クリスチャン・ホーナーのF1復帰に待った、アルピーヌ文書が示す9月の壁
クリスチャン・ホーナーのF1復帰が、当初想定されていたよりも遅れる可能性が浮上している。PlanetF1.comが入手した企業文書により、アルピーヌF1チームに関する株式取引の制約が明らかとなり、少なくとも9月中旬までは動けない状況にあることが判明した。

元レッドブル代表であるホーナーは、F1への復帰にあたりチームへの資本関与を重視しているとされるが、アルピーヌを巡る契約上の条件がその道を阻んでいる。今回発覚した文書は、ホーナーの復帰時期と進路を左右する重要な要素となりそうだ。

昨年のイギリスGP以降、F1の現場から離れている元レッドブル代表のホーナーは、適切な機会があれば数週間以内にF1へ復帰できる立場にあると見られてきた。しかし、今回明らかになった文書が、その道筋に新たな障害をもたらしている。

ホーナーはF1史上でも屈指の成功を収めたチーム代表の一人であり、20年にわたるレッドブルでの在任期間中に、ドライバーズタイトル8回、コンストラクターズタイトル6回を獲得した実績を持つ。

解任後は公の場に姿を見せていないものの、F1復帰への意欲を失っていないことは周囲に知られている。ただし、次に目指すポジションは、これまで以上に上位の役職である可能性が高く、さらにチームの一部所有権を持つことが重要な条件と考えているとされる。

その条件に合致する候補は、アルピーヌとアストンマーティンの2チームに絞られる。

アストンマーティンは最新鋭の風洞施設を含む新ファクトリーを備え、近年は人材面でも大型補強を進めてきた。中でも注目されるのが、レッドブル時代の同僚であるエイドリアン・ニューウェイの加入で、彼はチームの株主になることを条件に移籍したとされている。チームオーナーのローレンス・ストロールも、株式の一部放出に前向きな姿勢を見せてきた。

一方で、ホーナーにとって真の変革を託せる舞台として浮上しているのがアルピーヌだ。

クリスチャン・ホーナー アルピーヌF1チーム

アルピーヌ文書が示すホーナー買収の現実的タイムライン
アルピーヌは近年、期待された成果を挙げられておらず、構造改革の余地が大きいチームと見られている。現在の低迷期に参画することは、長期的にチーム価値を高める観点から理にかなっているとも言える。

火種となっているのが、アルピーヌF1チームの少数株主であるオトロ・キャピタルの存在だ。同社はコンソーシアムの一員として、2023年半ばにチームの24%を取得している。この事実は、ルノー側に一定の持分共有への意思があったことを示唆している。

当時、オトロは約2億ユーロで24%を取得し、チーム全体の評価額は約9億ドル(約1,395億円)とされていた。その後、2025年11月にフォーブスが示した評価では、アルピーヌの価値は約24億5,000万ドル(約3,797億5,000万円)に上昇し、オトロの持分は約5億8,800万ドル(約911億4,000万円)相当となる。2年余りで約170%という驚異的な投資回収率だ。

一見すると、オトロがこの持分をホーナーに売却するのは自然な流れにも思える。しかし、PlanetF1.comが確認した会社定款には明確な制約が記されていた。

文書によれば、第三者への株式売却は「定款採択日から3年が経過した後」にのみ可能とされており、その日付は2023年9月13日となっている。さらに、売却にはルノー・グループの承認が必要だ。

つまり、ホーナーは少なくとも今年9月中旬までは、オトロが保有するアルピーヌの株式を直接取得することができない。加えて、その後もルノー側が取引を認めなければ話は進まない。

この複雑な条件は、ホーナー陣営から伝えられていたF1復帰への切迫感が、ここにきてやや後退しているように見える理由を説明するものでもある。

もっとも、アルピーヌへの関与が完全に消えたわけではない。オトロがさらなる価値上昇を見込み、持分を当面保持する選択肢もあるし、逆にルノーが少数株主を不要と判断し、持分を買い戻す可能性も否定できない。その場合、ホーナーの関与は完全に閉ざされることになる。

いずれにしても、元レッドブル代表がエンストンに所有者として関与する姿を目にするのは、早くともアゼルバイジャンGP以降となりそうだ。実現するとしても、その道のりは決して単純ではない。

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カテゴリー: F1 / アルピーヌF1チーム