内部にも一定の理解を持つ人物であり、「透明性」「民主主義」「倫理」というキーワードを掲げての行動は、近年の内部統治への不信感を象徴している。
一方、現職のモハメド・ビン・スライエムはF1とWECを含む広範なモータースポーツ活動を指揮しながらも、ガバナンスを巡る批判や独断的な決定への懸念を抱かれている。
パリ司法裁判所がヴィラールの訴えを受理したことは、FIAの制度的な透明性が外部監視下に置かれつつあることを意味する。
11月10日の公聴会と12月12日の選挙という二段階の節目は、FIAが「自己改革できる組織」かどうかを国際社会に示す試金石となるだろう。
カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)
