F1アゼルバイジャンGP 2025年:バクー・シティ・サーキット&タイヤ解説
2025年F1 アゼルバイジャンGPが、9月19日(金)~9月21日(日)の3日間にわたってバクー・シティ・サーキットで開催される。公式タイヤサプライヤーのピレリが2025年のF1世界選手権 第17戦 アゼルバイジャングランプリのタイヤについて解説した。

ヨーロッパでのF1シーズンが終了し、いよいよチャンピオンシップ最後の3分の1が「風の街」バクーから始まる。カスピ海最大の都市であり、カフカス地方でも最大の都市であるアゼルバイジャンの首都バクーは、2016年から2020年を除いて毎年グランプリを開催してきた。

興味深いことに、その初年度はアゼルバイジャンが地理的にアジアに位置しているにもかかわらず、「ヨーロッパGP」として知られていた。

コンパウンド

ピレリはアゼルバイジャンGPに向け、2025年シーズン最もソフトなトリオを持ち込む。これは昨年よりも1段階ソフトな選択となる。実際、C6がソフトとして戻ってきており、イモラ、モナコ、モントリオールに続いて登場する。C5がミディアム、C4がハードとなる。

グリップと摩耗のレベルが低いストリートサーキットでは、2024年と同じ選択では必然的にワンストップ戦略になってしまう。だが今年のレンジはグレイニングの影響が大幅に減っているため、2ストップ戦略の可能性も開かれている。さらに、直近のモンツァでも示されたように、チームとドライバーはタイヤマネジメントに長けており、戦略の大きな差は出にくいと考えられる。ストリートトラックでありながらバクーには非常に長いストレートがあり、マシンは非常に高いトップスピードに達し、タイヤには大きな縦方向の荷重がかかる。

F1 アゼルバイジャンGP

2024年

大多数のドライバー(14人)は第1スティントでC4(ミディアム)を選択し、残りはC3(ハード)を選んだ。グリッド前方5列に並んだ中では、ノリス(マクラーレン)とアルボン(ウィリアムズ)だけが最も硬いコンパウンドを使用した。スタート前は全員がワンストップを計画していたように見えたが、ストロールとフェルスタッペンは2度目のピットストップを行った。前者はパンクのため、後者はファステストラップの1点を狙うためだった。同様に、ガスリーも最終盤にピットに入り、ハードで50周を走り切った後、残り2周でソフトに履き替えた。

アゼルバイジャングランプリ

サーキット

バクー・シティ・サーキットは全長6.003kmで、旧市街と新市街を縫うように走る。全20コーナーの多くは90度カーブで構成されている。メインストレートは非常に広く、3台以上が横並びで走れるスペースがある一方、旧市街のターン8では幅がわずか7メートルしかなく、コース上で最も狭い部分となっている。

このタイプのサーキットではミスの許容範囲が極めて小さく、わずかなエラーが大きな代償を招く。そのため、セーフティカーは予選や決勝で頻繁に登場する可能性がある。

バクーでは速度の変化も激しい。F1イベントで記録された非公式の最高速度は2016年予選でボッタスが叩き出した378km/hである。一方、最も狭い区間では時速60km/h程度で走る。これにより、エンジニアは空力ダウンフォースのレベルを定義する際に、予選と決勝の両方で競争力を確保する効率的な妥協点を探ることに苦労する。

F1 アゼルバイジャンGP 2025年のF1世界選手権

キーワード:冷却

バクーでは、タイヤ表面がラップ中に加熱と冷却のサイクルを繰り返し、温度が大きく変動する。旧市街のタイトな区間ではタイヤに強いストレスがかかり、表面温度が上昇するが、ターン16の出口からターン1のブレーキングゾーンまでの全開区間では温度が急激に低下する。フロントアクスルでは温度が90℃近くに達するが、ストレートエンドでは最大40℃も低下し、予選やバトル時、さらにはセーフティカー明けのリスタートではドライバーを不意打ちすることになる。

さらに、コース沿いの建物が影を落とし、風と相まって気温を大幅に下げることもある。

F1 アゼルバイジャングランプリ 2025年のF1世界選手権

統計コーナー

カスピ海沿いでのグランプリはこれまで8回開催され、7人の異なる勝者が生まれている。唯一2勝を挙げているのはセルジオ・ペレスで、レッドブルで2021年と2023年に勝利した。レッドブルはさらに2017年(リカルド)と2022年(フェルスタッペン)でも勝っており、チームとして通算4勝を挙げている。メルセデスは2016年(ロズベルグ)、2018年(ハミルトン)、2019年(ボッタス)の3勝。昨年はピアストリがマクラーレンでトップチェッカーを受けた。

優勝者は多様だが、ポールポジションではあるドライバーがバクーの「名手」となっている。シャルル・ルクレールは2021年から2024年まで4年連続でポールポジションを獲得しており、そのときのマシンが必ずしも最速でない場合でもポールを手にしていた。その他のポール獲得者はロズベルグ(2016年)、ハミルトン(2017年)、ベッテル(2018年)、ボッタス(2019年)である。

ポディウム回数ではペレスが最多の5回、次いでベッテルが3回。チーム別ではメルセデスが7回、レッドブルが6回、フェラーリが5回と続いている。

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カテゴリー: F1 / F1アゼルバイジャンGP / ピレリ