トヨタ:2025年WEC プロローグテスト レポート
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6年連続でのマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得したトヨタは、今シーズンでもこの記録を更新し、さらにドライバーズチャンピオンの獲得とル・マン24時間での勝利を目指す。
毎年恒例となった、開幕戦と同じ舞台で行われるプロローグテストは、今シーズンWECに参戦する13のマニュファクチャラーから36台が初めて一堂に会しサーキットで走行する機会であり、2日間合計で14時間にわたる走行セッションが設けられた。
トヨタは2日間にわたって、2台のGR010 HYBRIDのパフォーマンスと安定性を向上させることに全力を注ぎ、ドライバーを第一に考えた車両セットアップと戦略の確認を行った。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースがGR010 HYBRID 7号車、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮がGR010 HYBRID 8号車で走行し、2台は2日間総計792周、4,291kmを走破。チームは次週に迫った開幕戦でのクルマとタイヤのパフォーマンスを最大限に引き出すための貴重なデータを収集した。
プロローグテストは21日(金)の午後1時より開始され、最初のセッションで車両セッティングのベースとメカニカルの調整を行った。6人のドライバー全員が、昨年12月に行われたテスト以来となるルサイル・インターナショナル・サーキットでの走行を実施。続く2回目のセッションは日没後に行われ、テストの焦点は、ここカタールで使用が許可されているミディアム及びハードのタイヤコンパウンドの分析へと移った。
テスト2日目となる22日(土)のセッションは、正午から3時間にわたって行われる予定だったが、セッション中に出された赤旗の影響で1時間延長された。チームは初日に学習した成果をこの2日目の走行に生かし、メカニカルなセットアップとタイヤの挙動の評価を進めると共に、夜のセッションでもこれら取組を継続。決勝レースに向けた準備に重点的に取り組んだ。
エンジニアとドライバーは、2日間にわたってクルマのパフォーマンスを向上させるために密接に作業を続けた。メカニックは、通常、決勝レースで10回前後予定されているピット作業のパフォーマンスを最適化すべく、ピットストップの練習を行った。
メカニックはGR010 HYBRIDをこれから組み直し、エンジニアとドライバーはクルマのパフォーマンスを分析し、プロローグで得られた情報を基に改良点を見出す。またこれからの数日、ドライバーとチームメンバーの一部はサーキットでの走行から離れ、GRシリーズを象徴するスポーツカーを活用した、カタールでトヨタが展開しているモータースポーツの魅力をより多くのファンの皆様に伝えるためのイベントもサポートする。
WEC開幕戦カタール1812kmのレースウィークは、26日(水)の2回の各90分にわたる公式練習走行で幕を開け、セッション2回目の走行は、日没後も続けられる。決勝のスターティンググリッドを決定する予選とハイパーポールは27日(木)の現地時間午後5時40分(日本時間午後11時40分)より開始され、決勝レースは28日(金)の現地時間午後2時(日本時間午後8時)にスタートが切られる。
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小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
来週のレースウィークへ向け、この2日間でしっかり準備すべく、最善を尽くしました。全体的に、2日間を通して特に大きなトラブルもなく、2台共に多くの周回を重ねることができました。ペースという点では現時点ではまだ少し遅れを取っているように見えます。しかしこれからの数日間、更なるパフォーマンスを引き出すべく努力を続けます。まだやるべきことは多くありますので、来週の結果を楽しみにしましょう。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
カタールに来てから忙しい2日間でした。セットアップの比較やタイヤのテストなどで走行をこなし、かなり包括的なセットアッププログラムを問題なく終えられたことを、とてもポジティブに捉えています。1周のペースはまずまずのように見えますが、ロングランでのパフォーマンスにはまだ改善の余地があります。来週へ向けて、引き続きハードプッシュを続けます。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)
新たなシーズンを迎え、チームのみんなと再会できて嬉しいです。我々はこの2日間非常に多くの周回をこなし、かつ多くを学びました。まだ評価するには難しい段階ですが、我々にとっては厳しいレースになりそうです。これからテストした全てのことを検証し、決勝レースへ向け車両パッケージの最適化を進めるために何ができるか確認していきます。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
カタールに戻ることができて嬉しいです。とは言え、ここは我々にとって簡単なコ-スではありません。2日間の長い走行をこなしましたが、昨年同様、まだ若干苦戦しているように見えます。レースウィークの公式練習走行が始まるまで数日あるので、収集したデータと昨年の経験を活かして頑張ります。長い決勝レースになりますが、決して容易ではないでしょう。全てを最大限に活かすためには、完璧な仕事をする必要があります。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
今季参戦する全ての車両が、初めてサーキットで一堂に会するのを見るのは素晴らしかったです。テストは順調で、この2日間には満足しています。メカニカルなトラブルは無く、2台共にチームとして満足いく仕事ができました。現時点において我々は最速ではありませんし、今後もそうなるのは難しいかもしれませんが、決勝では可能な限り多くのポイントを獲得できるよう、クルマのポテンシャルを最大限に引き出すべく全力を尽くします。
平川亮(8号車 ドライバー)
昨年のパフォーマンスからも、我々のクルマがこのコースに相性が良いわけではないことはわかっています。今日はチーム全員が懸命に、自分たちそれぞれの仕事を行いトラブルフリーで多くの走行をこなしたので、良いデータを得られました。これらのデータを使って来週へ向けてクルマを改良していきます。我々にとっては難しいレースになるかも知れませんが、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう集中していきます。
カテゴリー: F1 / トヨタ