F1 タイヤ空気圧
ピレリは、F1チームが“グレーエリア”を利用して、スタート時のタイヤの空気圧を下げていると疑っており、タイヤデータをリアムタイムでモニタリングできるよう要求している。

2015年のF1ベルギーGPでセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)のリアタイヤがバーストして以来、タイヤの空気圧はたびたび議論を生んできた。

マシンが速くなるにつれて、ピレリは最低空気圧を高く指定するようになり、一部のドライバーからは、空気圧が高すぎてパフォーマンスに悪影響を及ぼすとの不満の声が上がっている。今年のF1中国GPでも、ロマン・グロージャンがピレリの指定する空気圧の高さは“馬鹿げている”と酷評している。

一方、ピレリは、一部のチームがフォーメーションラップ前の空気圧チェックから実際のスタートまでの間にタイヤの空気圧を下げる方法を見つけたのではないかという疑いを持っているようだ。

ピレリのモータースポーツダイレクターを務めるポール・ヘンベリーは、チェック時と走行中の空気圧に違いがないように空気圧データをリアルタイムで提供すべきだと述べた。

「我々の指定空気圧は、手元にある情報に基いて実際のレーススタート時の空気圧として決めているものだが、最後にチェックできるのはフォーメーションラップが始まる前だ」

「だが、大部分のチームのスタート時の実際の空気圧は昨年と比べてそれほど上がっていない。もっと大幅に上がっていると考えられるが、現実にはそうなっていない」

「これが何を意味するか。つまり、一部のチームがチェック後に空気圧を下げる方法を見つけていて、スタート時の空気圧が我々がチェックした時点での圧とは違う可能性があるということだ。だが、まだそうした方法を知らないチームもあり、我々としては、チームがそこでアドバンテージを見出すために余計な金を使ったりしてほしくない」

「正しい解決策は、データシステムを通じてタイヤの空気圧をリアルタイムで送ってもらうことだろう。そうすれば、我々の一番の関心事である走行中の空気圧の最低値を知ることができるし、チェック時との不一致というグレーエリアをなくすこともできる」

「これは今年中にも導入できることであり、有意義なことだと思っている。遅くとも来年には実現したい。また、そうした方が、全チームに対して公平だと思う。このグレーエリアを利用するために、資金やエネルギーを費やすことができないチームもあるかもしれない。リアルタイムのモニタリングは、すでに他のカテゴリーで実際に行われていることでもある」

多くのF1ドライバーが、現在の空気圧の制限は厳しすぎるとしてピレリを批判しているが、2017年か導入される新テクニカルレギュレーションに適応したタイヤでは、そのような制限は緩和されるはずだとポール・ヘンベリーは語る

「現行タイヤは、すでに3年近くも開発を許されていないので、設計時の能力の限界に達しつつある」とポール・ヘンベリーはコメント。

「実際、現在のタイヤはすでに“頭打ち”の状態にあり、負荷をかければかけるほど、パフォーマンスは下がってしまう」

「新しい仕様のタイヤでは、もう少し空気圧設定を低めにするつもりであり、最適な空気圧は実際の使用条件に基づいて決定する」

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カテゴリー: F1 / ピレリ