F1エミリア・ロマーニャGP予選 各チーム代表が戦略と成果を総括

ポールポジション獲得の舞台裏から、クラッシュや予選敗退の原因分析、そして日曜に向けた展望まで、10チームの指揮官たちが語った予選総括と現状の手応えを紹介する。
アンドレア・ステラ(マクラーレン チーム代表)
「今日は、予想通り非常に接戦の予選だった。ここは高速コーナーの続く流れるようなサーキットだから、その特性も反映された形だ。今回もマクラーレン、レッドブル、メルセデスの差はほとんどなかった。鈴鹿やサウジアラビアではマックスがわずかに上回っていたが、今日はオスカーが少しだけ上回り、見事なポールポジションを獲得してくれた。ランドもポール争いの中にいたが、最終アタックではリズムを崩してしまった。全員がコンマ1秒を削り合う展開だったことを考えれば、MCL39のフィーリングをさらに良くしていく余地はまだあるということだ。明日のレースに向けては、ロングランでのペースには自信を持っているが、マイアミのような展開になるとは思っていない。ここイモラではポジション取りが非常に重要になるし、鈴鹿のように戦略による差で勝負が決まる可能性がある。かなり接戦のレースになるだろうし、非常にエキサイティングなグランプリになるはずだ」
クリスチャン・ホーナー(レッドブル チーム代表)
「マックスにとってはまたしても素晴らしい予選だった。毎週のように言っている気がするが、今回も本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。ポールまではあとわずかで届かなかったが、フロントロウに並べることができたのは良い結果だし、明日に向けても良い位置だと思っている。もう一方のガレージでは、裕毅が大きなクラッシュを喫した。もちろん最も重要なのは、彼が無事だったということだ。クルマは直せばいいが、今夜はメカニックたちにとって大きな仕事になる。縁石に乗りすぎたことが原因のようだ。今後のことはこれから検討するが、まずは裕毅が無事だったことに安堵している」
ブラッドリー・ロード(メルセデス チーム代表補佐)
「今日の予選は、明暗の分かれる結果になった。ジョージは非常に落ち着いたセッションを走り、最終ラップではミディアムタイヤで見事なアタックを決めてP3を獲得してくれた。アウトラップがもう少し理想的に運べていれば、ポール争いに絡めていた可能性もあった。予選前から、ミディアムがQ3でも有効になる可能性があると考えていたが、アストンマーティンがQ2で見せたパフォーマンスを見て、その判断を確信した。一方で、キミにとっては非常に難しいセッションになった。タイヤから思うようにグリップを引き出せず、ジョージよりもダウンフォースが高めのセットアップを選んでいたにもかかわらず、コーナーでその恩恵を感じられていなかった。彼にとっては初の母国レースで厳しい結果になったが、こうした困難な週末こそがドライバーを成長させてくれる。FP2のロングランでは良いペースを見せていたので、明日は順位を上げていけると信じている。イモラは通常ワンストップになる傾向が強いが、今年はタイヤがより柔らかめの構成なので、それが確実とは言い切れない。今夜はシミュレーションを使って、どこにチャンスがあるかを詳細に確認する予定だ。今回のレースは、ロングランでのタイヤ温度管理の進化を測る良い指標にもなると思っている」
アンドリュー・ショブリン(メルセデス トラックサイドエンジニアリングディレクター)
「キミがQ3に進めなかったのは残念だった。ここ最近のサーキットと比べても、彼は今回特にペースに苦しんでいたように見えた。マイアミではかなり自信を持って走れていたが、今回はその感覚を得られなかった。とはいえ、昨日のロングランでは良いペースを見せていたので、明日は何らかの形でポイント圏内に戻ってこられるように、あらゆる手段を検討していくつもりだ。ジョージに関しては、Q3の最後にP3を取れてよかったと思っている。アストンマーティンがミディアムタイヤで強さを見せていたので、我々も最終ランでミディアムを選んだ。それがうまく機能して、ジョージはコンマ2~3秒タイムを縮めることができた。結果として1つポジションを上げられたので、良い判断だったと思う。明日のレースがどう展開するかはまだ予測が難しい。タイヤを適切にマネジメントしないとオーバーヒートするリスクがあるし、ここは非常に狭くてグラベルも多いサーキットなので、波乱が起きる可能性もある。表彰台争いに絡み続けるために、できる限りのことをやっていく」
アンディ・コーウェル(アストンマーティン チーム代表)
「今日の予選ではチーム全体の努力が結実し、フェルナンドがP5、ランスがP8という素晴らしい結果を得ることができた。両ドライバーは予選を通じてミスなく走り切り、すべてのラップで感動的な走りを見せてくれた。マシンのセットアップも非常に良く、ドライバーのパフォーマンスを最大限に引き出せたと思う。タイヤ戦略の判断も非常に的確だったし、その準備はこのイベントの何日も前から始まっていた。今日の結果は、イモラに持ち込んだアップデートを含め、あらゆる面で改善を重ねてきたチーム全員の努力の賜物だ。このコースでは予選順位が特に重要だが、ポイントは日曜のレースでしか獲得できない。ここからさらに集中して、明日もしっかりと戦っていきたい」

ジェームス・ボウルズ(ウィリアムズ チーム代表)
「今日は本当に素晴らしい一日だった。2台そろってトップ10に入ることができたし、カルロスはQ2で素晴らしいラップを決めてトップに立った。もちろん一時的なものではあるが、チームとして非常に大きな成果だった。明日のレースに向けては、十分な数の新品タイヤも確保しているし、それがどう活かせるかを見ていきたい。この良い流れを保って、2台ともポイントを獲得できるように全力を尽くす」
ティム・ゴス(レーシングブルズ CTO)
「今日の予選では、前向きに捉えられる点が多くあった一方で、最終的には望んでいた結果を取りこぼしたという感覚も残っている。Q1では両ドライバーとも1回目の走行で良いラップを刻んでいたが、その後アルピーヌのクラッシュによってセッションが終了し、2回目のランでポジションを改善する機会を失ってしまった。アイザックはQ2に進出できたが、リアムはわずかに届かず。Q3ではクルマの強みを活かしてしっかり走ってくれたが、最終ラップでターン1~3のシーケンスで小さなミスがあり、ラップを中断することになった。結果としては、ユーズドタイヤで出したラップタイムでP9にとどまることになった。ポジティブな点としては、空力アップデートが効果を発揮し、トップ10での予選を達成できたこと、そして昨日のFP2で確認したレースペースが非常に良好だった点だ。明日は両ドライバーとも前のクルマを追えると確信している」
フラビオ・ブリアトーレ(アルピーヌ エグゼクティブアドバイザー)
「今週末も1台をQ3に進出させることができたのはポジティブな結果だ。マイアミを除けば、ここ数戦はコンスタントにトップ10に入れており、今のクルマが十分に戦える状態にあると再確認できた。ピエールのQ2でのタイムやアウトラップの準備を見れば、もっと上のポジションを狙えた可能性もあったが、全体としては良い位置につけられたと思う。フランコについては、チームとともにクルマに慣れていく過程の中で、非常に良い仕事をしてきた。今回は限界を攻めた結果としてクラッシュになってしまったが、それは若いドライバーにとって避けがたい経験だ。本人とも話をしたが、すでに気持ちを切り替えていて、明日はしっかり立て直してくれるはずだ。チームは今夜中にクルマを修復し、明日に向けてできる限りの準備を整える」
フレデリック・バスール(スクーデリア・フェラーリ チーム代表)
「今日は本当に多くのティフォシが会場に駆けつけてくれていたのに、我々はその期待に応えることができなかった。だからこそ、この結果には満足していない。とても厳しい一日だった。マイアミのときと同様に、我々は新品タイヤを使ってもタイムを改善できず、Q2でのベストラップがQ1のタイヤで出したものという奇妙な現象が起きてしまった。今日のタイヤの挙動は全体的に不安定だったが、我々にとっては他チームよりもその影響が大きかったように思うし、予選全体の進め方という点でも最適とは言えなかった。明日の決勝については、金曜日に良いロングランペースを示していたが、ここは追い抜きが非常に難しいサーキットだし、戦略面である程度リスクを取らないと、挽回は簡単ではない。これからできる限り準備をして、ティフォシのためにも明日は全力で戦いたい」
ジョナサン・ウィートリー(ザウバー チーム代表)
「まず何よりも、裕毅とフランコの両ドライバーが大きなクラッシュから無事に歩いて戻ってきたことに安堵している。今回のようなクラッシュを見るたびに、F1における安全面の進化を改めて実感する。予選について言えば、ニコはQ1の中でバランスを改善してきていたが、ターン17で小さなミスをしてしまい、そこで予選が終わった。一方で、ガブリエルはすべてのラップをクリーンに走り切り、最終的にP14を獲得した。とはいえ、今日は他チームの不運にも助けられていた部分があり、その点は謙虚に受け止めている。明日のレースでは厳しい展開になることを覚悟しているが、どんな状況でもチャンスを最大限活かせるように、チーム全体でベストを尽くしていく」
小松礼雄(ハース チーム代表)
「今日は本当に残念な予選になってしまいました。昨日から今朝にかけての段階で、厳しい戦いになるとはわかっていましたが、最低でも1台はQ3に近づけると思っていたので、2台ともQ1で敗退というのは正直悔しいです。Q1のコンディションは風の影響などで難しかったですが、そのなかでオリバーはしっかり対応して、1分16秒077という素晴らしいラップを出してくれました。ただ、そのタイムが削除されてしまったことについては、レースコントロール側の判断とこちらの認識に食い違いがあります。赤旗が出たタイミングより前にチェッカーを受けていたと我々は考えていて、チームとしてもその根拠になるデータをいくつも確認しています。そのため、スチュワードと話を続けていますが、結果として予選順位が変わらないとしても、なぜその判断が下されたのかという説明はしっかり求めていくつもりです。実際、スチュワード側でも議論が長引いていて、そのせいでQ2の開始が遅れました。我々としてはオリバーのタイムは有効だったと強く主張しています。エステバンに関しては、週末を通じてクルマのバランスに苦戦していて、昨日はセットアップ面で課題がありました。今朝はある程度良くなったと思っていましたが、それでも最終的に思うようなタイムが出せなかった理由は、まだこれから検証が必要です。明日の決勝では、少しでも多くのポジションを取り戻せるように、今夜しっかり準備していきます」
カテゴリー: F1 / F1エミリア・ロマーニャGP