角田裕毅 F1マイアミGPのピット違反を反省「自分でレースを難しくした」

10番グリッドからスタートした角田裕毅は、1周目にひとつポジションを上げ、9番手でレースを進行。ミッドフィールドの激しい争いのなかでも冷静に走行を重ね、上位陣の動向を見ながら戦略を組み立てていた。
しかし、中盤のピットイン時にピットレーンでの速度超過が確認され、審議の結果5秒のタイム加算が言い渡された。
このペナルティにより、レース終盤の展開は一気にシビアなものとなる。角田裕毅の直後には、かつてチームメイトだったレーシングブルズのアイザック・ハジャーが迫っていた。両者のギャップはわずかであり、加算される5秒を加味すると、実質的に角田裕毅は11番手に転落するリスクを背負いながら走行していた。
「元チームメイトが簡単にはさせてくれませんでした」と角田裕毅は当時の状況を振り返った。「ラスト10周くらいで彼のペースがかなり上がってきて、自分もかなりプッシュしていたのですが、それでも追いつかれてしまって。本当に厳しかったですが、自分のやるべきことをやって、持てる力を出し切りました」。
そして、結果的に角田裕毅はハジャーとのギャップを5.1秒に広げ、加算ペナルティを差し引いた上で10位を確保。ギリギリでのポイント獲得に成功した。
だが、今回のレースに対する自己評価は厳しいものだった。「自分のミスで、あの5秒でレースを難しくしてしまいました」と悔しさを滲ませた角田裕毅。「ポイントを取れたのは嬉しいですが、正直今日のペースには満足していません。チーム全体としてもペースに苦しんでいましたし、改善すべき点が多いと思います」と、チーム全体の課題にも言及した。

角田裕毅は今季これまで、堅実な走りと高い集中力でポイント圏争いに絡む場面が増えているものの、あと一歩のところで中団上位に食い込む展開を逃してきた。マシン開発の伸び悩みが原因の一つであるとされている。
「ペース自体は悪くなかったと思いますが、今日はウィリアムズが非常に速かったです。自分たちはあまりいいペースではなく、予選からずっとマシンが思うように前に進んでくれない感覚がありました。それが今の一番の制限になっています」と語り、ドライバーとしての限界以上に、マシン自体の競争力不足を問題視した。
「正直、何が原因かはっきりとは分かっていません。ただ、今日のレースでは自分にできる限りのことはやりました。今後、ドライビングスタイルなども含めてしっかりと見直していきたいです」と前向きに語り、改善への意欲を見せた。
角田裕毅にとって今回のレースは、ミスを取り返すために最大限の集中力とペースを保ち続ける耐久戦だった。特に、今季序盤戦までチームメイトだったハジャーとのバトルは、その実力と成長を示す場面でもあった。今季中団勢の競争は激化しており、コンマ数秒が順位とポイントを分ける展開が続く中、角田裕毅の安定感と粘り強さはチームにとって大きな武器となっている。
次戦イモラでは、アップデートが投入される可能性もあり、マシンの競争力がどう変化するかが注目される。角田裕毅自身も「次はもっと上を目指したい」と意欲を見せており、さらなる上位進出への鍵を握る存在となることが期待される。
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