フェリペ・ドルゴビッチ アンドレッティFE加入はF1断念を示唆?
フェリペ・ドルゴビッチとアンドレッティ・フォーミュラEチームの契約は、両者にとって非常に良いニュースに見える一方で、F2タイトル獲得後の3年間にわたる「様子見」の末、彼のF1挑戦が事実上終わったことを暗黙のうちに示しているようにも感じられる。

この間、アストンマーティンのF1リザーブを務めながら、ドルゴビッチはヨーロピアン・ル・マン・シリーズに部分参戦し、キャデラックから格式高い耐久レースにも出走した。

しかしスケジュールは限定的であり、彼がこのアンドレッティ加入の機会を以前にも近くで掴みかけながらも、当時はF1での活動を優先して見送ったと考えられている。

今回のアンドレッティ移籍は、親会社TWGがキャデラックとともにF1参戦を準備している状況もあり、一定のF1とのシナジーはある。しかしキャデラックはすでに複数年契約を結んだベテランドライバー2人を擁し、次の候補としてスーパーライセンス取得を目指すコルトン・ハータも控えている。

したがって、ドルゴビッチがF1グリッドに並ぶ可能性は「絶対にない」とは言えないが、現実的にはほぼ終わったように見える。それは残念なことであり、というのも近年のF1ではルーキーを起用したチームが後悔することはほとんどなく、ドルゴビッチに関してもその流れに逆らう根拠はないからだ。

F2を3年目で制覇したことは、チームにとって説得材料として弱かった。特に2年目のF2では未勝利でランキング8位という成績が目立ち、好印象とは言えなかった。しかし、最終的に制したタイトル自体は非常に圧倒的なものだった。

アストンマーティンのリザーブ職は、昇格の見込みが薄い立場だった。ランス・ストロールが動かず、フェルナンド・アロンソが引退を選んだとしても、代わりには必ず大物が呼ばれるだろうと考えられていたからだ。しかし、ドルゴビッチが緑のマシンでフリー走行1回目(FP1)に出走するたび、その走りは高く評価されていた。

ドルゴビッチのFP1成績(チームメイト比較)
2022年アブダビ - ベッテルに1.4秒遅れ
2023年イタリア - アロンソに0.93秒遅れ
2023年アブダビ - ストロールに0.27秒先行
2024年メキシコ - ストロールに0.22秒遅れ
2024年アブダビ - アロンソに0.03秒先行
2025年バーレーン - ストロールに0.08秒遅れ
2025年ハンガリー - ストロールに0.31秒遅れ

もちろん、走行プログラムやFP1の位置付けを考えれば直接比較には慎重さが必要だが、それでもこれらは正規ドライバーのタイムと比べたものだ。

この3年間、アロンソやストロールの体調不良などでドルゴビッチが実際にF1デビュー目前まで迫ったことが何度かあった。それはニック・デ・フリースのように運命を変えるきっかけになる場合もあれば、ジャック・エイトケンのように次へとつながらない場合もある。いずれにせよ、ドルゴビッチにはその機会が訪れなかった。

フェリペ・ドルゴビッチ F1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

一方で今年、ガブリエル・ボルトレトはザウバーで非凡な走りを見せ、アイザック・ハジャーはレーシングブルズで活躍し、過去のレッドブル昇格例に比べても異例の早さでトップチーム昇格を掴もうとしている。フランコ・コラピントはシーズン途中投入で不安定さを見せたが、いまや経験豊富なチームメイトに迫る場面が増えている。オリバー・ベアマンはハースでチームメイトより速さを見せることが多い。

それらと比べても、ドルゴビッチが必ずしも劣っていたという証拠はなく、F1参戦前もF1練習走行の中でも、ボルトレトやハジャー、コラピント、ベアマンより確実に悪い賭けだったとは言い切れない。

これは不当な扱いというより、F1のゲームの一部にすぎない。タイミングが合わないこともあれば、僅差の勝負で敗れることもある。F1グリッドに上がれるドライバーは限られており、全員がチャンスを得られるわけではない。その場合、才能を別の舞台で発揮できる方がよい。

「他のカテゴリーで本当に良いチームからオファーはたくさんあった」とドルゴビッチは1年前にThe Raceに語っていた。

「でも、そのときはタイミングが違うと感じた。1年後でもできることだと思ったし、F1を待つチャンスはもう二度とないと思ったからね」

そして「1年後」は現実となり、待つことから走ることへと移行する時が来た。これは苦さを伴うかもしれないが、苦さよりも甘さが勝るはずだ。

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カテゴリー: F1 / フェリペ・ドルゴビッチ / フォーミュラE / アストンマーティンF1チーム