トヨタ 豊田章男社長 「モータースポーツはファンの方々があってこそ」
トヨタ自動車の豊田章男が、18年ぶりに復帰した世界ラリー選手権(WRC)、ポルシェとの4年間にわたる激戦を終えたFIA 世界耐久選手権(WEC)のTOYOTA GAZOO Racingの戦いを総括した。
豊田章男社長は、レースやラリーの現場に顔を出し、“モリゾウ”の名前でドライバーとして何度も競技に参加。経営者として現場の声を大切にしている。
世界ラリー選手権では、ラリー・スウェーデンでヤリ-マティ・ラトバラ初優勝。ラリー・フィンランドではエサペッカ・ラッピがチームに2勝目をもたらし、ドライバーズランキンではラトバラが4位、ユホ・ハンニネンが9位、ラッピが11位、マニュファクチャラーズランキングでは3位で復帰初年度を終えた。
「18年ぶりに復帰した我々にとって、皆様からの『がんばってね!』や『帰ってきてくれてありがとう』といった声援は何よりの励みになりました。私自身も4月にツール・ド・コルスに行き、沿道のファンの方々が、目の前を通り過ぎるヤリスWRCにドライバーにも届きそうなくらいの大きな声で『GAZOO!』と叫んでくれている姿を見て大変感激いたしました。モータースポーツはファンの方々があってこそ…と、改めて感じます」
「『もっといいクルマをつくりたい…そのためには、世界中の様々な道でクルマを鍛えたい…』そういう想いでWRCへの復帰を果たしました。シーズンが始まる時、トミ(マキネン代表)と約束したのは『最終戦が終わった時のヤリスが一番強くなっているようにしよう』ということでした。トミをはじめチームのみんなは本当に心をひとつにして、この1年を戦い抜き、そして学び続けてくれました。また、 自身がチャンピオンドライバーであったトミだからこそのクルマづくりやチームづくり、そしてドライバーとのコミュニケーションがとても効果的であったとも思います。初優勝のスウェーデンでは首位で最終日を迎えたラトバラ選手にトミは『最後まで全開で行け!』とアドバイスをして送り出しました。トミにしか言えない言葉だったと思います。またラッピ選手が初優勝を果たし、共にクルマをつくりあげたハンニネン選手が初の表彰台を獲得したフィンランドでは、選手達よりも嬉しそうな顔をトミはしていました。トミが、ドライバー達とも気持ちを通じ合わせ、共に戦ってきたからこその表情だなと思いながら、その瞬間を見ていたことを印象深く覚えています。そんな彼の下、全力を尽くしてくれたチーム員全員に、心から感謝しています。『ありがとう、そして、お疲れ様でした!』」
「言うまでもなく、スウェーデンとフィンランドで優勝できた時は、最高に嬉しい瞬間でした。しかしながら順位が振るわなかったラリーこそ、我々自身にまだ力が足りないと道が教えてくれたラリーだと思います。最終戦オーストラリアでも最後の最後に表彰台を目前にしたラトバラがストップしてしまいました。まだ我々には足りない何かがあるのだと思います。そうした経験を繰り返せることが私どもにとっては、より嬉しいことでもありました。ここで学んだことは、WRCチームだけでなく、量産車開発をしているメンバーにも、すでにフィードバックされています。次に我々がつくるクルマには、世界の道とヤリスWRCが我々に教えてくれたことが盛り込まれてまいります。こうして、この道を走り続け、もっといいクルマを追い求めていきたいと思います」
「来年は、新しいドライバー、コ・ドライバーも加わることが決まり、さらに高みを目指す1年にしてまいります。もっといいクルマづくりにも、学びにも、終わりはありません。全力で戦ってまいりますので、引き続き、応援いただきますよう、よろしくお願いいたします」
FIA 世界耐久選手権では、偉大なライバル、ポルシェとの4年間にわたる激戦を終え、最後のレースを勝利で飾ったTOYOTA GAZOO Racingは、ル・マン24時間レース優勝、世界タイトル獲得という課題を残しつつも、シーズン終盤3戦は完全にライバルを圧倒する力を発揮し、今シーズンを締めくくった。
豊田章男社長も現場に足を運んだ19回目の挑戦となった第85回ル・マン24時間レースでも、トヨタは優勝の夢を掴むことができなかった。
「現地に行き、チームに寄り添いながら共に戦った6月のル・マンでは私も本当に悔しい想いをしました。そして、ファンの皆様にも、とても悔しい想いをさせてしまったと思います。その後も苦しい戦いが続き、その中でポルシェの撤退の知らせも聞きました。昨年のル・マンを経て、ポルシェは我々のことをライバルと認めてくださいました。そのライバルとの戦いを通じて、我々は、より速く、より強く走るための技術力を高めていくことが出来ていたのだと思います」
「ポルシェとの戦いに向けて、私も含めたチームメンバー皆が心に持っていた想いは、もちろん『負けたくない』の一心でしたがその奥底には、ライバルに向けた『尊敬』と『感謝』の想いも持ち合わせていました。ポルシェと残り3戦となった富士戦以降、改めて思ったのは、ポルシェに、『もう一度トヨタと戦いたい』と思ってもらえるレースをしたいということでした」
「その為にも、富士、上海、そしてバーレーンは、必ず勝つという気持ちで臨み今回、それを達成することができました。シーズンチャンピオンは、前戦の上海でポルシェに決まりました。ポルシェの皆さま、改めて、おめでとうございます。しかし、もし、この最後の戦いを経て『もう一度、どこかで、トヨタと戦いたい』と思っていただけたなら、我々は、悔しい中にも、少し誇らしい気持ちで今シーズンを終わることができます。ポルシェの皆さま、ぜひ、いつの日か、どこかの道で、お互いの『もっといいクルマ』のために、また競い合わせていただければと思います」
「その日に向けて、TOYOTA GAZOO Racingは、引き続き、クルマづくりを続けてまいります。TOYOTA GAZOO Racingのドライバー、エンジニア、メカニック、そしてパートナーの皆さん…このレースに携わる全ての関係者の皆さんで、これからも一緒にがんばりましょう!」
「最後に、今シーズンもTOYOTA GAZOO Racingを応援してくださったファンの皆さま、あらためて感謝いたします。皆さまからいただく大きなパワーは、我々の活動に欠かせません。自動車の未来のために、そしてお客様の笑顔のために、これからも挑戦と努力を重ねてまいります。引き続き、温かい応援をよろしくお願いいたします」
カテゴリー: F1 / トヨタ
豊田章男社長は、レースやラリーの現場に顔を出し、“モリゾウ”の名前でドライバーとして何度も競技に参加。経営者として現場の声を大切にしている。
世界ラリー選手権では、ラリー・スウェーデンでヤリ-マティ・ラトバラ初優勝。ラリー・フィンランドではエサペッカ・ラッピがチームに2勝目をもたらし、ドライバーズランキンではラトバラが4位、ユホ・ハンニネンが9位、ラッピが11位、マニュファクチャラーズランキングでは3位で復帰初年度を終えた。
「18年ぶりに復帰した我々にとって、皆様からの『がんばってね!』や『帰ってきてくれてありがとう』といった声援は何よりの励みになりました。私自身も4月にツール・ド・コルスに行き、沿道のファンの方々が、目の前を通り過ぎるヤリスWRCにドライバーにも届きそうなくらいの大きな声で『GAZOO!』と叫んでくれている姿を見て大変感激いたしました。モータースポーツはファンの方々があってこそ…と、改めて感じます」
「『もっといいクルマをつくりたい…そのためには、世界中の様々な道でクルマを鍛えたい…』そういう想いでWRCへの復帰を果たしました。シーズンが始まる時、トミ(マキネン代表)と約束したのは『最終戦が終わった時のヤリスが一番強くなっているようにしよう』ということでした。トミをはじめチームのみんなは本当に心をひとつにして、この1年を戦い抜き、そして学び続けてくれました。また、 自身がチャンピオンドライバーであったトミだからこそのクルマづくりやチームづくり、そしてドライバーとのコミュニケーションがとても効果的であったとも思います。初優勝のスウェーデンでは首位で最終日を迎えたラトバラ選手にトミは『最後まで全開で行け!』とアドバイスをして送り出しました。トミにしか言えない言葉だったと思います。またラッピ選手が初優勝を果たし、共にクルマをつくりあげたハンニネン選手が初の表彰台を獲得したフィンランドでは、選手達よりも嬉しそうな顔をトミはしていました。トミが、ドライバー達とも気持ちを通じ合わせ、共に戦ってきたからこその表情だなと思いながら、その瞬間を見ていたことを印象深く覚えています。そんな彼の下、全力を尽くしてくれたチーム員全員に、心から感謝しています。『ありがとう、そして、お疲れ様でした!』」
「言うまでもなく、スウェーデンとフィンランドで優勝できた時は、最高に嬉しい瞬間でした。しかしながら順位が振るわなかったラリーこそ、我々自身にまだ力が足りないと道が教えてくれたラリーだと思います。最終戦オーストラリアでも最後の最後に表彰台を目前にしたラトバラがストップしてしまいました。まだ我々には足りない何かがあるのだと思います。そうした経験を繰り返せることが私どもにとっては、より嬉しいことでもありました。ここで学んだことは、WRCチームだけでなく、量産車開発をしているメンバーにも、すでにフィードバックされています。次に我々がつくるクルマには、世界の道とヤリスWRCが我々に教えてくれたことが盛り込まれてまいります。こうして、この道を走り続け、もっといいクルマを追い求めていきたいと思います」
「来年は、新しいドライバー、コ・ドライバーも加わることが決まり、さらに高みを目指す1年にしてまいります。もっといいクルマづくりにも、学びにも、終わりはありません。全力で戦ってまいりますので、引き続き、応援いただきますよう、よろしくお願いいたします」
FIA 世界耐久選手権では、偉大なライバル、ポルシェとの4年間にわたる激戦を終え、最後のレースを勝利で飾ったTOYOTA GAZOO Racingは、ル・マン24時間レース優勝、世界タイトル獲得という課題を残しつつも、シーズン終盤3戦は完全にライバルを圧倒する力を発揮し、今シーズンを締めくくった。
豊田章男社長も現場に足を運んだ19回目の挑戦となった第85回ル・マン24時間レースでも、トヨタは優勝の夢を掴むことができなかった。
「現地に行き、チームに寄り添いながら共に戦った6月のル・マンでは私も本当に悔しい想いをしました。そして、ファンの皆様にも、とても悔しい想いをさせてしまったと思います。その後も苦しい戦いが続き、その中でポルシェの撤退の知らせも聞きました。昨年のル・マンを経て、ポルシェは我々のことをライバルと認めてくださいました。そのライバルとの戦いを通じて、我々は、より速く、より強く走るための技術力を高めていくことが出来ていたのだと思います」
「ポルシェとの戦いに向けて、私も含めたチームメンバー皆が心に持っていた想いは、もちろん『負けたくない』の一心でしたがその奥底には、ライバルに向けた『尊敬』と『感謝』の想いも持ち合わせていました。ポルシェと残り3戦となった富士戦以降、改めて思ったのは、ポルシェに、『もう一度トヨタと戦いたい』と思ってもらえるレースをしたいということでした」
「その為にも、富士、上海、そしてバーレーンは、必ず勝つという気持ちで臨み今回、それを達成することができました。シーズンチャンピオンは、前戦の上海でポルシェに決まりました。ポルシェの皆さま、改めて、おめでとうございます。しかし、もし、この最後の戦いを経て『もう一度、どこかで、トヨタと戦いたい』と思っていただけたなら、我々は、悔しい中にも、少し誇らしい気持ちで今シーズンを終わることができます。ポルシェの皆さま、ぜひ、いつの日か、どこかの道で、お互いの『もっといいクルマ』のために、また競い合わせていただければと思います」
「その日に向けて、TOYOTA GAZOO Racingは、引き続き、クルマづくりを続けてまいります。TOYOTA GAZOO Racingのドライバー、エンジニア、メカニック、そしてパートナーの皆さん…このレースに携わる全ての関係者の皆さんで、これからも一緒にがんばりましょう!」
「最後に、今シーズンもTOYOTA GAZOO Racingを応援してくださったファンの皆さま、あらためて感謝いたします。皆さまからいただく大きなパワーは、我々の活動に欠かせません。自動車の未来のために、そしてお客様の笑顔のために、これからも挑戦と努力を重ねてまいります。引き続き、温かい応援をよろしくお願いいたします」
カテゴリー: F1 / トヨタ