トヨタ:2023年 第4戦 ル・マン24時間レース 予選1日目 レポート
6月7日(水)、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間の公式走行セッションが始まった。初日となったこの日は、2度の公式練習走行と翌日に行われるハイパーポールへの出場権をかけた予選が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の2台のGR010 HYBRIDは3,4番手で共にハイパーポールへの出場権を獲得した。

100周年を迎えるル・マン24時間レースの記念すべき今大会は、TGRにとって、2017年から続いているル・マンの歴史に残る7連続ポールポジションのかかった大会でもある。昨年までにTGRは6年連続でのポールポジションを獲得し、ポルシェの持つ記録に並んだ。

7日(水)に行われた、全カテゴリーの車両が同時に走行する1時間の予選セッションでは、各カテゴリーの上位8台が8日(木)のハイパーポールへ出場し、それぞれ4列目までの決勝スターティンググリッドを決定する。2台のGR010 HYBRIDは、このセッションでハイパーポールへの進出を決め、新記録更新への望みを繋いだ。

マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスと共にGR010 HYBRID 7号車を駆る小林可夢偉は、レジェンドであるジャッキー・イクスの持つル・マンでのポールポジション記録に並ぶ、5度目のポールポジションを目指す。小林は、この予選セッションで最初にアタックを担当すると、セッション開始と共に3分25秒485の好タイムをマークした。その後、フェラーリの2台がタイムを更新し、最終的には0.272秒差の3番手となったが、ハイパーポールへの進出を決めた。

昨年のル・マンウィナーであるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、昨年のポールシッターでもあるハートレーのアタックで4番手につけ、こちらもハイパーポール進出を決めた。

今年のル・マンの公式走行セッションは、7日(水)午後3時から3時間の練習走行第1回目で開始された。去る4日(日)に行われたテストデーを、他のレースの日程都合により欠席したため、これが今年のル・マンで初走行となるブエミがまず初めに8号車のステアリングを握り、慣れ親しんだサルト・サーキットの感触を思い出すべく、他の2人よりも多い17周を走破した。

4日(日)の6時間に及ぶテストデーでの走行で開始されたレースへ向けた準備は、この公式練習走行でも続けられ、使用可能な3種類のタイヤコンパウンドに加え、様々なメカニカル、及び空力のセットアップなどの確認作業を行った。

62台もの車両が走行することに加え、このセッションでは35分間の赤旗もあり、クリーンなアタックラップを行うのは難しい状況だったが、そんな中、小林が赤旗からの再開直後、コースがクリーンなタイミングでのアタックで、今年のル・マンで最初に3分28秒台を刻んだ。その後まもなく、ハートレーが小林のタイムを0.133秒更新し、この3分27秒742が公式練習第1回目のトップタイムとなり、予選へ向けた準備を終えた。

予選は、午後7時ながら気温30度のコンディションの中、開始された。セッション開始と共にアタックに入った7号車の小林がまずトップタイムをマーク。一方、ハートレーは2度の赤旗中断に見舞われるも、その後のアタックで辛うじてハイパーポール進出を決めた。

ハートレーは最初のアタックで、その時点での6番手につけますが、ライバル勢がタイムを更新したことで11番手まで後退。イエローフラッグとコース上の混雑に阻まれ、なかなかタイムを更新できず、苦戦を強いられたが、残り30分を切ったところで好ラップを記録し、4番手に浮上、ハイパーポールへの進出を決めた。その後、7号車はロペス、8号車はブエミがドライブし、車両のセットアップを継続した。

緯度が高く、夏至に近いこの時期はなかなか暗くならないル・マンも日が沈み、闇に包まれつつある午後10時に公式練習第2回目がスタート。このナイトセッションでは、全てのドライバーが最低5周することが義務づけられている。TGRの6名のドライバーは、これを問題なく消化。7号車は小林のタイムで5番手、8号車はブエミのタイムで11番手となった。

8日(木)も午後3時から3時間にわたる公式練習第3回目が行われ、その後、午後8時からハイパーポール、そして、決勝レース前最後の走行となる公式練習第4回目が午後10時から1時間に渡って行われる。

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
 忙しい初日でしたが、練習走行で、2台ともトラブル無く走ることができて良かったと思います。決勝レースへ向けてクルマのバランスは良くなっていますし、今日の我々の目標は、明日のポールポジションを争うために、2台共にハイパーポールへ進出することでした。簡単ではありませんでしたが、なんとか達成できました。正直なところ、現時点で我々にはポールポジションを獲得するために充分な速さがあるかはわかりません。練習走行で一歩一歩着実に進化しているので、更なる改良へ向けハードワークを続けていきます。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
 無事走行を開始し、問題なく最初の練習走行を終えられて良かったです。特に、ナイトセッションとなった練習走行2回目は、1回目に比べ、アクシデントが少なかったので、多くの周回をこなすことができ、また、決勝レースへ向け、時間を有意義に使うべくプログラムを進めました。まだ望んだような形ではないですが、徐々に改善を進めていくつもりです。予選では可夢偉が素晴らしい走りをしてくれたので、ポールも狙っていきますが、大事なのは決勝での力強いレースペースです。

ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
 多くの周回をこなし、様々な内容を試したので、それらにより得られたデータが更なるパフォーマンス向上に役立つことを期待しています。可夢偉とブレンドンは素晴らしい走りで、2台揃って今日の予選での目標であったハイパーポール進出を決めてくれました。かなり接近戦でしたが、フェラーリはとても速く、また、他のハイパーカーも競争力は高いと思います。我々は練習走行でクルマのバランスを改善することができましたが、まだ改良の余地は残っており、それが明日木曜日の優先事項です。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
 例年通り忙しい公式練習初日となりました。ようやくここに来られて、またル・マンを走れて嬉しいですし、目標であったハイパーポールに進出できたことも本当に嬉しいです。予選はなかなか難しいセッションでしたが、ブレンドンが後半上手くタイムをマークしてくれました。タイムが非常に接近していただけに、少しほっとしています。これでハイパーポールと、決勝へ向けたセットアップに集中することになります。練習走行の時間はまだ長いですし、頑張るだけです。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
 タイム差の小さい、厳しい予選でした。最初のアタックラップでは、アタック開始時にプジョーに接近しすぎてタイムが出ず、今思うと、あの時点でそれなりのタイムを出しておくべきでした。その後はイエローフラッグが立て続けに出され、何度もタイムを失いましたが、幸運にもクリーンなラップを得ることができ、ハイパーポールへの進出を決められてほっとしています。とは言え、最速ではありませんでしたし、クルマのバランスはまだ100%ではありません。まだセットアップの幾つかの妥協点を探っている段階ですが、ハイパーポールと決勝で更なるパフォーマンスを発揮できるようプッシュを続けます。

平川亮(8号車 ドライバー)
 良い一日でした。レースウィークが本当にスタートしたという実感があります。ル・マンではいつもコース上の混雑や様々なアクシデントに見舞われるため、クリーンラップを得るのは容易ではありません。私も練習走行時に直面しました。それ以外、クルマのセットアップも順調に進んでおり、これまでのところ、進捗状況には満足しています。まだ車両のバランス面で調整は必要ですが、この段階では普通のことです。予選は非常に接近したタイムで、見ていてエキサイティングでした。ブレンドンがいいラップをマークしてくれましたし、ハイパーポールが楽しみです。

トヨタ ル・マン24時間レース

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カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース