F1とは? 世界最高峰モータースポーツの基本を知る
オーストラリア・メルボルンでスタートする2020年シーズンを直前に控えた各チームは最終調整に励んでいる。世界最高峰モータースポーツの座を長らく維持するF1の基礎知識をレッドブルがまとめた。

モータースポーツの頂点といえば、すぐにF1(フォーミュラワン)が頭に思い浮かぶはずだ。世界最高のドライバー、驚くべき最新テクノロジー、世界を舞台した激しいバトルで知られるF1はモータースポーツ世界最高峰という称号が相応しい。

そこにモナコやシルバーストンなどの歴史あるサーキットの豪華絢爛さ、アブダビなどのエキサイティングな新世代サーキット、人間と機械の限界を追求するドライバーたちがもたらす陶酔的なスリルなどの魅力を加えれば、F1が長らく高い人気を保っている理由は簡単に理解できる。また、F1は単に「サーキットを周回する」だけのスポーツではない。今回は、F1について知っておくべき基礎知識を紹介。

F1とは?
F1はモータースポーツ界の頂点に君臨しており、世界最高のドライバー・世界最速のマシン・世界最難関のサーキットが集められる。F1はシングルシーター(単座席)マシンで競われるレースの最上位クラスに位置し、4輪が露出したオープンホイールマシンは驚異的なスピードでサーキットを周回する。簡潔に言えば、F1はレースを志す全員が目指すカテゴリーなのだ。

レースウィークエンドの流れは?
各GP(グランプリ)は金曜日から日曜日にかけて開催される。金曜日に2回のプラクティスセッション(FP1・FP2)、土曜日に3回目のプラクティスセッション(FP3)と公式予選が行われ、日曜日に決勝レースが行われる。決勝レースのグリッド順は土曜日に行われる公式予選セッション3回の結果で決まる。公式予選の最初の18分間のセッション(Q1)には全ドライバーが参加するが、タイムが遅かった下位5人は次のセッション(Q2)に進めない。次のQ2は15分間で、ここでも下位5人が足切りされるが、最終セッション(Q3)はフォーマットが異なり、ここで最速タイムを記録したドライバーが決勝レースの先頭グリッドからスタートする。

F1マシンはなぜ速い?
現代のF1マシンは極めて複雑な構造で、ハイブリッド電気モーターを備えた排気量1.6Lターボエンジンは1,000馬力以上を発生する。この馬力は一般的なコンパクトカーの約10倍に相当するが、車重は約半分の740kgに抑えられている。通常の半分の車重で通常の10倍のパワー、つまり、普段自分が乗っている車のパワーが20倍になるのと同じなのだ。F1マシンが速いのは当然と言える。また、トップスピードが優先される他カテゴリーのフォーミュラマシンと異なり、F1ではダウンフォースにも重点が置かれている。非常に軽量なF1マシンは、年々複雑な形状に進化しているウイングやディフューザーなどの空力デバイスが生み出すダウンフォースを使って路面に張りつくことで比類のないコーナーリング性能も実現している。

注目のトップドライバーは?
現在のF1にはかつてないほど素晴らしいドライビング能力に秀でたドライバーたちが集まっているため、2020シーズンはアストンマーティン・レッドブル・レーシングやフェラーリが王者メルセデスに真っ向勝負を挑むことが予想されている。これまで6度のF1ワールドチャンピオンを獲得している前年王者ルイス・ハミルトン(メルセデス)は引き続き目が離せない存在だが、今年も引き続きモチベーションを維持できるのだろうか? アストンマーティン・レッドブル・レーシングは最も才能豊かなヤングドライバーコンビ、マックス・フェルスタッペンとアレックス・アルボンを擁している上に、ホンダとの関係の深化によって2019シーズンに3勝を記録しているため、今シーズンはタイトル獲得のビッグチャンスを得ていると言える。ドライバーズチャンピオン4冠を誇るセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)と僚友の若きチャージャー、シャルル・ルクレールも引き続き優勝争いに絡んでくるはずだ。

ピットストップとは?
F1は過去数十年で大きな変化を遂げており、ピットストップ関連もピットストップの義務化・禁止、タイヤ交換の義務化など様々なルール変更が行われてきた。2009シーズン以降F1から消えた給油作業が復活する兆しは2020シーズンも見られないが、レース中のタイヤ交換は依然として義務付けられている。アストンマーティン・レッドブル・レーシングは史上最速ピットストップ記録を保持しており、2019シーズンにフェルスタッペンが乗るRB15の全4輪をわずか1.82秒という驚愕の速さで交換してみせた。ドライバーたちは10分の1秒、あるいは100分の1秒を争っているため、迅速なピットストップ作業はレースにおいて決定的な違いを生む可能性がある。

タイヤの種類は?
レースウィークエンドを通じて各チームは3種類のドライ用タイヤコンパウンド(ソフト / ミディアム / ハード)を選べる。最も柔らかいソフトタイヤは最も速やかにグリップが得られる(それゆえに加速性能が高い)が、その反面、グリップの低下が早い。また、雨天時や路面が濡れている時はインターミディエイトやウェットタイヤが選択できる。各ドライバーがレースウィークエンドで使用できるタイヤのセット数はドライ13セット・インターミディエイト4セット・ウェット3セットまでに制限されている。また、レースの膠着化を防ぐために決勝レースでは最低2種類のドライ用コンパウンドの使用が義務づけられている(ウェットレース宣言でインターミディエイトとウェットタイヤの使用が認められた場合は除く)。

F1はどこがユニークなのか?
F1はほぼ全レースがユニークだ。モナコやモンツァ、シルバーストンのような古いサーキットがこのスポーツの歴史を教える一方、ベトナムやオランダなどの新開催地(厳密には後者は1985シーズン以来の復活)は新しいファンにF1の興奮を教えている。しかし、F1のユニークさはサーキットとドライバーだけがもたらしているわけではない。このスポーツの舞台裏には技術進歩を目指して努力を重ねている優秀なスタッフが数多く存在する。“天才” は多用されがちな言葉だが、幾度となく常識を覆しながら世界最速のレーシングマシンの作り方を示してきたエイドリアン・ニューウェイのようなエンジニアたちほどこの言葉が相応しい存在はいない。

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カテゴリー: F1 / F1マシン