F1 Topic:セーフティカー時の周回遅れ車両処理と終了のタイミングの謎 / F1アブダビGP
2021年のF1ワールドチャンピオンの決め手となったF1アブダビGPの最終ラップのリスタートだが、F1レースディレクターのマイケル・マシの説明には過去との矛盾がある。

残り6周でのニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)のクラッシュにより、レースにはセーフティカーが導入された。2番手を走行していたマックス・フェルスタッペンはソフトタイヤを装着するためにピットインし、ルイス・ハミルトンとの間には5台の周回遅れのマシンがいた。

当初、マイケル・マシは、周回遅れのマシンはアンラップするために追い抜いてはいけないと通達したが、残り2周でそれを覆して間に挟まれている5台にリーダーとセーフティカーを追い抜くことを指示した。

また、本来ならば、周回遅れのマシンがセーフティカーを追い抜いた次の周でセーフティカーは退く。しかし、F1アブダビGPでは残り2周で周回遅れのマシンに指示した後、すぐにセーフティカーが退き、最終ラップでレースは再開となった。

2020年のF1アイフェルGPでは、ランド・ノリス(マクラーレン)がストップして火が出るというトラブルで、レース中にセーフティカーが長時間配備され、上位2台のルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンは、温度の低い路面での低速の走行による影響に不満を漏らした。

当時、マイケル・マシは「競技規則にはすべてのマシンが追い抜くまでウェーブするという要件がある。その時点でまだ6番手以降はまだ走っていた。10~11台がアンラップしなければならなかった。したがって、セーフティカ期間が通常予想するよりも少し長くなった」と説明。

メルセデスは、競技規則 第48条12項の「先頭車両に周回遅れにされていたすべての車両は、先頭車両と同一周回(リードラップ)にいる車両およびセーフティカーを追い越すことが求められる」「競技長がセーフティカーの存在が引き続き必要であると判断しない限り、最後に追い越された車両が先頭車両を追い越したら、セーフティカーは次の周回の終了時点でピットへ戻る。」に反していると指摘。

メルセデスF1は、すべてのマシンを通過させるか、どのマシンも通過させないようにする必要があると主張したが、スチュワードはその主張を却下した。

F1アブダビGPの周回遅れのマシンは8台であり、ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンの間の5台だけに指示したことが第1の疑問点だ。

だが、今回、マイケル・マシは競技規則の文面の「周回遅れの車両とは、全ての周回遅れ車両という意味ではない」と反論した。

スチュワードは、第48条13項の「競技長がセーフティカーを呼び戻しても安全であると判断した時は、"SAFETY CAR IN THIS LAP"(セーフティカーはこの周回で入る)のメッセージが公式メッセージ送信システムにより全競技参加者に送信される」という点を強調。

「第48.12条の目的は、リーダー間のレースに“干渉”する周回遅れの車両を取り除くことであり、この状況では48.13条が優先して適用される」

5台の周回遅れのマシンの一台だったランド・ノリスは「追い抜いたのがマックスの前にいた最初の3~4台だけだったというのは知らなかった」と語る。

「バトルのためにそうしたのは明らかだ。もちろん、テレビのためにね。そして、結果のためだ。それがフェアであろうかどうかを僕が決めるのは難しい」と語った。

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カテゴリー: F1 / F1アブダビGP