アストンマーティンF1技術責任者「ニューウェイは妥協を許さない完璧主義者」

カルディーレはフェラーリからアストンマーティンに移籍し、ニューウェイとともに2026年型マシンの開発に携わっている。ニューウェイはレッドブルから移籍し、アストンマーティンの「マネージング・テクニカル・パートナー」としてチームに加わり、株式保有者としても関わる。
カルディーレは、ニューウェイが「2026年マシン開発を動かすエンジン」であり、何よりも「妥協を許さない完璧主義者」だと強調した。
「彼のすごいところは、何事にも一切妥協しない姿勢だ。どんなにコストがかかろうと、完璧を追い求める。その執念がチーム全体を突き動かしている」とカルディーレは語った。
カルディーレはフェラーリ時代に車体技術部門の責任者を務め、現在はニューウェイの隣室で開発にあたっている。彼によれば、ニューウェイから学ぶことは多いという。
「彼は何かを思いつくと、どう実現するかまで明確なビジョンを持っている。誰かがその実現に苦労していても、具体的な手順を惜しみなく教えてくれる」
「非常に高いレベルで全体を把握していながら、必要とあれば詳細にも深く入り込み、実現可能性まで詰めることができる。その両立が本当に驚異的だ」
カルディーレは、ニューウェイの長年にわたる経験こそがこの特異な才能を支えていると語る。
「エイドリアンのユニークさは、卓越した頭脳と豊富な経験の両方にある。彼がキャリアを始めた頃のF1はチームの人数も少なく、今のような高度なツールもなかった。その環境で培った総合的なスキルが今に生きている」
「新しい技術が出るたびに、彼は常に最前線で習得してきた。だから彼と話すのは、まるで現代のF1チーム全体と会話しているような感覚だ。チーフデザイナーでもあり、ビークルダイナミクスの専門家でもあり、空力責任者でもある──それがひとりの人間の中にある。そんな存在は唯一無二だ」

ニューウェイ加入がもたらす「総合技術融合」効果
カルディーレの発言から浮かび上がるのは、アストンマーティンが2026年に向けて構築している「ニューウェイ主導の技術統合体制」だ。
2026年レギュレーションでは、空力・車体・パワーユニットの相互連携がこれまで以上に重要になる。カルディーレの言葉を借りれば、ニューウェイはその3つを横断的に統括できる「万能エンジニア」。従来の部門間の壁を越えた技術融合を推進できる人物だ。
カルディーレが「コストに妥協しない完璧主義」と評した点も象徴的だ。アストンマーティンはここ数年、巨額の設備投資と人材補強でチームの再構築を進めており、ニューウェイの哲学とカルディーレの構造設計思想が融合することで、マシン全体のアーキテクチャが進化する可能性が高い。
2026年の「ニューウェイ×カルディーレ」体制は、単なる空力アップデートを超えた“総合設計革命”の幕開けを告げるものになりそうだ。
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