WRC | トヨタ、オット・タナックがラリー・チリで今シーズン2勝目
2019年 FIA世界ラリー選手権(WRC) 第6戦 ラリー・チリの最終日デイ3が5月12日(日)に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC 8号車)が優勝。WRCラリー・チリの初代ウイナーとなった。デイ2で転倒により大きく遅れたクリス・ミーク/セブ・マーシャル組(5号車)は、順位を挽回して総合8位でフィニッシュしたが、競技終了後1分間のペナルティを課せられ総合10位となった。また、デイ2でドライブシャフトを破損してデイリタイアとなったラトバラは、ラリー2規定に基づいて再出走し、総合11位で完走した。
競技最終日のデイ3は、コンセプシオンのサービスパークの東側および南側で、4本計58.38kmのSSが行われた。ステージは3日目も天気が良く青空が広がったが、早朝のステージでは霧が出て、路面も一部は濡れて非常に滑りやすい状態だった。
首位タナックは30.3秒のリードを持ってデイ3をスタートしたが、後方で激しい総合2位争いが展開されていたため、最後まで高い集中力を保ちタイム差を維持しなければならなかった。そして、優勝に王手をかけて臨んだ最終のパワーステージでは、2番手タイムの選手に1.3秒差のベストタイムを記録。優勝を決めると共に、ボーナスの5ポイントを獲得し、タナックとヤルヴェオヤはドライバー/コ・ドライバー選手権において、首位と10ポイント差のランキング2位に浮上した。
ラトバラとミークもパワーステージでは速さを示し、ラトバラが3番手タイムを、ミークが5番手タイムを記録し両者ともボーナスポイントを獲得。ミークは前日よりもふたつ順位を上げ、総合8位でフィニッシュした。しかしその後、デイ2のSS7で横転した際に割れたフロントウインドスクリーンを、SS8前のコントロールエリアで取り外したことが規定に抵触していたとされ、1分間のペナルティタイムを課せられ総合10位でラリーを終えた。なお、ラトバラは、デイ2よりもふたつ順位を上げ、総合11位でフィニッシュした。
豊田 章男(チーム総代表)
太平洋を挟んだ隣国チリにて、タナック/ヤルヴェオヤ組が今季2勝目を、そしてWRC2では勝田貴元選手が通算2勝目をあげてくれました。ファンの皆さま、応援ありがとうございました。前戦のアルゼンチンで、タナックとヤルヴェオヤの2人には、車両トラブルでチャンスを取り逃させてしまいました。今回、全ての道を思いっきり走りきり、最高の笑顔で表彰台に立つ2人の姿を見られたこと、チーム総代表として本当に嬉しく思います。タナック選手、ヤルヴェオヤ選手、おめでとう!ミーク選手とマーシャル選手は、途中、クルマを横転させてしまいボロボロの状態なっても、諦めずに走り続けてサービスに戻ってきてくれました。メカニック達も、そのクルマを一丸となって修理し、ミーク達を再び戦いの道に戻してくれました。マキネン代表とチームみんなの頑張りで獲得した貴重なポイントは必ずや、シーズン終盤での大きな財産になると思います。ラトバラ選手とアンティラ選手は、チームのために攻めた走りをしてくれた結果のアクシデントだったと思います。後半戦も、このまま攻めの気持ちを崩さずに走ってくれることを願います。ここからはヨーロッパのグラベル戦が続きます。6人のドライバー、コ・ドライバー達と3台のヤリスWRCが、ファンの皆さまにもっと嬉しいニュースをお届けできるようチームは、後半戦も心ひとつに頑張ってまいります。WRC2に出場していた勝田選手は、昨年のスウェーデン以来2度目の優勝でした。勝田選手、バリット選手、優勝おめでとう! WRCドライバーと共に走りながら、ドライビングのことやラリーの戦い方を貪欲に学んでいるからこその成長を、勝田選手は遂げてくれていると思います。「日本人ドライバーが日本車で世界の道を走る姿を見たい」という、私の、そして日本のファンの皆さまの夢が実現する日が一歩一歩近づいてきていると感じます。彼の成長と活躍に、これからも期待しています。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team並びに勝田貴元、ダニエル・バリット組を、今後とも応援よろしくお願いいたします。
トミ・マキネン(チーム代表)
オットと我々チームにとって、本当に素晴らしい勝利です。週末を通して彼はミスをすることなく見事なドライビングを続けました。最も強いドライバーだったと思いますし、オットとヤリスWRCのコンビネーションはラリー・チリ最強でした。クリスとヤリ-マティは残念ながら昨日罠につかまってしまいましたが、このラリーでミスをしたのは彼らだけではありません。チリの路面はスムーズで流れのあるコーナーが続く良いステージでしたが、ドライバーにとっては攻略が難しく、誰もが苦労しました。木々や土壁、丘が多くあり、コーナーの先が見えにくかったので、新たにペースノートを作るのはきっと大変だったでしょう。それでも、多くのラリーファンが集まり、そして我々が優勝することができたので、とても素晴らしいラリーだったと思います。
オット・タナック (ヤリスWRC 8号車)
WRCラリー・チリで最初のウイナーとなり、とても嬉しく思います。本当に難しいラリーで、絶対にミスをしないためには高い集中力が必要でした。今日は、ふたりのセバスチャンが背後から迫り、それほどタイム差が大きくなかったので、決して簡単ではありませんでした。最後まで攻め続けなくてはならず、パワーステージでは最大ポイントを獲得できました。ここ数戦は残念な結果が続き後退気味だったので、今回のように完璧な週末を過ごし、逆襲できたのは非常にポジティブなことです。高いモチベーションを保ち、攻め続けることは、特にチームにとって重要ですが、今回のような結果はその大きな助けとなります。再び戦える立場に戻ってこられたので、これからのラリーがとても楽しみです。
ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC 10号車)
昨晩ミスをした後、最終日とパワーステージで一体何ができるのか、前向きに考える必要がありました。最初のステージは良いフィーリングで走れ2番手タイムでした。続く2本のステージはリラックスして走り、最後のパワーステージに向けてタイヤを温存しました。そして、パワーステージではとても良い走りができました。自分が走った後に路面がクリーンになり、乾いていったので、3番手タイムには満足しています。非常に大変なイベントではありましたが、重要なのはクルマが非常に速く、自分も良いペースで走れたことです。これから散らばっている断片をつなぎ合わせて行き、良い結果を狙っていきます。
クリス・ミーク (ヤリスWRC 5号車)
パワーステージでは自分より出走順が後方の選手のほうがクリーンな路面で走ることができたようですが、自分もベストを尽くしました。レッキ(コースの事前下見走行)とデイ1では苦戦し、デイ2では最初にミスをしてしまいました。それでも、最終的にはチームにポイントをもたらし、オットの優勝を目にできたのは喜ばしいことです。自分たちには全てのラリーで表彰台争いをできるスピードがあるので、今はとにかくミスのないクリーンなラリーを渇望しています。
ラリー・チリ デイ3の結果
1 オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリス WRC) 3h15m53.8s
2 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (シトロエン C3 WRC) +23.1s
3 セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +30.2s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (フォード フィエスタ WRC) +1m36.7s
5 テーム・スニネン/マルコ・サルミネン (フォード フィエスタ WRC) +3m15.6s
6 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (シトロエン C3 WRC) +3m45.4s
7 アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +4m39.0s
8 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (シュコダ ファビア R5) +7m52.5s
9 マッズ・オストベルグ/トシュテン・エリクソン (シトロエン C3 R5) +8m16.1s
10 クリス・ミーク/セブ・マーシャル (トヨタ ヤリス WRC) +8m33.4s
11 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +10m59.2s
次回のイベント情報
WRC次戦は、5月30日(木)から6月2日(日)にかけて開催される、第7戦ラリー・ポルトガル。ラリーの中心となるサービスパークは、去年と変わらず北部の都市ポルトの近郊マトジニョスに置かれ、その周辺でグラベル(未舗装路)のステージが行なわれる。日曜日のクラシックステージは石や岩が多く、SSを1回目に走る時は路面が軟らかいため十分なグリップが得にくく、2回目に走る時は深い轍(わだち)が刻まれ、地中から大きな石が掘り出されるため、細心の注意を払って走る必要がある。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)
競技最終日のデイ3は、コンセプシオンのサービスパークの東側および南側で、4本計58.38kmのSSが行われた。ステージは3日目も天気が良く青空が広がったが、早朝のステージでは霧が出て、路面も一部は濡れて非常に滑りやすい状態だった。
首位タナックは30.3秒のリードを持ってデイ3をスタートしたが、後方で激しい総合2位争いが展開されていたため、最後まで高い集中力を保ちタイム差を維持しなければならなかった。そして、優勝に王手をかけて臨んだ最終のパワーステージでは、2番手タイムの選手に1.3秒差のベストタイムを記録。優勝を決めると共に、ボーナスの5ポイントを獲得し、タナックとヤルヴェオヤはドライバー/コ・ドライバー選手権において、首位と10ポイント差のランキング2位に浮上した。
ラトバラとミークもパワーステージでは速さを示し、ラトバラが3番手タイムを、ミークが5番手タイムを記録し両者ともボーナスポイントを獲得。ミークは前日よりもふたつ順位を上げ、総合8位でフィニッシュした。しかしその後、デイ2のSS7で横転した際に割れたフロントウインドスクリーンを、SS8前のコントロールエリアで取り外したことが規定に抵触していたとされ、1分間のペナルティタイムを課せられ総合10位でラリーを終えた。なお、ラトバラは、デイ2よりもふたつ順位を上げ、総合11位でフィニッシュした。
豊田 章男(チーム総代表)
太平洋を挟んだ隣国チリにて、タナック/ヤルヴェオヤ組が今季2勝目を、そしてWRC2では勝田貴元選手が通算2勝目をあげてくれました。ファンの皆さま、応援ありがとうございました。前戦のアルゼンチンで、タナックとヤルヴェオヤの2人には、車両トラブルでチャンスを取り逃させてしまいました。今回、全ての道を思いっきり走りきり、最高の笑顔で表彰台に立つ2人の姿を見られたこと、チーム総代表として本当に嬉しく思います。タナック選手、ヤルヴェオヤ選手、おめでとう!ミーク選手とマーシャル選手は、途中、クルマを横転させてしまいボロボロの状態なっても、諦めずに走り続けてサービスに戻ってきてくれました。メカニック達も、そのクルマを一丸となって修理し、ミーク達を再び戦いの道に戻してくれました。マキネン代表とチームみんなの頑張りで獲得した貴重なポイントは必ずや、シーズン終盤での大きな財産になると思います。ラトバラ選手とアンティラ選手は、チームのために攻めた走りをしてくれた結果のアクシデントだったと思います。後半戦も、このまま攻めの気持ちを崩さずに走ってくれることを願います。ここからはヨーロッパのグラベル戦が続きます。6人のドライバー、コ・ドライバー達と3台のヤリスWRCが、ファンの皆さまにもっと嬉しいニュースをお届けできるようチームは、後半戦も心ひとつに頑張ってまいります。WRC2に出場していた勝田選手は、昨年のスウェーデン以来2度目の優勝でした。勝田選手、バリット選手、優勝おめでとう! WRCドライバーと共に走りながら、ドライビングのことやラリーの戦い方を貪欲に学んでいるからこその成長を、勝田選手は遂げてくれていると思います。「日本人ドライバーが日本車で世界の道を走る姿を見たい」という、私の、そして日本のファンの皆さまの夢が実現する日が一歩一歩近づいてきていると感じます。彼の成長と活躍に、これからも期待しています。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team並びに勝田貴元、ダニエル・バリット組を、今後とも応援よろしくお願いいたします。
トミ・マキネン(チーム代表)
オットと我々チームにとって、本当に素晴らしい勝利です。週末を通して彼はミスをすることなく見事なドライビングを続けました。最も強いドライバーだったと思いますし、オットとヤリスWRCのコンビネーションはラリー・チリ最強でした。クリスとヤリ-マティは残念ながら昨日罠につかまってしまいましたが、このラリーでミスをしたのは彼らだけではありません。チリの路面はスムーズで流れのあるコーナーが続く良いステージでしたが、ドライバーにとっては攻略が難しく、誰もが苦労しました。木々や土壁、丘が多くあり、コーナーの先が見えにくかったので、新たにペースノートを作るのはきっと大変だったでしょう。それでも、多くのラリーファンが集まり、そして我々が優勝することができたので、とても素晴らしいラリーだったと思います。
オット・タナック (ヤリスWRC 8号車)
WRCラリー・チリで最初のウイナーとなり、とても嬉しく思います。本当に難しいラリーで、絶対にミスをしないためには高い集中力が必要でした。今日は、ふたりのセバスチャンが背後から迫り、それほどタイム差が大きくなかったので、決して簡単ではありませんでした。最後まで攻め続けなくてはならず、パワーステージでは最大ポイントを獲得できました。ここ数戦は残念な結果が続き後退気味だったので、今回のように完璧な週末を過ごし、逆襲できたのは非常にポジティブなことです。高いモチベーションを保ち、攻め続けることは、特にチームにとって重要ですが、今回のような結果はその大きな助けとなります。再び戦える立場に戻ってこられたので、これからのラリーがとても楽しみです。
ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC 10号車)
昨晩ミスをした後、最終日とパワーステージで一体何ができるのか、前向きに考える必要がありました。最初のステージは良いフィーリングで走れ2番手タイムでした。続く2本のステージはリラックスして走り、最後のパワーステージに向けてタイヤを温存しました。そして、パワーステージではとても良い走りができました。自分が走った後に路面がクリーンになり、乾いていったので、3番手タイムには満足しています。非常に大変なイベントではありましたが、重要なのはクルマが非常に速く、自分も良いペースで走れたことです。これから散らばっている断片をつなぎ合わせて行き、良い結果を狙っていきます。
クリス・ミーク (ヤリスWRC 5号車)
パワーステージでは自分より出走順が後方の選手のほうがクリーンな路面で走ることができたようですが、自分もベストを尽くしました。レッキ(コースの事前下見走行)とデイ1では苦戦し、デイ2では最初にミスをしてしまいました。それでも、最終的にはチームにポイントをもたらし、オットの優勝を目にできたのは喜ばしいことです。自分たちには全てのラリーで表彰台争いをできるスピードがあるので、今はとにかくミスのないクリーンなラリーを渇望しています。
ラリー・チリ デイ3の結果
1 オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリス WRC) 3h15m53.8s
2 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (シトロエン C3 WRC) +23.1s
3 セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +30.2s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (フォード フィエスタ WRC) +1m36.7s
5 テーム・スニネン/マルコ・サルミネン (フォード フィエスタ WRC) +3m15.6s
6 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (シトロエン C3 WRC) +3m45.4s
7 アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +4m39.0s
8 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (シュコダ ファビア R5) +7m52.5s
9 マッズ・オストベルグ/トシュテン・エリクソン (シトロエン C3 R5) +8m16.1s
10 クリス・ミーク/セブ・マーシャル (トヨタ ヤリス WRC) +8m33.4s
11 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +10m59.2s
次回のイベント情報
WRC次戦は、5月30日(木)から6月2日(日)にかけて開催される、第7戦ラリー・ポルトガル。ラリーの中心となるサービスパークは、去年と変わらず北部の都市ポルトの近郊マトジニョスに置かれ、その周辺でグラベル(未舗装路)のステージが行なわれる。日曜日のクラシックステージは石や岩が多く、SSを1回目に走る時は路面が軟らかいため十分なグリップが得にくく、2回目に走る時は深い轍(わだち)が刻まれ、地中から大きな石が掘り出されるため、細心の注意を払って走る必要がある。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)