フェラーリF1 ADUO初弾投入も効果見えず SF-26に残る課題

今回のアップグレードは、ライバル勢との性能差を縮める重要な一歩として期待されていたが、初日の走行ではメルセデスやマクラーレンとの差を埋めるには至らず、マシン全体のバランス改善が急務であることを示す結果となった。
ADUO初投入も効果は限定的
フェラーリが投入したADUO初弾では、エンジン性能がおよそ5~7馬力向上したとみられている。しかし、その効果はタイムや最高速には明確に表れなかった。
FP2でルイス・ハミルトンは1分07秒611を記録したものの、メルセデスのキミ・アントネッリには約0.6秒届かず、最高速でも区間によっては最大14km/hの差が確認された。
ただし、この結果だけでアップグレードの成否を判断することはできない。
レッドブル・リンクは標高約700mに位置し、高地特有の空気密度の低さがターボやエネルギーマネジメントに影響を及ぼすサーキットでもある。さらに気温30℃を超える厳しいコンディションのなか、フェラーリは冷却を重視したセッティングや保守的なPUマッピングを採用していた可能性も指摘されている。
そのため、ADUOによる性能向上が完全に発揮されていなかった可能性もある。
課題はPUだけではない
今回の苦戦は、パワーユニットだけで説明できるものではない。
SF-26はコーナー進入から中間までは十分なグリップを示していた一方で、立ち上がりではリアタイヤがわずかにスライドし、タイヤ温度が上昇することで加速性能を失う傾向が見られた。
レッドブル・リンクは低速コーナーから全開加速を繰り返すレイアウトだけに、この特性はラップタイムへ大きく影響する。
ハミルトンは各セクターで少しずつタイムを失い、ストレートだけでなくコーナリング性能やトラクションでもメルセデス、マクラーレンに後れを取った。SF-26は最低速度こそ維持できているものの、コーナー出口で早くアクセルを開けられず、結果として次のストレートでもタイムを失っていた。
ロングランでも上位勢に及ばず
ロングランの比較でもフェラーリは苦戦した。
ジョージ・ラッセルはミディアムタイヤで平均1分11秒220、キミ・アントネッリも1分11秒265と安定したペースを刻んだ。
これに対し、ハミルトンは平均1分11秒773、シャルル・ルクレールは1分12秒116にとどまり、メルセデスだけでなくマクラーレンにも及ばなかった。
バルセロナ・カタルーニャGPでは予選シミュレーション以上にロングランで速さを見せていただけに、今回のデータはフェラーリにとって楽観できる内容ではない。
一夜で巻き返しを目指すフェラーリ
それでもフェラーリ陣営は土曜日へ向けた巻き返しに自信を見せている。
現地では走行終了直後からエンジニアがデータ解析を開始し、イタリア・マラネロのシミュレーターとも連携しながらセットアップ変更を進めた。ハミルトンもレースエンジニアのカルロ・サンティ、チーフエンジニアのマッテオ・トニニャッリらと遅くまでミーティングを行い、改善策の検討を続けた。
ADUO初弾によるアップグレード自体が期待外れだったと結論づけるには時期尚早だ。しかし、初日の走行を見る限り、フェラーリにはPU性能だけでなく、セットアップやタイヤマネジメントを含めたマシン全体の最適化が求められている。予選までの一晩でどこまでSF-26のバランスを改善できるかが、オーストリアGPの結果を左右する重要なポイントとなりそうだ。
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カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ / F1オーストリアGP
