角田裕毅 F1スペインGP予選「手は尽くしたが改善の糸口が見えない」
角田裕毅は、2025年F1スペインGPの予選で最下位の20番手に沈んだあとも、自身のマシンのペース不足に対して納得できる説明を見つけられずにいた。レッドブルのチームメイトであるマックス・フェルスタッペンとはQ1で約0.6秒の差がついたが、それが予選敗退には十分すぎるタイム差だった。

金曜のプラクティス後に「なぜ遅いのか全く分からない」と語っていた角田裕毅は、予選後には「ラップ自体は良かった」と感じていたという。

Q1中には、13コーナーの縁石を激しく乗り越えた際に「フロアをチェックしてほしい」とチームに無線で伝えたが、これによる損傷はなかったと見られている。

「セッティングの問題じゃないと思います。正直、ほとんどすべてのセッティングを試しました。細かい好みはありますけど、クルマのバランスはしっかり取れていて、自信もありました」

「予選では両方のタイヤセットで特に最後のアタックはかなり良かったですし、それが結果やペースと全然噛み合わないんです」

角田裕毅は週末を通して、RB21が前後の両軸で滑っていると繰り返し訴えており、セッティング変更では解消できない「コアな制限」があるのではないかと示唆している。

また最近の週末においても、セッションによってはフェルスタッペンと同等かそれ以上のタイムを記録していたものの、突然パフォーマンスが激減する傾向があると明かした。

「ここ2戦くらい、セッションによってはマックスと同じか少し速いときもありましたけど、突然めちゃくちゃ遅くなるんです。今回のロングランでもそれが出ました。何をやっても変わらないし、クルマがタイヤをひどく食ってしまって、摩耗がすごいです。

「本当に納得いかなくて、コアの問題がまだ残ってる気がします。それが何か分からないし、自分でも答えが出せないです」

角田裕毅 スペインGP F1 レッドブル・レーシング

角田裕毅はこれまで、フェルスタッペンと完全に同じエアロパッケージではない週末も経験している。チームは当然、最新パーツの投入を世界王者に優先する傾向がある。フェルスタッペンはマイアミで新型フロアを受け取り、イモラではその他の小さなアップデートも適用された。

角田裕毅もイモラで新型フロアを受け取っていたが、予選でクラッシュしたことでスペアモノコックを使ってマシンを組み直さなければならず、旧型のコンポーネント(前仕様のフロアを含む)を使用していた。バルセロナでもそのまま旧型を使用していると考えられているが、今回のような大きなタイム差や挙動差のすべてをそれだけで説明するのは難しい。

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、Skyドイツに対して次のように語っている。

「金曜はマックスにそれなりに近い位置にいた。でも予選では何もかもうまくいかなかった。同じクルマじゃないにしても、最後尾というのは内部で検証しないといけない」

シーズン序盤に角田裕毅とコンビを組んでいたアイザック・ハジャーも、角田裕毅を擁護するコメントを残した。

「角田は絶対にP20で終わるようなドライバーじゃない。それだけは確かだ。正直、今彼が何を抱えてるのかは分からない。自分は反対側のガレージにいたわけじゃないからな。でも、押し続けるしかないと思う。彼はP20のドライバーじゃない」

前後の軸で滑るという現象は、角田裕毅のRB21だけの問題ではなかった。ピレリの金曜定例ブリーフィングで、チーフエンジニアのシモーネ・ベッラは「C1タイヤでの低グリップや前後のスライドは比較的よくある」と述べていた。ただし、角田裕毅のように他のコンパウンドでも問題が継続するのは、より根本的な問題があることを示している。

多くのチームは、リアタイヤのサーマルデグラデーション(熱劣化)を抑えるために、若干アンダーステア気味のセッティングを採用することがあるが、バルセロナではその代償が大きい。高速コーナーではアウト側フロントタイヤへの負荷が非常に高く、2023年に最終シケインが撤去されて以降は特にそれが顕著となっている。

角田裕毅は、問題解決の糸口が見えないまま、こう締めくくった。

「セッティングはもうほとんどすべて試しました。同じように、4輪全部が滑ってる感じなんです。これからチームと話す必要がありますけど、どうすれば改善できるのか、現時点では全く見えてこないです」

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カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング / F1スペインGP