フェルナンド・アロンソ
フェルナンド・アロンソが、フェラーリからマクラーレンへの移籍、そして、ホンダのF1復帰への思いを語った。

フェラーリを離れて、マクラーレンに移ったという判断は正しかったですか?
5年間フェラーリで走っていましたし、契約が残っていたので続けることはできましたが、今回はホンダが復帰をするということで、勝てる可能性が高いと感じ、契約を結びました。

確かにフェラーリとは5年間に2度2位になりましたが、ホンダのほうが可能性が高いと言う感覚がありましたし、特にホンダの施設を見せてもらい、技術的な部分を考えても勝てるチャンスがありそうだと感じました。だから、復帰するホンダの一員になりたい、ホンダのロゴが付いたシャツを着たいって思いました。

新しい時代に復帰するホンダの一員になりたかったのです。ここまで、この決断は正しかったと思ってますし、勝ちたいと思っています。勝つんだったらホンダだけ、そう思ったんです。

ホンダのロゴが付いたシャツを着たいという説明がありましたが、マクラーレン・ホンダということを聞いたとき、何が頭に浮かびましたか?
子供の頃はセナ・プロスト時代で、ホンダ・マクラーレンがF1を席巻していました。3歳のときに父かゴーカートを作ってくれて、それがその時代のマクラーレンのカラーリングのレプリカでした。

写真やビデオを見て、そういう風に育ってきたんだと思っています。でも、今こうして33歳になって2回ワールドチャンピオンになることができ、また今マクラーレン・ホンダが復活するということで、そこに行こうと思いました。ちょうどいいタイミング、行くべきタイミングなんだと思って移籍しました。

ある意味、父の夢でもあったし、僕の家族、僕の子供時代の夢でいた。今回はレプリカのマシンではなく、本物のF1マシンに乗ることができる、マクラーレン・ホンダのマシンに乗ることができるので、ある意味、僕にとってはパーフェクトで、モチベーション的にも本当にパーフェクトです。僕のアイドルのセナを目指したいと思っています。

ホンダの施設を視察されたということですが、どこが一番関心したところはどこでう? また、日本人と仕事をする上で、武士道、侍と言うようなスピリットを感じますか?
そういうスピリットを感じるかどうかについてはイエスです。細かいディテールなど、やっぱり日本の文化は楽しいですし、僕は日本が好きです。

来日して毎回日本の人たちと仕事をすると、新たに“日本にはこういう文化、仕事の仕方があるんだな”ということを発見していきます。初めて日本人と仕事をするので、そういう発見がたくさんあります。日本人は仕事に対してコミットメントして、きっとりとした仕事をしていく。やるべき仕事、例えば朝8時から6時までしっかりやっていくし、勝つという目標があれば、それに向けて仕事をするのが彼らの仕事に対するアプローチだということが分かりました。

もちろん、これから成功していくためには、一緒に仕事をしていく必要があるし、その目標を念頭に置いて仕事を進めていく必要があります。いろんな仕事のアプローチの仕方を見てきましたが、仕事に関する理念、考え方もとてもいいと思います。とにかく、きちんと関係を築いて仕事をするのが日本人と感じています。

もう一つは技術レベルですが、それもいい感触があります。施設やいろんなところを見て、技術レベルが高いこともわかりましたし、そこで働いてる人たちもプロフェッショナルなアプローチで取り組んでっます。

最近のエンジンは、単にメカニカルな塊ではなくて、ハイレベルなエレクトロニクスがお互いにつながって機能していかなければならない。そういった科学的なアプローチっていう部分は共通すると思うし、それが一つの日本の文化だと思います。そこで働いてる人たちにもとても魅力があるし、それぞれが個性的だと思います。今後に向けて、そういったことをうまく活用していければと思ってます。

創設者の本田宗一郎さんはアイルトン・セナにNo.1エンジンを造るといつも話していました。本田宗一郎さんに関して、何か感じていることはありますか?
本田宗一郎さんは僕もとてもリスペクトしています。モーターレーシングの世界を変えた人はそんなにたくさんはいませんが、本田さんはその一人と思います。それがホンダという会社を魅力的にしてると思います

ドライバーとしてはもちろん走りたいし、アドレナリン全開でマシンを走らせたいですが、それよりももっと大事なのは、トップに戻るということモータースポーツに対する情熱だと思います。それから、ホンダと仕事をしていると、チーム全体が本田宗一郎さんが持っていたようなそういったモータースポーツに対する情熱をまだ持ち続けてると感じるし、モータースポーツに対しての思いや価値観とか想いをみんなで共有してると感じます。

ホンダのみんながそういった気持ちを持っていて、ホンダの人たちは仕事だからやるという感じではなく、モータースポーツが好きだからホンダにいて、ホンダで働くことに誇りを持ってると感じます。その思い、情熱は、宗一郎さんが持っていた想いだったのではないと思います。

以前もマクラーレンに所属されていましたが、その当時のマクラーレンと今のマクラーレン・ホンダ、また、フェラーリとマクラーレン・ホンダの雰囲気をの違いを教えて下さい。また、今年の具体的な成績の目標を教えて下さい。
チームの違いですが、一つはチームを比較すると言っても、そのときにいろいろあってパフォーマンスが違ったりします。

マクラーレンも2007年とは違うと感じています。前はもっとイギリス人が多かったですが、今はもっとインターナショナルなチーム編成になって、色んな国籍の人たちがいて、もっと全体的に近しい感じでやっています。もちろん、その半分は日本人です。今のチームはみんなで仕事をする上でベターな状態ですし、オープンでリラックスできて、冷たい感じもないので、とてもいい感じです。

それから、フェラーリは、なにしろイタリアなので、カオスとまでは言わないですが、毎日ちょっとずついろんなことが起きたりして、違うことをしたり、あまり整理整頓されてきちんと仕事が回っているという感じではないですが、とてもポテンシャルの高いチームでした。

あと、ヘレスで最初のテストがありましたが、みんなの情熱のレベルは高いと思います。それはマクラーレン・ホンダが復活したからで、戻ってきた人たちは、以前のチームの雰囲気を知っているということもありますし、思い出もあって、日本の人たちもいるので、仕事に対して決意を持って取り組んでくれるし、才能がある人も多いと感じています。特に、エレクトロニクスに関して必要なことをきとんとやっていく形になってると思います。

それから、僕の目標ですが、一つはマシンの完全なポテンシャルがどれだけなのかがまだわからないので、信頼性のポテンシャルを確かめるところまで行ってないですし、今はまだ確認、開発の最中です。他のチームは1年先にそれをやってきてるので、彼らはレースをしながら出てくるいろんな問題を解決してきてました。今は僕たちがそれをやってるということになります。

だから、今シーズンは多少細かい問題が出てくると思うし、出たらまた解決しながらやっていくことになります。それから、長期的な目標はもちろんワールドチャンピオンになることです。それをなるべく早く達成したいし、それが2カ月なのか、6カ月なのか、1年なのか、1年半先なのか、それはまだちょっとわからりませんが、そのうちタイトルを獲りたいと思っています。それだけは自信を持って言えることです。

バトンよりも上の成績で今シーズンを終えられると思いますか?
ジェンソンは素晴らしいパートナーだし、二人合わせて500戦してきてるので、そういった経験を積んできたドライバーはホンダにとってもとても重要なことだと思います。初めて投入するこのパワーユニットで、僕たちドライバーとしてやることは、そのドライバビリティを確認し、チームの人たちにインプットをしていくことだと思います。ジェンソンはチームメイトとしてもそういった意味でもとても経験を積んでるので、僕は彼と組めてすごくハッピーだし、彼はF1を熟知しているので、とてもいいチームメイトだと思います。もちろん、彼とのバトルを楽しみにしています。僕も14年ずっとF1の世界にいますが、今年は最後勝てるかどうかなってところだけど、頑張ってていきたいです。

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カテゴリー: F1 / フェルナンド・アロンソ / ホンダF1 / マクラーレンF1チーム