FIA会長ビン・スライエム F1暴言規制を擁護「モハメド・アリを見習え」

2025年F1シーズンを前に、FIA(国際自動車連盟)は2024年に導入された規定を拡大し、ドライバーが暴言を吐いた場合により厳しい処分を科すスポーティングコードの改訂を実施。
3回の違反で「1か月の出場停止および選手権ポイントの剥奪」といった罰則が科される可能性がある。
この規定はF1パドックで物議を醸し、グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)が決定に関与していなかったとの報道や、BBCによると多くのFIA関係者も反対していたとされる。
しかしビン・スライエムはスイス紙『Expressen』のインタビューで、この方針を改めて擁護した。
「暴言は一つのメッセージだ。それを自分のプラットフォームでやるのは彼らの自由だが、私はこう聞きたい。史上最高のアスリートの一人であるモハメド・アリが、罵るのを聞いたことがあるか?」
モータースポーツは他の競技と違い、ファンがドライバーとチームの無線交信を聞くことができる点が特徴だ。そのため、アドレナリンが高まった状況で暴言が飛び出すことも多い。規制導入当初から、この特殊な事情がドライバーを不利にしているとの声もあがっていた。
この点について問われると、ビン・スライエムは次のように答えた。
「時速320キロで走るマシンをコントロールできるなら、自分の舌もコントロールできるはずだ。もし私が『無線を使うのをやめよう』と言えば、みんな『やめないでくれ』と言うだろう。では今はどうだ?」

「ばかげている」──FIAによるフェルスタッペン処分
2024年9月、FIAはシンガポールGP前の木曜記者会見でマックス・フェルスタッペンが「クルマはf*****だ」と発言した件で処分を下した。スチュワードは精査の末、フェルスタッペンに「社会奉仕活動」を命じた。
27歳のレッドブルドライバーはこの判断に不満を示し、その週末の会見では回答を制限し「ばかげている」と批判した。ただし会見室外のメディア対応には応じた。
その後、FIAはシーズン終了後に具体的な処分内容を発表。
「フェルスタッペンは来週ルワンダ・キガリで開催されるFIA総会の一環として行われるFIA表彰式に出席し、4年連続のF1ワールドチャンピオントロフィーを受け取る。その際、ルワンダ自動車クラブ(RAC)が主催する草の根育成プログラムに参加し、若手競技者と活動する」と声明を出した。
フェルスタッペンは式典前にプログラムに参加し、このような育成活動の重要性を強調した。
規則の一部緩和へ
2025年5月、エミリア・ロマーニャGPを前に、FIAはレース中の極限状態で思わず不適切な言葉が出てしまう懸念に対するドライバー側の声を受け、新たに導入したスポーティングコードの規定を一部緩和した。
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