WEC:トヨタ 2023年シーズン プロローグ・テスト レポート
トヨタは、3月11日(土)と12日(日)の両日、米国フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われた2023年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)プロローグテストに参加。17日(金)に決勝レースが行われるシーズン開幕戦セブリング1000マイルレースへ向けた準備を進めた。
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDはこのプロローグテストで初めて、昨年も戦ってきたプジョーとグリッケンハウスに加え、キャデラック、フェラーリ、ポルシェ、ヴァンウォールといった新たなハイパーカークラスのライバルを迎えて走行。エキサイティングな耐久レースの新時代が幕を開けた。
TGRはこのプロローグテストで開幕戦へ向けた準備を開始。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮の8号車共に順調に走行。2日間の総合では、ロペスが1分48秒208の最速タイムをマークした7号車がトップ。ハートレーの8号車が僅か0.008秒差の2番手タイムで続いた。
TGRはこの2日間、4回のセッション合計で、2台あわせて587周、3500km以上という距離を、テストで最も重要な要素である、トラブルフリーで走破した。これにより、エンジニアにとって貴重な、レースウィークへ向けたセットアップを加速させるためのデータを収集。チームは5シーズン連続のWEC世界チャンピオン、6年連続のル・マン24時間制覇という挑戦を開始した。
2023年仕様として改良されたGR010 HYBRIDは、セブリング走り始め早々から軽量化と空力の見直しによる効果が現れた。これにより、ドライバーとエンジニアは、独特の荒れた路面で知られる1周6.019kmのセブリングでのテストの機会を、車両セットアップ、また、タイヤ評価へフル活用することができた。
テストが開始された11日(土)は好天に恵まれ、気温も最高31度にまで達した。午前中のセッションでは、1回赤旗中断があったが、ロペスが最速タイムをマーク。8号車は平川のタイムで2番手につけた。
3度の赤旗中断があった午後のセッションでは僅かにタイムダウン。ここでは8号車のブエミが、トップタイムとなったキャデラックから0.014秒遅れの2番手タイム。7号車はロペスのタイムで3番手となった。
プロローグテスト初日、TGRはハイパーカークラスで最多となる2台合計278周、1673kmを走破し、新シーズンへ向けた冬季オフシーズンのチームによる努力が効を奏したことを示すことができた。
日本の東富士とドイツ・ケルンのチームメンバーによる強力な開発体制に加え、テクニカルパートナーからの技術的な貢献もチームを支えている。デンソーはスパークプラグ、アイシン/デンソー共同開発によるフロントモーターを供給。そして、レイズの軽量マグネシウム鍛造ホイール、アケボノのモノブロックブレーキキャリパー、モービルワンの油脂類が採用されている。
12日(日)も前日同様の作業が続けられ、ドライバー、エンジニア、メカニック共に、蒸し暑いコンディションの中で完璧な作業をこなした。3度の赤旗により30分ほどタイムを失うことになったが、午前中のセッションでは7号車のコンウェイがトップタイム。8号車のブエミが0.008秒差の2番手で続いた。
このプロローグテスト最後となった日曜日午後のセッションも、GR010 HYBRIDは標準的な作業をこなした。ここでは8号車のハートレーがトップタイムをマークし、このタイムが8号車にとってのプロローグテストでの最速タイムに。7号車はコンウェイのタイムが僅差の2番手となった。このセッションも2度の赤旗が出されたが、チームはチェッカーフラッグが振られるまで周回を重ね、ハイパーカークラスでは最多の周回を走破した。
TGRはこのあと、2日間にわたって車両を完全に整備し直すと共にセットアップと戦略の微調整を行い、いよいよ始まるレースウィーク初日となる15日(水)は2度の公式練習走行に臨む。16日(木)にはこの新シーズン最初の戦いとなる予選が行われ、1000マイル(約1600km)という長丁場で争われる決勝レースは17日(金)の現地時間正午(日本時間18日午前1時)にスタートが切られる。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
これまでのところは順調です。テストはとても上手く行き、ラップタイムも悪くないように見えますが、あくまでまだテストの段階であり、レースウィークはまた違ったものになるでしょう。さらに改善できる点を見出す必要があります。今季は新たなライバルが増えますが、実際のところ、我々がテストや練習走行でやるべきことはあまり変わりません。自分たちのスピードを見極め、車両のバランスとセットアップを改良するための準備に集中する必要があります。今年は予選も決勝レースもこれまでとは大きく異なり、わずかなミスで大きく順位を落としかねません。そのため、今後の目標は明確で、決勝レースへ向けて最善のポジションを得るためのスピードを見出すことです。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
とても堅実な2日間でした。セットアップの比較やタイヤ、様々なテストなどやるべきことがたくさんありましたが、多くを達成して学ぶことができ、全てがスムーズに進みました。我々は予定したプログラムに専念し、ペースという点では全てが上手くいっているように見えます。現時点でライバルとの状況がどうなのかをいうのは難しいです。我々は自分たちのことだけしかわかりませんし、2台共に調子は良いです。重要な2日間となりましたが、我々も可能な限りの準備を進めています。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー):
全体的に良いスタートとなりました。チームとして良いペースを見せられましたが、ここまでの結果は必ずしも金曜日の決勝レースで何が起こるかを反映したものではありません。プロローグテスト2日目は、ライバル勢もかなり良くなってきて、タイムも接近しています。この進化が今後も続くことは間違いないので、上位で戦い続けるためにも、更なるスピードを求めて努力を続ける必要があります。ともあれ今回のプロローグテストでは、2台揃って速さを見せることもできたので、良いスタートが切れたと思いますし、週末が楽しみです。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
セブリングに戻って新たなハイパーカーのライバルと戦えるのは楽しいことで、良いプロローグテストとなりました。タイムシートに多くのハイパーカーが並んでいるのを見るのは嬉しいですし、耐久レースにとっても素晴らしい瞬間です。このチャレンジングなコースと、暑いコンディションの中で、2日間にわたって競争力を保ち、信頼性も高かったのは良かったです。しかし、ライバル勢がどこまでプッシュしているのか、どれだけのポテンシャルを秘めているのかはわかりません。それは金曜日の決勝レースで明らかになるでしょう。良いデータも得られたので、これから解析し、来週は好結果を目指し戦えることを期待しています。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
全てのハイパーカーが一緒にコースを走っているのを、ようやく見ることができて感無量です。我々はチームのハードワークのおかげで、このプロローグテストの2日間をトラブル無く順調にこなし、ほとんどのテスト項目をやり切ることができました。ドライバーとしても車両の感触は良かったですし、スピードもありました。昨年に比べて車両のバランスという点で良い進化を遂げているように感じます。競争力はあると思いますが、現時点でわかっているのは自分たちの状況であって、ライバルがどのようなことを行っているのかはわかりません。レースウィークへ向けて、さらに性能を引き出すよう努力を続けます。
平川亮(8号車 ドライバー):
セブリングに戻れてとても嬉しいですし、2日間のプロローグで充実した走りができたことに満足しています。結果だけ見れば悪くないですが、ライバルがどのようなプログラムをこなしていたのかわからないので、パフォーマンスについて語るのは時期尚早です。とは言え、ここまでのところは満足していますし、この週末に向けて、ハードワークで改良された車両を順調に走らせてくれたチームに感謝しています。これから数日、休息を取って英気を養い、レースウィークに全力で挑みます。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDはこのプロローグテストで初めて、昨年も戦ってきたプジョーとグリッケンハウスに加え、キャデラック、フェラーリ、ポルシェ、ヴァンウォールといった新たなハイパーカークラスのライバルを迎えて走行。エキサイティングな耐久レースの新時代が幕を開けた。
TGRはこのプロローグテストで開幕戦へ向けた準備を開始。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮の8号車共に順調に走行。2日間の総合では、ロペスが1分48秒208の最速タイムをマークした7号車がトップ。ハートレーの8号車が僅か0.008秒差の2番手タイムで続いた。
TGRはこの2日間、4回のセッション合計で、2台あわせて587周、3500km以上という距離を、テストで最も重要な要素である、トラブルフリーで走破した。これにより、エンジニアにとって貴重な、レースウィークへ向けたセットアップを加速させるためのデータを収集。チームは5シーズン連続のWEC世界チャンピオン、6年連続のル・マン24時間制覇という挑戦を開始した。
2023年仕様として改良されたGR010 HYBRIDは、セブリング走り始め早々から軽量化と空力の見直しによる効果が現れた。これにより、ドライバーとエンジニアは、独特の荒れた路面で知られる1周6.019kmのセブリングでのテストの機会を、車両セットアップ、また、タイヤ評価へフル活用することができた。
テストが開始された11日(土)は好天に恵まれ、気温も最高31度にまで達した。午前中のセッションでは、1回赤旗中断があったが、ロペスが最速タイムをマーク。8号車は平川のタイムで2番手につけた。
3度の赤旗中断があった午後のセッションでは僅かにタイムダウン。ここでは8号車のブエミが、トップタイムとなったキャデラックから0.014秒遅れの2番手タイム。7号車はロペスのタイムで3番手となった。
プロローグテスト初日、TGRはハイパーカークラスで最多となる2台合計278周、1673kmを走破し、新シーズンへ向けた冬季オフシーズンのチームによる努力が効を奏したことを示すことができた。
日本の東富士とドイツ・ケルンのチームメンバーによる強力な開発体制に加え、テクニカルパートナーからの技術的な貢献もチームを支えている。デンソーはスパークプラグ、アイシン/デンソー共同開発によるフロントモーターを供給。そして、レイズの軽量マグネシウム鍛造ホイール、アケボノのモノブロックブレーキキャリパー、モービルワンの油脂類が採用されている。
12日(日)も前日同様の作業が続けられ、ドライバー、エンジニア、メカニック共に、蒸し暑いコンディションの中で完璧な作業をこなした。3度の赤旗により30分ほどタイムを失うことになったが、午前中のセッションでは7号車のコンウェイがトップタイム。8号車のブエミが0.008秒差の2番手で続いた。
このプロローグテスト最後となった日曜日午後のセッションも、GR010 HYBRIDは標準的な作業をこなした。ここでは8号車のハートレーがトップタイムをマークし、このタイムが8号車にとってのプロローグテストでの最速タイムに。7号車はコンウェイのタイムが僅差の2番手となった。このセッションも2度の赤旗が出されたが、チームはチェッカーフラッグが振られるまで周回を重ね、ハイパーカークラスでは最多の周回を走破した。
TGRはこのあと、2日間にわたって車両を完全に整備し直すと共にセットアップと戦略の微調整を行い、いよいよ始まるレースウィーク初日となる15日(水)は2度の公式練習走行に臨む。16日(木)にはこの新シーズン最初の戦いとなる予選が行われ、1000マイル(約1600km)という長丁場で争われる決勝レースは17日(金)の現地時間正午(日本時間18日午前1時)にスタートが切られる。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
これまでのところは順調です。テストはとても上手く行き、ラップタイムも悪くないように見えますが、あくまでまだテストの段階であり、レースウィークはまた違ったものになるでしょう。さらに改善できる点を見出す必要があります。今季は新たなライバルが増えますが、実際のところ、我々がテストや練習走行でやるべきことはあまり変わりません。自分たちのスピードを見極め、車両のバランスとセットアップを改良するための準備に集中する必要があります。今年は予選も決勝レースもこれまでとは大きく異なり、わずかなミスで大きく順位を落としかねません。そのため、今後の目標は明確で、決勝レースへ向けて最善のポジションを得るためのスピードを見出すことです。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
とても堅実な2日間でした。セットアップの比較やタイヤ、様々なテストなどやるべきことがたくさんありましたが、多くを達成して学ぶことができ、全てがスムーズに進みました。我々は予定したプログラムに専念し、ペースという点では全てが上手くいっているように見えます。現時点でライバルとの状況がどうなのかをいうのは難しいです。我々は自分たちのことだけしかわかりませんし、2台共に調子は良いです。重要な2日間となりましたが、我々も可能な限りの準備を進めています。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー):
全体的に良いスタートとなりました。チームとして良いペースを見せられましたが、ここまでの結果は必ずしも金曜日の決勝レースで何が起こるかを反映したものではありません。プロローグテスト2日目は、ライバル勢もかなり良くなってきて、タイムも接近しています。この進化が今後も続くことは間違いないので、上位で戦い続けるためにも、更なるスピードを求めて努力を続ける必要があります。ともあれ今回のプロローグテストでは、2台揃って速さを見せることもできたので、良いスタートが切れたと思いますし、週末が楽しみです。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
セブリングに戻って新たなハイパーカーのライバルと戦えるのは楽しいことで、良いプロローグテストとなりました。タイムシートに多くのハイパーカーが並んでいるのを見るのは嬉しいですし、耐久レースにとっても素晴らしい瞬間です。このチャレンジングなコースと、暑いコンディションの中で、2日間にわたって競争力を保ち、信頼性も高かったのは良かったです。しかし、ライバル勢がどこまでプッシュしているのか、どれだけのポテンシャルを秘めているのかはわかりません。それは金曜日の決勝レースで明らかになるでしょう。良いデータも得られたので、これから解析し、来週は好結果を目指し戦えることを期待しています。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
全てのハイパーカーが一緒にコースを走っているのを、ようやく見ることができて感無量です。我々はチームのハードワークのおかげで、このプロローグテストの2日間をトラブル無く順調にこなし、ほとんどのテスト項目をやり切ることができました。ドライバーとしても車両の感触は良かったですし、スピードもありました。昨年に比べて車両のバランスという点で良い進化を遂げているように感じます。競争力はあると思いますが、現時点でわかっているのは自分たちの状況であって、ライバルがどのようなことを行っているのかはわかりません。レースウィークへ向けて、さらに性能を引き出すよう努力を続けます。
平川亮(8号車 ドライバー):
セブリングに戻れてとても嬉しいですし、2日間のプロローグで充実した走りができたことに満足しています。結果だけ見れば悪くないですが、ライバルがどのようなプログラムをこなしていたのかわからないので、パフォーマンスについて語るのは時期尚早です。とは言え、ここまでのところは満足していますし、この週末に向けて、ハードワークで改良された車両を順調に走らせてくれたチームに感謝しています。これから数日、休息を取って英気を養い、レースウィークに全力で挑みます。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)