F1:プランクはアイルトン・セナの死を受けて1994年に安全対策として導入
2023年F1第19戦アメリカGPでは、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが、プランクの過度の摩耗により失格となった。

F1ではグランプリで失格になることは稀だが、時折起こる。実際のレースで最後に技術的な失格処分が下されたのは2021年のハンガリーGPで、セバスチャン・ベッテルが2位表彰台を獲得した際、彼のマシンがレース後に必要な燃料サンプルを供給ができなかったとして失格となっている。

その前には、ニコ・ヒュルケンベルグとダニエル・リカルドのルノーが、禁止されているドライバー補助装置を使用したとして、レーシングポイント(現アストンマーティン)の抗議を受け、2019年日本GPのポイントフィニッシュから除外された。

ハミルトンとルクレールはともにプランク(マシンの下に敷かれた厚板)に関する技術規則 第3条5.9に違反したとして警告を受けた。

3.5.9 プランクアセンブリ
フロアボディの中央面下には、プランク、スキッド、取付部からなるプランクアセンブリを取り付けなければならない。

e. プランクアセンブリの厚さは、下面の法線方向に10mm±0.2mmであり、新品の状態で均一でなければならない。摩耗のため、最低9mmの厚さが許容される。この規定への適合は、指定された穴の周辺部で確認される。


FIAテクニカルデレゲートのジョー・バウアーと彼のチームがハミルトンとルクレールのプランクを検査したところ、摩耗はレギュレーションで認められている1mmよりも大きく、その時点で、技術規則違反に対する唯一の制裁として失格は避けられないものとなった。

ミハエル・シューマッハの先例
プランクの過度の摩耗による失格も新しいことではなく、1994年ベルギーGPでミハエル・シューマッハのベネトンが同様の違反で失格処分を受けている。

プランクは1994年ドイツGPで、同年のサンマリノGPでローランド・ラッツェンバーガーとアイルトン・セナが死亡したことを受けて安全対策として導入された。

マシンの下に木の板を置いて車高を上げ、マシンを減速させるといアイデアだった。

ハミルトンとルクレールのプランクの摩耗は、レース後の定期検査で44号車と16号車が無作為に選ばれ、全車に行われる標準的な検査に加えて、より詳細な検査が行われた際に発見された。

レッドブルのマックス・フェルスタッペンとマクラーレンのランド・ノリスも、より詳細な検査のためにレース後にチェックされた他の2台だった。

4台のマシンが詳細なチェックを受け、そのうち2台が不合格だったことから、SNS上では「50%というストライク率は、きっと他のマシンも同じような状況だったに違いない」という声が上がっている。

しかし、FIAが毎レース後に全マシンを徹底的にチェックすることは不可能であり、無作為抽出という考え方は、違法走行のリスクを考えようとする者にとっては十分な抑止力となる。

スチュワードはその評決の中で「イベント中は常にマシンがレギュレーション内にあることを確認する責任は競技者にある」とした。

ハミルトンとルクレールはともにレギュレーション内にいなかったことが判明し、失格となった。

レギュレーションで認められている不服申し立ての機会はあるが、両チームともFIAテクニカルチームの調査結果に同意していることから、その手続きは行われない。

メルセデスの反応
もちろん、表彰台を逃したことは非常に残念だ。残念ながら、これはパルクフェルメの前に1時間だけ走行するというスプリント・フォーマットの落とし穴のひとつだ」とメルセデスF1のトラックサイド・エンジニアリング・ディレクターのアンドリュー・ショブリンは説明した。

「FP1でレース用燃料量で走行しなかったこと、このようにバンピーなサーキットであること、グランプリ中にドライバーがマシンを置かなければならない部分があることなど組み合わさって、予想以上の摩耗レベルにつながった」

「我々はこのことから学んでいくつもりだが、全体としての経験からポジティブなことも取り入れていくつもりだ。ルイスは非常に力強い週末を過ごし、彼がまずランド(ノリス)、そしてマックス(フェルスタッペン)に迫り、優勝を狙っているのを見るのはエキサイティングだった」

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カテゴリー: F1 / F1マシン