WEC:トヨタ 2023年 第4戦 ル・マン24時間 テストデー レポート
2023年のル・マン24時間レースへ向けた公式テストでの走行が6月4日(日)に行われ、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing/TGR)は、伝統あるコース、サルト・サーキットでの準備を開始した。
今週末の6月10日(土)から11日(日)にかけて行われる、ル・マン24時間の100周年記念大会には、30万人もの観客の来場が予想されている。大観衆の見守る中、16台の素晴らしいハイパーカーが競い合うこの偉大なレースで、TGRは6連覇を目指す。
ただ、レースを目前にしたルール変更により、TGRのハイパーカー、GR010 HYBRIDは37kgの重量増となった。
WECのディフェンディングチャンピオンでもあるTGRの2台のGR010 HYBRIDは、公道を含む1周13.626kmのサルト・サーキットのフルコースを、レースウィーク以外で走行できる唯一の機会であるこのテストデーにおける2回の練習走行セッションで車両のセットアップを進め、合計1798kmを走破した。
GR010 HYBRID 7号車は小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスがドライブし、この日の総合で、トップのフェラーリ51号車から0.323秒遅れの3分29秒827で3番手となるタイムをマークした。GR010 HYBRID 8号車は昨年のル・マン勝者である平川亮とブレンドン・ハートレーに加え、テスト兼リザーブドライバーの中嶋一貴がドライブし、この日9番手のタイムをマークした。セバスチャン・ブエミは他のレース日程の都合により、この日の走行には参加せず、5日(月)からチームに加わる予定。
この日、TGR2台のGR010 HYBRIDは、ル・マン24時間へ向けたスペシャルカラーリングでのコースデビューを果たした。桜の花とつぼみをあしらったこのカラーリングは、日本のDNAを示すと共に、TGRのサスティナビリティへの取り組みと、モータースポーツを起点とした「もっといいクルマづくり」の一環として、ル・マンをはじめ、耐久レースへの参戦で育まれている最先端技術を象徴している。
午前中のセッションは晴れて暖かな気候の下、現地時間午前10時に開始され、2台のGR010 HYBRIDは最初の45分間でまずインストレーション走行を行った。8号車は、3度のル・マンウィナーであり2018-19年シーズンのWECチャンピオンでもある中嶋がステアリングを握り、自身のドライブで2位のチェッカーを受けた2021年以来となる、サルト・サーキットでの周回ラップを刻んだ。
コースの一部で公道を使用しているサルト・サーキットは、セッションが進むごとにそのコンディションが良くなっていき、それにあわせて、チームは本格的なプログラムを実施。2台のGR010 HYBRIDは様々なメカニカル、及び空力の設定を試して解析し、翌週の公式練習走行へと続く車両セットアップを行った。
セーフティカーや赤旗によりそれぞれ25分間のタイムロスとなった以外は、チームのプログラムは比較的順調に進んだ。しかし、セッション最終盤、コンウェイがドライブしていた7号車がテルトル・ルージュのバリアへクラッシュ。GR010 HYBRIDは車体のフロントとリアにダメージを負ってしったが、この午前中のセッションでは、7号車はコンウェイが序盤にマークしたタイムで5番手。8号車は平川のラップがベストタイムで8番手となった。
メカニックによる修復作業と素晴らしいチームの努力により、新たなフロントとリアを装着した7号車は午後のセッション開始までに作業を終え、タイムロスすることなく、ロペスがセッション開始と同時にコースに出ることができた。
午後の3時間のセッションは、中盤にセーフティカーが30分ほど入ったものの、チームは更なる車両セットアップの比較や、異なるタイヤコンパウンドのパフォーマンスや耐久性の分析などの作業を進め、7号車の小林が出したベストタイムが3番手。8号車はハートレーのタイムが9番手となった。
テストデーでの充実した走行セッションを終え、チームは収集した貴重なデータを、7日(水)に開始される2回の公式練習走行と予選へ向け、この2日間で分析しなくてはならない。また、車両セットアップ作業は8日(木)の2回の公式練習走行でも続けられる。8日は公式練習走行の間にハイパーポールセッションが実施され、決勝レースの各カテゴリー上位のグリッドが決定される。第91回ル・マン24時間レースは6月10日(土)現地時間午後4時にスタートが切られる。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
ル・マンに戻ってこられて最高です。このコースにはいつも感動させられますし、ここを走るのは本当に楽しいです。我々の7号車は午前中のセッション終盤にアクシデントに見舞われ、今日は期待していたほどスムーズな一日ではありませんでしたが、マイクが無事だったことが最も大事ですし、メカニックも素晴らしい作業でダメージを迅速に修復してくれました。そのおかげでプログラムへの影響は最小限に抑えられ、車両のセットアップやバランスの作業を続けることができました。パフォーマンスの面ではやや厳しい状況にありますが、とにかく作業を続けるだけです。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
今年初めてのル・マンでの走行で、幾つかの課題はあるものの、まずまずの一日でした。今日は車を理解することに努め、比較検討のプログラムをこなしました。セッションが進むにつれて我々も進歩し、バランスも良くなってきています。まだラップタイムという面では幾つかやるべきことがありますが、この段階ではいつものことです。とは言え、今のところ悪くない状況ですし、この調子で作業を続けます。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
またここに戻れて嬉しいです。まだ初日なので、全てがきちんと動くかを確認する作業でした。初日としては順調ですが、ラップタイムを基準に何かを語るのはまだ早いです。特にトップスピードの面で、ライバル勢が強そうだというのが私の第一印象ですが、我々もプッシュしていきます。これからの数日、更なるパフォーマンスを見出すべく頑張ります。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
まだやるべきことはありますが、幸運なことにレースのスタートまでは何日かあります。ル・マンに戻ってこられるのはいつものことながら嬉しいですし、特にこのGR010 HYBRIDはこのコースのために作られたクルマなので尚更です。昨年、このクルマは乗っていて本当に素晴らしいフィーリングだったので、そのバランスを取り戻したいと思っています。私の周回は好調でしたし、ここでは退屈することはないのですが、土曜日の決勝へ向けてとにかく努力あるのみです。新たな挑戦へ向け、ハードワークを続けていきます。
平川亮(8号車 ドライバー)
昨年に続き、GR010 HYBRIDで再度ル・マンを走ることができて嬉しいです。昨年のテストデーでは多くのことを学びましたが、今年は全く感触が違います。今日は多くの周回をこなすことができ、その点では全てが順調でした。ラップタイムはまだ我々が望んだレベルには達していないので、原因を解明する必要があります。水曜日の公式練習走行までにはセットアップを改善すべく、プッシュを続けます。
中嶋一貴(テスト兼リザーブドライバー)
GR010 HYBRIDで走るのは3月のセブリング戦後のテスト以来ですが、また走ることができて本当に最高でした。この車でル・マンを走るのはいつでも特別なことで、8号車のセッション最初のドライバーを任されたのはとても光栄でした。短いスティントでしたが、まるで故郷に帰ったようでしたし、テストプログラムに貢献できて嬉しいです。
カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース / WEC (FIA世界耐久選手権)
今週末の6月10日(土)から11日(日)にかけて行われる、ル・マン24時間の100周年記念大会には、30万人もの観客の来場が予想されている。大観衆の見守る中、16台の素晴らしいハイパーカーが競い合うこの偉大なレースで、TGRは6連覇を目指す。
ただ、レースを目前にしたルール変更により、TGRのハイパーカー、GR010 HYBRIDは37kgの重量増となった。
WECのディフェンディングチャンピオンでもあるTGRの2台のGR010 HYBRIDは、公道を含む1周13.626kmのサルト・サーキットのフルコースを、レースウィーク以外で走行できる唯一の機会であるこのテストデーにおける2回の練習走行セッションで車両のセットアップを進め、合計1798kmを走破した。
GR010 HYBRID 7号車は小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスがドライブし、この日の総合で、トップのフェラーリ51号車から0.323秒遅れの3分29秒827で3番手となるタイムをマークした。GR010 HYBRID 8号車は昨年のル・マン勝者である平川亮とブレンドン・ハートレーに加え、テスト兼リザーブドライバーの中嶋一貴がドライブし、この日9番手のタイムをマークした。セバスチャン・ブエミは他のレース日程の都合により、この日の走行には参加せず、5日(月)からチームに加わる予定。
この日、TGR2台のGR010 HYBRIDは、ル・マン24時間へ向けたスペシャルカラーリングでのコースデビューを果たした。桜の花とつぼみをあしらったこのカラーリングは、日本のDNAを示すと共に、TGRのサスティナビリティへの取り組みと、モータースポーツを起点とした「もっといいクルマづくり」の一環として、ル・マンをはじめ、耐久レースへの参戦で育まれている最先端技術を象徴している。
午前中のセッションは晴れて暖かな気候の下、現地時間午前10時に開始され、2台のGR010 HYBRIDは最初の45分間でまずインストレーション走行を行った。8号車は、3度のル・マンウィナーであり2018-19年シーズンのWECチャンピオンでもある中嶋がステアリングを握り、自身のドライブで2位のチェッカーを受けた2021年以来となる、サルト・サーキットでの周回ラップを刻んだ。
コースの一部で公道を使用しているサルト・サーキットは、セッションが進むごとにそのコンディションが良くなっていき、それにあわせて、チームは本格的なプログラムを実施。2台のGR010 HYBRIDは様々なメカニカル、及び空力の設定を試して解析し、翌週の公式練習走行へと続く車両セットアップを行った。
セーフティカーや赤旗によりそれぞれ25分間のタイムロスとなった以外は、チームのプログラムは比較的順調に進んだ。しかし、セッション最終盤、コンウェイがドライブしていた7号車がテルトル・ルージュのバリアへクラッシュ。GR010 HYBRIDは車体のフロントとリアにダメージを負ってしったが、この午前中のセッションでは、7号車はコンウェイが序盤にマークしたタイムで5番手。8号車は平川のラップがベストタイムで8番手となった。
メカニックによる修復作業と素晴らしいチームの努力により、新たなフロントとリアを装着した7号車は午後のセッション開始までに作業を終え、タイムロスすることなく、ロペスがセッション開始と同時にコースに出ることができた。
午後の3時間のセッションは、中盤にセーフティカーが30分ほど入ったものの、チームは更なる車両セットアップの比較や、異なるタイヤコンパウンドのパフォーマンスや耐久性の分析などの作業を進め、7号車の小林が出したベストタイムが3番手。8号車はハートレーのタイムが9番手となった。
テストデーでの充実した走行セッションを終え、チームは収集した貴重なデータを、7日(水)に開始される2回の公式練習走行と予選へ向け、この2日間で分析しなくてはならない。また、車両セットアップ作業は8日(木)の2回の公式練習走行でも続けられる。8日は公式練習走行の間にハイパーポールセッションが実施され、決勝レースの各カテゴリー上位のグリッドが決定される。第91回ル・マン24時間レースは6月10日(土)現地時間午後4時にスタートが切られる。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
ル・マンに戻ってこられて最高です。このコースにはいつも感動させられますし、ここを走るのは本当に楽しいです。我々の7号車は午前中のセッション終盤にアクシデントに見舞われ、今日は期待していたほどスムーズな一日ではありませんでしたが、マイクが無事だったことが最も大事ですし、メカニックも素晴らしい作業でダメージを迅速に修復してくれました。そのおかげでプログラムへの影響は最小限に抑えられ、車両のセットアップやバランスの作業を続けることができました。パフォーマンスの面ではやや厳しい状況にありますが、とにかく作業を続けるだけです。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
今年初めてのル・マンでの走行で、幾つかの課題はあるものの、まずまずの一日でした。今日は車を理解することに努め、比較検討のプログラムをこなしました。セッションが進むにつれて我々も進歩し、バランスも良くなってきています。まだラップタイムという面では幾つかやるべきことがありますが、この段階ではいつものことです。とは言え、今のところ悪くない状況ですし、この調子で作業を続けます。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
またここに戻れて嬉しいです。まだ初日なので、全てがきちんと動くかを確認する作業でした。初日としては順調ですが、ラップタイムを基準に何かを語るのはまだ早いです。特にトップスピードの面で、ライバル勢が強そうだというのが私の第一印象ですが、我々もプッシュしていきます。これからの数日、更なるパフォーマンスを見出すべく頑張ります。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
まだやるべきことはありますが、幸運なことにレースのスタートまでは何日かあります。ル・マンに戻ってこられるのはいつものことながら嬉しいですし、特にこのGR010 HYBRIDはこのコースのために作られたクルマなので尚更です。昨年、このクルマは乗っていて本当に素晴らしいフィーリングだったので、そのバランスを取り戻したいと思っています。私の周回は好調でしたし、ここでは退屈することはないのですが、土曜日の決勝へ向けてとにかく努力あるのみです。新たな挑戦へ向け、ハードワークを続けていきます。
平川亮(8号車 ドライバー)
昨年に続き、GR010 HYBRIDで再度ル・マンを走ることができて嬉しいです。昨年のテストデーでは多くのことを学びましたが、今年は全く感触が違います。今日は多くの周回をこなすことができ、その点では全てが順調でした。ラップタイムはまだ我々が望んだレベルには達していないので、原因を解明する必要があります。水曜日の公式練習走行までにはセットアップを改善すべく、プッシュを続けます。
中嶋一貴(テスト兼リザーブドライバー)
GR010 HYBRIDで走るのは3月のセブリング戦後のテスト以来ですが、また走ることができて本当に最高でした。この車でル・マンを走るのはいつでも特別なことで、8号車のセッション最初のドライバーを任されたのはとても光栄でした。短いスティントでしたが、まるで故郷に帰ったようでしたし、テストプログラムに貢献できて嬉しいです。
カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース / WEC (FIA世界耐久選手権)