WRC:トヨタ 第4戦 ラリー・エストニア デイ3レポート
9月6日(日)、2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・エストニアの競技最終日デイ3が、エストニアのタルトゥを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC 17号車)が総合3位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合4位で、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車) が総合5位でフィニッシュ。オジエはドライバー選手権首位の座を、チームはマニュファクチャラー選手権首位の座を守った。
ラリー・エストニアの最終日、競技3日目はタルトゥの南側エリアで6本計84.94kmのSSが行なわれた。最終日は日中のサービスなしで3本のステージを各2回走行するため、大幅なセッティング変更や修理はできず、タイヤに関しても朝のサービスを出る時に装着および搭載したセットのみで走り切る必要があった。
前日のデイ2で首位と28.7秒差の総合3位につけたオジエは、SS14でベストタイムをマーク。再走ステージ1本目のSS15 でもベストタイムを刻むなど、好調にステージを重ねた。最終的には総合2位のライバルに4.7秒差まで迫ったが、逆転には至らず総合3位でフィニッシュ。優勝した前戦ラリー・メキシコに続く、今シーズン3回目のポディウムフィニッシュを果たし、ドライバー選手権首位の座を守った。
デイ2で総合4位につけたエバンスは、オープニングステージのSS12でベストタイムを記録し、総合3位オジエとの差を5.8秒に縮めた。しかし、その後オジエとの差は拡大し、エバンスは総合4位でフィニッシュ。ドライバー選手権ではランキング2位を守ったが、1位オジエとの差は9ポイントに拡がった。前日、総合4位の座をエバンスと激しく争うも1分のペナルティを受け総合6位に後退したロバンペラは、ボーナスの選手権ポイントがかかるパワーステージを含む3本のステージでベストタイムを、2本のステージでセカンドベストタイムを刻むなど卓越したスピードを披露し、総合5位で完走した。デイ3では3人のドライバーがベストタイムを記録したことで、ヤリスWRCは6ステージ全てを制覇した。また、チームはオジエとエバンスが獲得したポイントによって、マニュファクチャラー選手権1位の座を守ることに成功した。なお、デイ3オープニングのSS12まで総合5位につけていたTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は、SS13でコースオフを喫し、残念ながら完走を逃した。
トミ・マキネン(チーム代表)
ラリー・エストニアの結果はチーム全体にとって非常に良いものとなり、ドライバー選手権、マニュファクチャラー選手権ともに首位を守ることができました。しかし、自分たちのパフォーマンスに完全に満足しているわけではありません。テストの時とは路面コンディションが異なり、セットアップに苦労しました。それでも、今日のような、よりハイスピードなステージでは、我々の全ドライバーが速いタイムを出すことができました。特に、カッレはまだ若いのに、非常に印象的なスピードを披露しました。今日のパワーステージのように大きなプレッシャーがかかる状況で、彼は最高のパフォーマンスを発揮するようです。昨日のタイヤトラブルさえなければ、きっとより良いリザルトを残していたに違いありません。
セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 17号車)
我々にとってはポジティブな結果です。ポディウムを獲得できたのは、チャンピオンシップにとっても良いことです。とはいえ、今週末はさらに良い結果を残すことができたはずなのに、それができなかったことに少し悔しさを感じています。優勝は難しかったかもしれませんが、もっとタイム差を縮めることはできたはずですし、少なくとも2位にはなれたはずです。また、パワーステージではより多くのポイントを獲得したかったのですが、ステージはこの週末もっとも荒れていたので、リスクを負わず、表彰台の確保を最優先しました。それでも、この難しい週末に十分なポイントを獲得できたことを、嬉しく思います。
エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
完全に満足できる結果ではありませんが、総合4位、パワーステージでは2位を獲得することができました。瞬間的には良いペースで走れたと思いますが、そのペースをコンスタントに保ち続けることはできませんでした。昨晩、セットアップを少し変更したところ、今朝のような滑りやすい路面での走りは良くなりました。その後、路面が荒れてくると苦戦しましたが、このラリーではある程度妥協も必要です。いつものように、改善すべき課題はいくつかありましたが、難しい週末を最後まで戦い抜き、ポイントを獲得することができて良かったと思います。
カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
この週末の自分のペースとドライビングはとても良く、本当に満足しています。自分の力をフルに出し切り、非常に速いペースで走っても全くミスをしませんでした。不運なことも起こり、僕たちが主役の週末ではありませんでしたが、ラリーではそういったことも起こり得ます。最終のパワーステージでは、全力でアタックしながらもクリーンな走りができたので、良かったと思います。とても運転しやすいクルマを用意してくれたチームに、心から感謝します。
ラリー・エストニア デイ3の結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 1h59m53.6s
2 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +22.2s
3 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) +26.9s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(トヨタ ヤリス WRC) +41.9s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC) +1m18.7s
6 テーム・スニネン/ヤルモ・レーティネン (フォード フィエスタ WRC) +2m39.6s
7 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (フォード フィエスタ WRC) +2m52.0s
8 ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン (フォード フィエスタ WRC) +4m53.8s
9 オリバー・ソルベルグ/アーロン・ジョンストン (フォルクスワーゲン ポロGTI R5)+7m38.6s
10 マッズ・オストベルグ/トルシュテン・エリクソン(シトロエン C3 R5)+8m17.3s
次回のイベント情報
WRC次戦は、9月18日(金)から20日(日)にかけて開催される、第5戦「ラリー・トルコ」です。地中海に面したトルコ南西部のマリンリゾート、マルマリスを中心に開催されるこのラリーは、WRCで1、2を争う荒れた路面を走行するラフグラベルラリーであり、気温もかなり上昇するため、純粋なスピードだけでなくクルマの耐久性も求められる。ラリーは金曜日にシェイクダウンと2本のSSを、土曜日に6本のSSを、日曜日に4本のSSを予定しており、全12本のSSの総走行距離は223.00kmと、昨年の大会よりも約87km短い競技区間での戦いとなる。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)
ラリー・エストニアの最終日、競技3日目はタルトゥの南側エリアで6本計84.94kmのSSが行なわれた。最終日は日中のサービスなしで3本のステージを各2回走行するため、大幅なセッティング変更や修理はできず、タイヤに関しても朝のサービスを出る時に装着および搭載したセットのみで走り切る必要があった。
前日のデイ2で首位と28.7秒差の総合3位につけたオジエは、SS14でベストタイムをマーク。再走ステージ1本目のSS15 でもベストタイムを刻むなど、好調にステージを重ねた。最終的には総合2位のライバルに4.7秒差まで迫ったが、逆転には至らず総合3位でフィニッシュ。優勝した前戦ラリー・メキシコに続く、今シーズン3回目のポディウムフィニッシュを果たし、ドライバー選手権首位の座を守った。
デイ2で総合4位につけたエバンスは、オープニングステージのSS12でベストタイムを記録し、総合3位オジエとの差を5.8秒に縮めた。しかし、その後オジエとの差は拡大し、エバンスは総合4位でフィニッシュ。ドライバー選手権ではランキング2位を守ったが、1位オジエとの差は9ポイントに拡がった。前日、総合4位の座をエバンスと激しく争うも1分のペナルティを受け総合6位に後退したロバンペラは、ボーナスの選手権ポイントがかかるパワーステージを含む3本のステージでベストタイムを、2本のステージでセカンドベストタイムを刻むなど卓越したスピードを披露し、総合5位で完走した。デイ3では3人のドライバーがベストタイムを記録したことで、ヤリスWRCは6ステージ全てを制覇した。また、チームはオジエとエバンスが獲得したポイントによって、マニュファクチャラー選手権1位の座を守ることに成功した。なお、デイ3オープニングのSS12まで総合5位につけていたTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は、SS13でコースオフを喫し、残念ながら完走を逃した。
トミ・マキネン(チーム代表)
ラリー・エストニアの結果はチーム全体にとって非常に良いものとなり、ドライバー選手権、マニュファクチャラー選手権ともに首位を守ることができました。しかし、自分たちのパフォーマンスに完全に満足しているわけではありません。テストの時とは路面コンディションが異なり、セットアップに苦労しました。それでも、今日のような、よりハイスピードなステージでは、我々の全ドライバーが速いタイムを出すことができました。特に、カッレはまだ若いのに、非常に印象的なスピードを披露しました。今日のパワーステージのように大きなプレッシャーがかかる状況で、彼は最高のパフォーマンスを発揮するようです。昨日のタイヤトラブルさえなければ、きっとより良いリザルトを残していたに違いありません。
セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 17号車)
我々にとってはポジティブな結果です。ポディウムを獲得できたのは、チャンピオンシップにとっても良いことです。とはいえ、今週末はさらに良い結果を残すことができたはずなのに、それができなかったことに少し悔しさを感じています。優勝は難しかったかもしれませんが、もっとタイム差を縮めることはできたはずですし、少なくとも2位にはなれたはずです。また、パワーステージではより多くのポイントを獲得したかったのですが、ステージはこの週末もっとも荒れていたので、リスクを負わず、表彰台の確保を最優先しました。それでも、この難しい週末に十分なポイントを獲得できたことを、嬉しく思います。
エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
完全に満足できる結果ではありませんが、総合4位、パワーステージでは2位を獲得することができました。瞬間的には良いペースで走れたと思いますが、そのペースをコンスタントに保ち続けることはできませんでした。昨晩、セットアップを少し変更したところ、今朝のような滑りやすい路面での走りは良くなりました。その後、路面が荒れてくると苦戦しましたが、このラリーではある程度妥協も必要です。いつものように、改善すべき課題はいくつかありましたが、難しい週末を最後まで戦い抜き、ポイントを獲得することができて良かったと思います。
カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
この週末の自分のペースとドライビングはとても良く、本当に満足しています。自分の力をフルに出し切り、非常に速いペースで走っても全くミスをしませんでした。不運なことも起こり、僕たちが主役の週末ではありませんでしたが、ラリーではそういったことも起こり得ます。最終のパワーステージでは、全力でアタックしながらもクリーンな走りができたので、良かったと思います。とても運転しやすいクルマを用意してくれたチームに、心から感謝します。
ラリー・エストニア デイ3の結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 1h59m53.6s
2 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +22.2s
3 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) +26.9s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(トヨタ ヤリス WRC) +41.9s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC) +1m18.7s
6 テーム・スニネン/ヤルモ・レーティネン (フォード フィエスタ WRC) +2m39.6s
7 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (フォード フィエスタ WRC) +2m52.0s
8 ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン (フォード フィエスタ WRC) +4m53.8s
9 オリバー・ソルベルグ/アーロン・ジョンストン (フォルクスワーゲン ポロGTI R5)+7m38.6s
10 マッズ・オストベルグ/トルシュテン・エリクソン(シトロエン C3 R5)+8m17.3s
次回のイベント情報
WRC次戦は、9月18日(金)から20日(日)にかけて開催される、第5戦「ラリー・トルコ」です。地中海に面したトルコ南西部のマリンリゾート、マルマリスを中心に開催されるこのラリーは、WRCで1、2を争う荒れた路面を走行するラフグラベルラリーであり、気温もかなり上昇するため、純粋なスピードだけでなくクルマの耐久性も求められる。ラリーは金曜日にシェイクダウンと2本のSSを、土曜日に6本のSSを、日曜日に4本のSSを予定しており、全12本のSSの総走行距離は223.00kmと、昨年の大会よりも約87km短い競技区間での戦いとなる。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)