角田裕毅 F1メキシコGPで最新フロントウイング投入 フェルスタッペンと同一

これまで角田裕毅は旧仕様のまま走行を強いられており、アップデート配分の「格差」が話題となっていたが、ついに両者のマシンが同一スペックに揃う。
アメリカGPのフリー走行では、フェルスタッペンにのみ新型フロントウイングが搭載され、角田裕毅のRB21には前戦シンガポールと同じ型落ち仕様が装着されていた。
ピエール・ワシェ技術責任者によれば、チームが比較テストを行ったものの新仕様は1セットしか用意されておらず、角田裕毅には選択肢がなかったという。
角田裕毅は当時、「まだ試していませんが、ぜひ使ってみたいですね。見た目からしても、よりフロントの回頭性が上がるはず」とコメントしており、新ウイングの投入を強く望んでいた。
新型フロントウイングは、広いフラップ面積と高い空力弾性(エアロ・エラスティック)を持つ設計が特徴で、速度域に応じて形状がわずかに変化する。
低速コーナーでは高い回頭性を発揮し、高速域ではダウンフォースの過剰な増加を防ぎながら安定性を確保するという理想的なバランスを実現している。
この柔軟な特性により、車速が上がるにつれて空力中心が後方に移動し、マシン全体の挙動がより穏やかで一貫性のあるものとなる。
これがフェルスタッペンの復調を支えた要因であり、レッドブルRB21の再生の鍵と評されていた。
さらに、このフロントウイングは新しいアンダーフロアとの相乗効果を狙って設計されている。
モンツァで投入された新型フロアは、気流をより効率的にリアへ導く設計となっており、フロント側で発生した空気の流れをスムーズに後方へ繋げることで、車体全体の空力バランスを最適化している。
この組み合わせによって、低速域での回頭性と中高速域での安定性を両立し、コーナー進入から立ち上がりまでの挙動変化を極めてリニアに制御できるようになった。

角田裕毅にとって、この最新仕様の投入は単なるパーツ供給の平等化にとどまらず、シーズン終盤戦における立場回復の象徴的な意味を持つ。
チーム代表ローラン・メキースは以前、「裕毅の努力とチームへの貢献に見合う環境を整える」と述べており、今回のアップデート適用はその一環とみられる。
メキシコでは、両ドライバーが同一仕様のマシンで臨む初の週末となる。FP1では、フェルスタッペンのマシンに来季のF1デビューが期待されるアービッド・リンドブラッドが乗り込む。マシンが同一仕様になったことで逆にその部分を言い訳にすることはできなくなった。
角田裕毅が最新フロントウイングとフロアの相乗効果を最大限に引き出し、どこまでフェルスタッペンに迫る走りを見せるか、注目が集まる。
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