角田裕毅 ヒュルケンベルグのF1初表彰台で現役の未経験最多出走者に

ニコ・ヒュルケンベルグは、F1史上最多となる表彰台未経験記録に終止符を打った。イギリスGPで見せた見事なパフォーマンスによって、ついにその瞬間を迎えた。
キャリア通算239戦目(エントリー数は242回)となるこのレースで、ザウバーのヒュルケンベルグは戦略を見事に決め、天候が目まぐるしく変化するシルバーストンでランド・ノリスとオスカー・ピアストリに続く3位に入った。
フェラーリのルイス・ハミルトンからは終盤のスティントで激しいプレッシャーを受けたが、磨耗したウェットタイヤでそれに耐えきり、ついに表彰台の一角をつかみ取った。
さらに特筆すべきは、37歳のヒュルケンベルグが最後列グリッドからこの快挙を達成したことだ。
この結果は、ザウバーにとっても2012年の日本GPで小林可夢偉が3位に入って以来となる久々の表彰台となった。
ヒュルケンベルグの悲願達成により、これまでの最多未表彰台記録保持者の座は、かつてフォース・インディアに所属していたエイドリアン・スーティル(128戦)に引き継がれることになった。
なお、現役ドライバーで最多の表彰台未経験者はレッドブルの角田裕毅で、今回のイギリスGP終了時点で99戦に出走している。
それ以外で表彰台を経験していないドライバーは、フランコ・コラピント(アルピーヌ)、オリバー・ベアマン(ハース)、リアム・ローソン(レーシングブルズ)、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)、ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)とルーキーだけだ。

2010年にF1デビューを果たしたヒュルケンベルグは、長年にわたり中団の堅実なドライバーとして知られてきたが、トップ3入りだけは長らく実現できずにいた。
最も惜しかったのは、2012年のブラジルGPだ。雨に見舞われたこのレースで一時はフォース・インディアのマシンで首位を走っていたものの、当時マクラーレンに所属していたハミルトンとの接触によりリタイアを余儀なくされた。
2019年末でフルタイムシートを失ったが、2023年にハースから復帰を果たし、再び安定してポイントを稼ぐ存在へと返り咲いた。
現在はアウディのワークスチーム移行を控えるザウバーでドライブしており、スペインGPでは5位に入るなど好調を見せていた。そしてついに、長年の悲願だったF1初表彰台をシルバーストンで手にした。
なお、ヒュルケンベルグはF1での表彰台獲得には時間を要したが、2015年にはポルシェのドライバーとしてニック・タンディ、アール・バンバーと共にル・マン24時間レースで総合優勝を果たしている。
カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング