2026年F1レギュレーション刷新で波紋「DRS廃止、謎の電動モード導入」
ドイツの『Auto Motor und Sport』誌は、2026年から導入されるF1新レギュレーションの驚くべき複雑さを明らかにし、スポーツがさらにレースの原点から逸脱しつつあるのではないかという懸念を示した。

ジャーナリストのミヒャエル・シュミットは、FIAの機密エネルギーマネジメントチャートへのアクセスを許され、各サーキットごとにパワー使用が個別に制限される仕組みを確認した。新しいハイブリッドユニットはピーク時に1,000馬力以上を発揮するが、内燃エンジンと電気パワーのバランス管理が真の課題となりつつある。

FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは「電気パワーの比率が内燃エンジンに対して増加し、バッテリーには充電・放電の容量制限があるため、エネルギーマネジメントは大きな課題になる」と認めている。

「不自然な」パワードロップを回避するため、FIAはストレートでの段階的なエネルギーカットオフを強制することになる。さらに、充電・放電の制限はサーキットごとに異なり、フリー走行、予選、決勝でも変わる。例えばモナコでは、トンネル内で350km/hに達するのを防ぐため、フル電気デプロイメントが制限される。

その上、オーバーテイクはもはやDRSフラップに依存せず、各サーキットの指定ポイントで作動する電子的な「オーバーライドモード」に置き換わる。制限はサーキットごとに異なる。

2026年F1レギュレーション フォーミュラ1カー

また、トンバジスは「ADUO」スキーム(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)を確認した。これはスポーツカーのBalance of Performance(性能調整)に類似している。数レースごとに遅れているメーカーには、追加のダイノ時間やエンジン再構成などの譲歩が与えられ、差を埋められるようになる。

彼は「2014年のようにあるエンジンサプライヤーが支配してしまう事態を避けることが目的だ」と語った。しかしルールは依然として複雑であり、エンジン故障が多発して開発予算に影響を及ぼす場合には、チームに支出制限の緩和が認められることさえある。

その複雑さにもかかわらず、環境団体は納得していない。グリーンピースはオーストリア紙『Krone Zeitung』に「F1が持続可能に取り組もうとしている努力は認める。しかし決定的なのは、スポーツが構造的な変化を受け入れるかどうかだ。本当の持続可能性とは、単にバイオ燃料に依存することではなく、レース数を減らし、より合理的な計画を立てることだ」と述べた。

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カテゴリー: F1 / F1マシン