フェラーリ、初の4ドア4シーター「プロサングエ」を発表
フェラーリは、同社初となる4ドア4シーター「プロサングエ(Purosangue)」を発表した。

フェラーリ プロサングエは、フェラーリ史上初の4ドア4シーター。とはいえ、後部に2席あるモデルは、初期の頃から戦略上の重要な役割を果たしてきた。多くのフェラーリが、ベンチマークとなるパフォーマンスと最上級の快適性との融合を、成功のひとつの柱としてきた。

そして今フェラーリは、75年におよぶ最先端の研究の集大成として、跳ね馬のDNAを凝縮したユニークなモデルを生み出した。パフォーマンス、ドライビング・プレジャー、快適性が完璧に調和して共存するモデル。だからこそ、イタリア語で「サラブレッド」を意味するPurosangueと名付けられた。

1.パワートレイン
V12が生み出すドライビングの興奮
フェラーリ プロサングエは、同等サイズのモデルでは唯一、ミッドフロントに自然吸気V12エンジンを搭載する。マラネッロで最もアイコニックなエンジンがこの新形態にデビューし、同セグメントで最高のパワー(725 cv)を発生。フェラーリならではの心を奪うエンジン・サウンドも約束されている。

スポーツカーのエンジン
フェラーリ プロサングエのF140IAエンジンは、できる限り低い回転域から最大のトルクを発揮し、かつフェラーリの自然吸気V12エンジンならではの、リニアで無尽蔵なパワーデリバリーも失わないことを主眼に設計された。最大トルクの80%をわずか2100 rpmから発揮し、6250 rpmで最大トルク716 Nmに達する。7750 rpmで最高出力725 cvに達し、スロットル・レスポンスは、真のスポーツカーらしいもの。吸排気システムとタイミング・システムは完全に再設計された一方で、シリンダー・ヘッドは812 Competizioneの派生形。特に、機械効率と燃焼効率に惜しみなく力を注ぎ、F1をインスピレーションとするキャリブレーション・コンセプトを採用している。

進化の継続
エンジンは、跳ね馬の最新V12に大成功をもたらした構造を引き継ぎ、シリンダー・バンク角65°、排気量6.5リッター、ドライサンプ、高圧の直噴式。機械効率を最大化するため、回転パーツが再設計された。窒化スチール製クランクシャフトをモディファイしてストロークを伸ばし、内部のオイル流路も再設計して、ビッグエンド・ベアリングへのオイルフローを改善。ベアリング・クリアランスの許容範囲が縮小されて、燃費が向上している。

テクノロジーで正確性を極める
エンジンの直噴システムは、2個の高圧燃料ポンプ(350バール)を備え、ここから燃焼室内部のインジェクターに燃料が送られる。12個のコイルとスパークプラグから成るシステムで、これを常時モニターするECUは、イオン電流を測定して点火タイミングを制御するイオン感応システムを備え、シングルスパークとマルチスパークの機能を兼ね備える。ECUは、燃焼室内の燃焼も管理して、エンジンが常に最高の熱効率で稼働するようにしている。これには、タンク内の燃料のオクタン価(RON)を判別し、それに合わせて調整する洗練されたストラテジーが貢献している。エンジン制御ストラテジーでは、F1に参戦するフェラーリの専門性から生まれた特許取得の新機能を採用して、低・中回転域での過渡加速のトルクを最適化している。

フェラーリ交響曲
F140IAのサウンドは、エンジンの燃焼サイクルが生み出す壮麗なシンフォニーと、キャビンの音響をコントロールするフェラーリの手腕が見事に組み合わされた結果。エグゾースト・マニホールドは、12気筒が完璧なハーモニーを奏でるようチューニングされている。新プレナムが、V12ならではの高音を中周波音に添えます。2個の可変サイレンサーは、市街地走行とパフォーマンス走行のいずれにも合わせられる。このようにして、典型的なフェラーリサウンドが生まれ、紛れもないV12の倍音が確かに聞こえる。ドライバーがハードに加速し、エンジンがレッドゾーンの8250 rpmに近づくにつれて、心を奪うクレッシェンドになり、フェラーリのエンジンしか成し得ない高回転域で頂点に達する。

ギアを上げる
8速オイルバス式デュアルクラッチ・トランスミッションは、ドライサンプの採用と、クラッチ・アッセンブリーの小型化で、レイアウトが最適化された。これによって搭載位置が15 mm下がっている。新クラッチのパフォーマンスは35%向上し、変速時には最大1,200 Nmの動トルクを伝達する。新フェラーリ プロサングエのギアレシオは、ギア比の差が縮まって非常に緩やかになり、トップのギア比は、高速道路を走行する際の燃費が向上するよう、高めの設定。シフトダウンは、変速をスムーズにする上で最適なキャリブレーションで、ドライビング・プレジャーと新V12サウンドの強調に重点が置かれている。

フェラーリ プロサングエ

2.シャシーおよびボディ
真の4シーター
まったく新しいシャシーは、カーボン・ファイバー製ルーフ。後部ドアをリアヒンジとすることで、乗り降りしやすく、かつ車体を可能な限りコンパクトにした。キャビンには、ゆったりしたヒーター付き電動シートを4個備え、大人4人が快適に座れる。トランクはフェラーリ史上最も広く、リアシートを倒せばラゲッジ・スペースがさらに増える。フェラーリ プロサングエでは、他のフェラーリより見晴らしのよいドライビングポジションとなりますが、仕様は他のすべてのフェラーリと同じ。そのため、人間工学にのっとったドライビングポジションで、車両と密接しているので、動的性能との一体感が強まる。

独自の道を行く
レイアウトとプロポーションは、他の典型的な現代GTモデル(クロスオーバーやSUV)とはまったく異なる。そうしたモデルでは、エンジンがギアボックスと共に車両前方に搭載され、その重量配分では、跳ね馬の基準にかなうドライビング・ダイナミクスが実現しない。対してプロサングエでは、ミッドフロントにエンジンを、リアにギアボックスを搭載し、スポーツカーに典型的なトランスアクスル・レイアウト。パワー・トランスファー・ユニット(PTU)をエンジン前方に組み合わせ、ユニークな4×4トランスミッションを実現している。これによってフェラーリ プロサングエの重量配分は、マラネッロのエンジニアがミッドフロントシップのスポーツカーに最適と認める49:51となった。

フェラーリ プロサングエ

3.デザイン
生まれつきのサラブレッド
フェラーリ プロサングエは、新セグメントを作り出し、そこに前例のない新たなフロンティアを切り開いた。モダンなアーキテクチャーによって、プロサングエは汎用性の高いモデルとなり、フェラーリならではのパフォーマンスやドライビング・プレジャーと、並ぶもののない快適性が融合している。サラブレッドを意味するプロサングエの名は、このモデルのアーキテクチャーを見事に表している。アスリートを思わせる滑らかなエクステリアは、市場の他の4ドア4シーターと一線を画する。ここに、極上の快適性やラグジュアリーな広さ、完璧なしつらえのキャビンが組み合わされている。目を見張る速さと敏捷性だけでなく、乗車した4人全員が並外れた快適性を味わえる車内空間も提供する。

見間違えようのないルックス
プロサングエにフロントグリルはない。その代わりに、ディヘドラル形状が下部に浮かぶ。2個のシェルが1個のディスク形状を作り、そのスロットにカメラとパーキング・センサーを内蔵して、車両のフォルムとシームレスに融合させている。ボンネット両端には、DLRを間にはさむエア・インテークがあり、これが側面上部へと溶け込んで、スタイリング・テーマを強調している。

驚くほど広い車内空間
エアロブリッジのテーマは、そのフォルムがサイドに沿って走り、ボディ側面を特徴づけている。これが作り出すディヘドラル形状は、力強いリアのふくらみまで続く。ホイールアーチ・トリムの処理によって、フェラーリ プロサングエのボディワークの第2の層が露わになっている。機能的・技術的エレメントが下部のビジュアル要素となり、クーペのようなプロポーション。前後のドアを同時に開くと、ドアを閉じた状態で想像していたよりインテリアがはるかに広く見える。これは、ルーフのプロポーションをコンパクトに抑えるために、細部まで惜しみない努力を注いだ結果だ。

スポーティーさと力強さ
リアのふくらみはテールへとダイブし、水平のカットラインの両端にテールライトが組み込まれている。その下には、2個のスクープと2個のベントが組み合わされている。堂々たるディフューザーと大きなリア・フェンダーは、テールの幅の広さを印象づけ、このボリュームの中に、スポーティーなキャビンが低く埋め込まれている。

フェラーリ プロサングエ

4.エアロダイナミクス
風の彫刻
フェラーリ プロサングエのエアロダイナミクスは、ボディワーク、アンダーボディ、リア・ディフューザーの効率性を可能な限り高めることを重点に開発された。新たなソリューションのひとつとして、フロント・バンパーとホイールアーチ・トリムの相乗効果で空気のカーテンを作り出し、フロントタイヤを空力的に密閉して、横に広がる乱気流の発生を防いでいる。

野心的な開発
真にユニークなフェラーリ プロサングエでは、開発手法とソリューションの抜本的な再考が求められた。野心的なドラッグ低減、使い勝手やアクセスの向上、V12や補機類の冷却目標を達成するため、風洞で数百時間が費やされ、CFD(数値流体力学)によるシミュレーションが何千回も行われた。つまり、ラインアップの中で最も速くパワフルなスポーツカーと同様の開発作業が必要だった。

フェラーリ プロサングエ

5.ビークルダイナミクス
スポーツカーの制御システム
フェラーリは、最もパワフルでエクスクルーシブなスポーツカーで導入したビークルダイナミクス制御システムを、最新バージョンにしてフェラーリ プロサングエに採用している。例えば、812 Competizioneの独立四輪操舵や、296 GTBの6ウェイ・シャシー・ダイナミック・センサー(6w-CDS)を活用するABS“evo”。また、新フェラーリ・アクティブ・サスペンション・システムが世界デビューを飾った。これは、コーナーでボディのロールを制御したり、高周波のバンプでタイヤの接地面をコントロールしたりする際に非常に有効となる。

フェラーリ・アクティブ・サスペンション・テクノロジー
フェラーリ プロサングエは、世界初のシステムであるフェラーリ・アクティブ・サスペンションを搭載する。この新サスペンション形式には、無数のアドバンテージがあります。その最初が駆動方法。油圧式ショックアブゾーバーに電気モーターを組み合わせ、伝統的なアクティブ・システムより高い周波数でボディとタイヤをアクティブに制御することを可能とした。フェラーリのシステムの強みは、4個の48Vアクチュエーターのスピード。このアクチュエーターがショックアブゾーバーのストローク方向に力を加える。機械的には、ウォームギアが力を伝達する。ウォームギアは、摩擦、慣性、クリアランスを低減するよう設計されている。

ABS ‘EVO’ 2.0
フェラーリ プロサングエは、296 GTBでデビューしたABS“evo”コントローラーを備える。このモデルでは、低グリップ路面にも対処できるよう、機能の開発がさらに進められ、どんな路面状況でも最適なパフォーマンスを常に実現する。この新技術は、電子制御スタビリティ・コントロール(ESC)からの情報を活用するため、ブレーキングで4輪のスリップ目標を決定する際に、はるかに正確に車速を推定できる。正確性が向上すれば、4輪に働く前後方向の力をいっそう活用できる。また、正確な推定によって、目標値前後での操縦が最大限に増えるため、自然な変動によるばらつきが減少する。

先進の四輪駆動
フェラーリ プロサングエの4RM-Sシステムは、SF90 Stradaleの4WDシステムで制御ロジックに採用された技術革新と、812 Competizioneの独立4WSを受け継いでいる。コーナリングでは、フロント・アクスルのトルク・ベクタリングと、E-Diffによるリア・タイヤへのトルク配分、4WSによって生み出される横力とを組み合わせて、最適なヨー・マネージメントを行いる。この新たな電子制御マネージメントによって、各アクチュエーターのポジションが精密に制御され、車軸の反応時間が短縮、結果的に発生横力の正確性が高まっている。

ヒル・ディセント・コントロール
フェラーリに初めて搭載された機能として、ヒル・ディセント・コントロール(HDC)があります。急な下り坂で、ダッシュボードに表示される車速の維持とコントロールを助ける機能。HDCを稼働させると、ディスプレーで設定された車速を超えないようにブレーキ・システムが制御される。アクセルペダルを使って、ドライバーの操作を優先させることもできる。

フェラーリ プロサングエ

6.インテリア
フェラーリのラウンジ
キャビンは、ルックス、雰囲気ともに、極めてエレガントでスポーティーなラウンジを思わせます。ドアを開けると、驚くほどゆったりとしたスペースが目の前に現れる。同様に驚かされるのが、インテリアの洗練された高級感で、エレガンスとモダンさを感じさせる。モダンなデザイン要素は、フェラーリの誇るGTスポーツカーの美学と見事に調和している。使用可能なスペースを最大限に確保し、人間工学にかなうものとするため、すべて意図的にコンパクトなフォルムとなっている。

デュアル・コックピット
デュアル・コックピットのアーキテクチャーによって、前席のパッセンジャーはかつてないほど強い感情的つながりを味わえる。これをさらに促進するのが10.2インチのディスプレーで、ドライビング・エクスペリエンスへの関与に必要なあらゆる情報を提供する。既に他のラインアップモデルで採用されているように、フェラーリ プロサングエもインターフェースは完全なデジタル。デュアル・コックピットのコンセプトを後部へも拡大し、繰り返すことで、機能、ボリューム、素材、カラーが異なる4つのエリアを作り出している。

4つのエリアと4つのシート
フェラーリ史上初めて、個々に調節可能な独立した4個のシートを搭載する。快適性にフォーカスしたコンポーネントを装備し、様々な密度のフォームを活用しており、新サスペンション・システムの効果も相まって、前例のない快適性が実現し、そのレイアウトは、フェラーリのデザインを象徴するスポーティーさとエレガンスを感じさせる。後部シートはヒーター付きで、個別に調節やリクライニングができ、完全に前方に倒せば、ラゲッジ容量が格段に増加する。

フェラーリ プロサングエ

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カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ / 自動車ニュース