F1アブダビGP予選 展開:フェルスタッペン大逆転5連覇に望みを繋ぐPP獲得

中団勢も激しい競争を繰り広げ、ガブリエル・ボルトレト、エステバン・オコン、アイザック・ハジャーが上位に進出。角田裕毅は最終アタックを行えなかったものの10番手を確保し、決勝での巻き返しに挑む。
■ Q1:路面が秒単位で変化、全車のアタックがぶつかり合う大渋滞のタイム合戦
セッション開始と同時に数台が飛び出したものの、最初に計測を残したアルピーヌ勢やストロールのタイムはまだ控えめで、各車の立ち位置はつかみにくいまま。路面温度が落ち着き始めると、グリップが一段階上がったかのようにタイムが一斉に伸び始め、ボルトレトが上位に顔を出し、ストロールも自己ベストを刻みながら食い込んでくる。
セッション残り数分になると、ほぼ全車がピットを出てコース上に重なり合う“アブダビ名物のラッシュ”が発生。トラフィックを避けながら各車がベストラインを確保しようと位置取りを変え続け、タイムシートは数秒ごとに色を変える激しい攻防に。角田裕毅は最終アタックで全区間をまとめ、わずか0.008秒差で突破圏へ滑り込むことに成功。対照的にハミルトンはターン12でマシンが暴れ、立て直しながらもタイムを削り切れず、角田の前に出られないまま16番手に沈んだ。
最後のチェッカーまで順位は入れ替わり続け、アルボン、ヒュルケンベルグ、ガスリー、コラピントも路面進化の“最後の波”に乗り損ねて後方に埋没。Q1だけで予選の空気が一変するほどの接戦が広がった。
■ Q2:中団勢が牙をむき、上位勢を脅かす異常な速度帯へ。僅差の連鎖が生んだ大乱戦
Q2が始まると、フェルスタッペンはあえて新品を温存し中古タイヤでマシンの“機嫌”を探る走りを選択。対照的に中団勢は最初から攻めに転じ、ベアマンがいきなり紫区間で飛び出すと、オコンやボルトレトも続いてスコアボードを揺さぶる。順位表示は常に点滅し、上位勢が安全圏を構築できる余地を完全に奪われる展開となった。
セッション中盤には、各車が異なる距離でタイヤを温めながら同時多発的にアタックへ向かう状況となり、1台のタイム更新につられて全員がスイッチを入れる“連鎖反応”のタイム合戦が展開。ローソン、ハジャーも鋭いラップで上位圏を脅かし、Q2は中団勢が完全に主導権を握る弾丸セッションと化した。
最後のアタックでは全車新品タイヤを投入して決戦へ。わずか千分台単位の差が連続し、ボルトレトが再び上位へ割って入る一方、サインツJr.は一瞬突破圏に入ったものの、後続の更新ラッシュに押し戻される。最大の焦点はベアマンで、ハースの未来を担う新鋭は完璧なラップをまとめながらも0.007秒足りず11番手に。ローソンは13番手、アントネッリはマシン後方の安定不足に苦しみ14番手、ストロールは15番手。角田裕毅は10番手を死守し、乱戦を切り抜けてQ3への最後の枠を掴んだ。
■ Q3:レッドブルが隊列を構築、空気の流れまで計算した最終決戦。フェルスタッペンが“刺し違えない一撃”で頂点へ
Q3は角田が真っ先にコースインし、後続にフェルスタッペンが続く“レッドブルの隊列”が形成される。空気の流れ、ギャップの作り方、アタックの出し方まで計算された動きで、フェルスタッペンは中古タイヤながら1分22秒295を刻み、開始早々に他を圧倒する存在感を放つ。
一方、マクラーレン勢は上位に食らいつくが、トウの恩恵を得られない状況ではトップスピードが伸びずセクター1でどうしても後れをとる構図に。ピアストリは細かくラインを変えながら攻めの姿勢を見せるが、レッドブルの速度域に対して決定打が作れないまま時間が進む。ラッセルも渾身のアタックを試みるが、ターン14〜15の切り返しでリアが流れ、わずかな乱れが大幅なタイムロスとなって上位争いから脱落した。
最後の勝負では、路面が最も高い性能を引き出すわずかなタイミングを捉えたフェルスタッペンが、まるで“刺し違えないために磨き上げた一撃”のように1分22秒207まで記録を更新。ノリスは区間ごとのベストを積み上げたものの0.201秒届かず、ピアストリも0.230秒差。角田はトラックリミット違反もあり10番手にとどまったが、フェルスタッペンの隊列形成に貢献しQ3の構図を作り上げた。
■ 最終結果:フェルスタッペンPP、マクラーレン勢が続き、中団の躍進が予選全体を揺さぶる
ポールポジションはフェルスタッペン。タイトル争いの3名が上位を独占し、決勝は戦略と序盤の先手が極めて重要な構図となった。
ボルトレト6番手、オコン8番手、ハジャー9番手と中団勢の存在感は非常に強く、予選の序列は従来とは一変。角田裕毅は10番手から逆襲を狙う。

■ トップ3コメント
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
「路面温度が下がっていくと、どれだけマシンを押せるかが分かってくる。ポールを獲れて本当にうれしい。僕たちにできるのは自分たちの仕事を完璧にこなすこと、それだけだよ。」
ランド・ノリス(マクラーレン)
「本当にタフな予選だったよ。マックスが素晴らしい仕事をしたから、おめでとうと言いたい。僕たちもできることは全部やったし満足しているけど、シーズン最終戦でポールを逃したのは正直悔しいね。
でも明日勝ちに行くつもりだし、それが目標だ。」
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
「Q1でようやくリズムをつかめたし、Q3最後のラップも自分としては出し切れたと思う。あれ以上残っていた部分は多くない。悪くない内容だったよ。」
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