F1オーストリアGP 記者会見 PART2:ラッセルがフェラーリの躍進を警戒
2026年F1第8戦オーストリアGPのFIA公式記者会見後半には、アウディのニコ・ヒュルケンベルグ、メルセデスのジョージ・ラッセル、キャデラックのセルジオ・ペレスが出席した。

メルセデスとフェラーリの勢力図やタイトル争い、キャデラックのアップグレード、アウディの進歩などについて3人が語った。

Q: ジョージ、まずはあなたからお願いします。トト・ヴォルフは前戦スペインGPを「メルセデスにとって現実を突きつけられた週末」と表現しました。ポールポジションを獲得したにもかかわらず、あの週末とマシンのパフォーマンスをどう振り返りますか?

ジョージ・ラッセル: 確かに現実を突きつけられた週末だったと思う。

フェラーリはシーズンを通してシャシー性能は非常に優れていた。一方でパワーユニットは僕たちより遅れていて、かなり差があった。でもバルセロナでは突然大きく前進したように見えた。

その結果、ストレートスピードでもかなり近づいてきたし、多くのアップグレードを投入してきたことには正直驚いている。

僕たちは今季ここまでアップグレードは1回だけだ。もちろん今後投入予定のものもあるけれど、フェラーリやマクラーレンは2戦ごとくらいのペースで新しいパーツを持ち込んでいる。

だから僕たちも開発を続けなければならないし、新しいパーツを投入するたびに彼らは大きく前進していると思う。

Q: つまり、メルセデスにも今以上のアップグレード投入を望んでいるということですか?

ラッセル: 今のF1ではコストキャップがあるから、とても難しい問題なんだ。

もちろん「あと2戦後にアップグレードを投入しよう」と決断することはできる。でも、シーズンのどのタイミングが最も効果的なのか、そしてコストキャップの範囲内でどこまで投入できるかも考えなければならない。

フェラーリは違うアプローチを取っていて、別の部分でコストを節約し、その分を開発へ回しているのかもしれない。

結局はバランスの問題だ。

そして最終的には、今でも僕たちが倒すべきチームであることに変わりはない。

だから今週末は、フェラーリの好調が本物なのか、それとも一時的なものだったのかを見極める良い機会になると思う。

Q: あなた自身とマシンについてはいかがですか? スペインではキミ・アントネッリとの差を縮めましたが、マシンへの手応えは良くなっていますか?

ラッセル: スペインでは金曜日と土曜日の内容にはとても満足していた。

ここ数戦は、自分ではどうにもできないことも、自分自身の問題も含めて、本当に苦しい流れが続いていた。十分なパフォーマンスではなかったと思う。

だからバルセロナではもっとシンプルな考え方で臨んだ。

予選ではすごく速かったし、週末全体を通しても良かった。

残念ながら決勝ではフロントウイングにトラブルが起きて大きく影響を受け、その隙をフェラーリに突かれてしまった。

だから新しいマシン、セットアップ、タイヤについて、少しずつ改善を積み重ねて最大限の力を引き出していかなければならない。

でも今は調子も良いし、自信もある。これから5週間で4レースあることを楽しみにしている。

Q: ニコ、モナコとバルセロナでは悔しい結果が続きましたが、その中でも前向きに捉えられる点はありますか?

ニコ・ヒュルケンベルグ: 全体として見れば、僕たちは確実に前進していると思う。

パフォーマンスはあるし、中団では十分に戦えている。モナコもバルセロナも、純粋な速さでトップ10に入れるだけの力はあったと思う。

ただ、どちらの週末も日曜日はいろいろな状況が重なって結果につながらなかった。

バルセロナの決勝について言えば、自分たちで少し難しくしてしまった部分もあったと思う。

それでも前向きな要素はたくさんある。

開幕から2、3戦の頃と比べると、マシンは確実に良くなっていると感じる。

あとは時間の問題だし、すべてをうまくまとめ上げて、クリーンなレースを続け、集中力を維持することが大事だと思う。

Q: 欲しかったポイントはまだ獲得できていませんが、チームには勢いが出てきていると感じますか?

ヒュルケンベルグ: そう思うよ。

Q: 今の時期について聞かせてください。昨年はここから好成績が続き、シルバーストンでの表彰台にもつながりました。今年はチームが大きく変わっていますが、今後数戦にはどんな期待を持っていますか?

ヒュルケンベルグ: 正直、何を期待すればいいのか分からない。

大事なのは期待ではなく、自分たちがコース上で何を見せられるかだ。どういうパフォーマンスを発揮するかがすべてだと思う。

ヨーロッパラウンドに入って、好きなサーキットが続く。

夏場だから暑いレースも多くなるし、来週はシルバーストンだ。あそこは僕のお気に入りのコースのひとつでもある。

もちろん全力を尽くして、今度こそ日曜日に結果を持ち帰りたいね。

Q: 1年前と比べて、チームはどれほど変わったと感じていますか?

ヒュルケンベルグ: もちろん違うよ。

今はワークスチームになり、アウディとして戦っている。チームには確実に変化があったし、その変化はすべて前向きなものだ。

さっきも言ったように、最初の5〜6戦は多くの面で本当に厳しく、大きな挑戦だった。

でも僕たちはそれを乗り越え、自分たちの力で状況を立て直してきたと感じている。

まだその努力に見合う結果は得られていないけれど、だからといって止まるつもりはない。

これからも努力を続けて、自分たちの力で結果を引き寄せたい。

Q: チェコ、チームにとって今週末は重要なレースになります。大規模なアップグレードを投入しますが、期待を聞かせてください。

セルジオ・ペレス: もちろん大きく前進したいと思っている。

予選ペースでは確実に中団との差が縮まってきていることは分かっている。

一方で、タイヤのデグラデーションについてはまだかなり課題が残っている。

今回アップグレードを投入することで、さらに中団へ近づけることを期待している。

そこまで行ければ、あとは細かい部分の勝負になる。

オペレーション面ではチームは本当に大きく改善してきたし、ここまで着実に前進している。

だから今回のアップグレードで、さらにライバルへ近づけることを期待している。

Q: チームがここまで学んだことで、2026年シーズン最大の教訓は何でしょうか?

ペレス: すべてを最大限に生かすことの重要性だね。

オペレーション、戦略、そのすべてだ。

グリッドのどこを走っているかは関係ない。

F1はどの順位でも本当に競争が激しい。

たとえ18位争いでも、アストンマーティンのような強いチームや優れたドライバーたちと戦っている。

だから一つひとつの細かな部分を最大限に生かすことが大切なんだ。

Q: あなた自身についてですが、今年はすでに十分なレース数をこなしました。昨年1年間休養した影響はありましたか? シーズン序盤は時間が必要でしたか?

ペレス: 僕にとってはすごく良かったと思う。

1年間休んでF1へ戻るのは決して簡単じゃない。

去年の途中にフェラーリの2023年型マシンをテストした時、自分でも驚くくらいすぐに感覚を取り戻せた。

自分の将来が決まるまでは、他のカテゴリーのマシンには一切乗りたくなかった。

そしてフェラーリに乗ったら、数周、数回のランだけで以前のペースまで戻ることができた。

それが大きな自信になった。

しかも今年は新レギュレーションで全員がゼロからのスタートだった。

だから長年F1で戦ってきた経験もあって、元の感覚を取り戻すまでに時間はほとんどかからなかったよ。

Q: 今週末は非常に暑くなります。クーリングジャケットは使う予定ですか?

ペレス: 本当は使いたくないんだ。

結局は重量面で不利になるからね。

それに……僕はメキシコ人だから、この程度の暑さは全然暑いとは思わない(笑)。

ヨーロッパの人たちが、このくらいの暑さを心配しているのを見ると笑ってしまうよ。

僕にとってはごく普通の気温だからね。

でも、少しでも涼しくするために着用するつもりだ。

Q: セルジオ、確かに今日は3人の中で唯一ショートパンツですね(笑)。ジョージに伺います。ルイス・ハミルトンは前戦スペインGPの記者会見で、優勝後に「本来の自分を取り戻した」と話していました。それを踏まえると、あなたにとってタイトル争いでより警戒すべき相手はハミルトンですか、それとも依然としてキミ・アントネッリですか?

ラッセル: まず、ルイスが本来の姿を取り戻したのを見るのは本当に嬉しいよ。

同時に、それは今のF1がどれほど難しいかを示していると思う。

マシンは非常に複雑だし、タイヤも複雑、パワーユニットも複雑だ。

すべてが噛み合わなければ、自分の力を最大限に発揮することはできない。

去年や、僕たちがチームメイトだった2024年には、「もう年を取り過ぎたんじゃないか」「以前ほどではない」といったことを書かれていた。

でも今は、ここ4〜5戦で圧倒的な走りを見せている。

一晩で運転の仕方を忘れることなんてないんだ。

自分自身も、チームも、セットアップも、タイヤの理解も、すべてが噛み合う必要がある。

そして、それが噛み合えば一気に速く走れる。

今まさにルイスはその状態にある。

だから間違いなく大きな脅威だよ。

フェラーリも非常に大きな脅威になってきている。

もちろんキミは依然としてランキング首位で、本当に素晴らしく安定した走りを続けている。

でもフェラーリは確実に迫ってきているし、その中心にいるのがルイスだ。

Q: チームメイトのキミとの争いと、他チームのドライバーとの争いでは、どちらの方が神経を使いますか?

ラッセル: どちらも緊張はしないよ。

むしろワクワクする。

競い合う相手が多いほど、一人との勝負ではなくなるからね。

それは僕たち全員がカート時代から経験してきたことだ。

いつだって勝利を争う相手は3人、4人、5人いた。

F1も本来そうあるべきだし、それこそが僕たちをワクワクさせるものなんだ。

だから楽しみにしているよ。

Q: メルセデスの2人はコース上で激しく争っています。チームオーダーについてはどう考えていますか? 必要なら指示を出すべきですか、それとも自由に戦うべきでしょうか?

ラッセル: チームにとって最優先なのは勝利だ。

それが僕であろうとキミであろうと関係ない。

カナダでは僕たちは激しく争っていたけれど、後続との差を広げていたから、チームの勝利が脅かされる状況ではなかった。

でもバルセロナでは事情が違った。

そこへルイスが加わり、セーフティカーも彼に有利に働いた。

もしセーフティカーがなければ、キミと僕が争っている間にタイムを失い、フェラーリに勝つチャンスを与えていたかもしれない。

そういう時こそ、チームメイトとして賢く判断しなければならない。

チームはレースに勝つことを最優先に考えている。

それが僕であろうとキミであろうと関係ないんだ。

Q: 今シーズンはメルセデス製パワーユニットで信頼性トラブルが多発しています。あなた自身やキミにも起きました。コックピットへ乗り込む時に気になりますか? また、原因や解決策は見つかっていますか?

ラッセル: メルセデスにとって今、最優先事項なのはこの問題を解決することだ。

新しいレギュレーションが始まると、パフォーマンスの限界まで攻めるから、信頼性とのバランスを見極めるのは簡単ではない。

でも、正直なところ、運転中にそれを気にすることはない。

ただチーム全体としては、メルセデスだけでなく、すべてのカスタマーチームも含めて最優先で取り組んでいる課題だ。

Q: バッテリーの警告については、何か対策や解決策はありますか?

ラッセル: 信頼性の話だね。

正直、原因の解析は簡単ではなかった。

カナダで使っていた僕のバッテリーは、危険物扱いのため航空輸送できず、いまだに船便で輸送中なんだ。

でも工場では同じ問題を確認しているし、マクラーレンやウィリアムズでも発生した。

キミもバルセロナで同じトラブルに見舞われた。

だから今は最優先事項なんだ。

でも僕自身は、マシンのパフォーマンスや、自分が改善できる部分だけに集中している。

自分ではどうにもできないことまで気にしてストレスを抱え込まないようにしているよ。

Q: 現在サッカー・ワールドカップが開催されています。メキシコもドイツもベスト32に進出しました。皆さんは試合を観ていますか? ジョージ、イングランドはついに優勝できると思いますか? まずはニコからお願いします。今夜はドイツにとって大事な試合ですね。

ヒュルケンベルグ: そうだね。

ヨーロッパではだいたい夜10時キックオフだから、子どもを寝かしつけて、お風呂に入った後にちょうどいい時間なんだ。

気軽に観戦しているよ。寝る前にはちょうどいい番組だね。

ペレス: 僕たちにとっては本当に盛り上がっているよ。

ワールドカップがメキシコで開催されているのは素晴らしいことだし、代表チームもすごく良い戦いをしている。

だから、この先のラウンドでどうなるのか本当に楽しみにしているよ。

Q: グアダラハラでの試合を観られないのは残念ですか?

ペレス: すごく残念だよ。

行こうとしたんだけど、スケジュールの調整がかなり難しかった。

でも次の試合を勝ち上がれば、またメキシコで試合があるから、その時は絶対に行くつもりだ。

ぜひ行きたいね。

ラッセル: さっき3人でも少し話していたんだけど、僕も試合は観ているよ。

ペレス: 次はイングランドと当たる可能性もあるんじゃないかな。

ラッセル: じゃあ一緒に行こうか(笑)。

君の飛行機に乗せてもらうよ。

イングランドの試合はもちろん全部観ているし、本当に応援している。

優勝できる大きなチャンスがあると思う。

前の試合は結果だけ見れば完璧ではなかったけれど、内容は本当に良かったし、とても安定した戦いをしているよ。

Q: ジョージ、自分でコントロールできることだけに集中したいと話していましたが、信頼性が今年のタイトル争いを左右する決定的な要素になる可能性はあると思いますか?

ラッセル: そうならないことを願っている。

もちろん過去にはそういうシーズンもあった。例えば2016年がそうだ。

でも今のF1はシーズンが長いから、1戦や2戦の不運があっても、それを取り返すチャンスは十分にあると思っている。

だから、そうならないことを願っているよ。

でも、それで眠れなくなるようなことはない。

それは僕にはコントロールできないことだからね。

僕にできるのは、マシンに乗っている一瞬一瞬でできる限り速く走ることだけだ。

それが僕の目標だ。

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カテゴリー: F1 / F1オーストリアGP / F1ドライバー