マクラーレン大誤算でタイトル争い混迷「もし負ければF1史上最大の敗北」

これにより、タイトル争いは最終戦アブダビGPへ完全にもつれ込み、ランド・ノリス、マックス・フェルスタッペン、オスカー・ピアストリの三つ巴決戦となる。
レース後、この判断に対してパドックは衝撃と批判に包まれた。スカイ・イタリアのカルロ・ヴァンツィーニは「もしマクラーレンがタイトルを失えば、F1史上最大の敗北だ」と切り捨て、レッドブルのヘルムート・マルコも「我々なら少なくとも片方はピットに入れていた」と皮肉った。
マクラーレンの判断はなぜ“致命傷”になったのか
マクラーレンはオープニングの7周目で発動したセーフティカーのタイミングで、全チームがピットに向かう中、唯一2台をステイアウトさせた。その結果、圧倒的なペースで週末を支配していたオスカー・ピアストリのレースは崩壊し、ランド・ノリスも優勝候補から脱落した。
解説者ラルフ・シューマッハは「ピットすべきことは誰でも分かる。優れたマシンなのにミスが多すぎる。戦略担当は見直す時期だ」と厳しい言葉を向けた。
「パパイヤ・ルール」と呼ばれる“平等扱い”の哲学が要因ではないかとの指摘について、ノリスは「関係ない」と否定した一方で、チーム代表アンドレア・ステラは「考慮した一つではあったが、主因ではない。単純に判断を誤った」と認めた。
ノリスは“ナンバー1待遇”になるべきか
ノリスは現在フェルスタッペンに12ポイント差、ピアストリはさらに4ポイント後方に控える。アブダビを前に、ノリスを優先すべきという声は大きい。
ラルフ・シューマッハは「決断の時だ。マックスは甘くない。ランドにはチームメイトの助けが必要だ」と主張する。
しかしステラは「オスカーの勝つ権利を尊重する。2人を戦わせる」と明言し、チームオーダーを否定した。
一方のレッドブルは“完璧な対応”
レッドブルは即座に正しい判断を下し、戦略を成功させた。表彰式にはストラテジストのハンナ・シュミッツが登壇し、「我々は恩恵を受ける立場だった」と語った。
チーム代表ローラン・メキースは「マックスと争う時は、相手がミスをしない前提で戦う。だからプレッシャーは増す」と説明し、自らリスクを取る姿勢が心理面でも優位に働くと述べた。
フェルスタッペン自身もマクラーレンの判断に「興味深い動きだ」と余裕を見せ、「今日は何が起きるか分からないレースだった。まだすべて可能だ」と逆転タイトルへの手応えを語った。
週末を支配したピアストリの落胆
予選から決勝に至るまで週末を完全に掌握していたピアストリは、無線で「言葉が出ない」と憔悴し、レース後も「この数戦を考えても、今日は特にフラストレーションが高かった」と失望を隠さなかった。
アブダビ決戦を前に、マクラーレンはチーム哲学と勝負の天秤をどう釣り合わせるのか――。そしてフェルスタッペンの“追撃ストーリー”は完結するのか。史上稀に見る三つ巴タイトル決戦は、すべてが最終戦に託されることになった。
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